ゆるたびおきなわ 〜 ぬーやるばーがー


レンタカーを借りてまずはJEFに立ち寄り


「一人旅の限界」を感じる場所のひとつにリゾート地がある。どんな場所でも一人で行くより好きな娘と一緒に行った方がいいと思うけど、特に夏のリゾートはそう思ってしまう。そういうわけで、日本にある47都道府県のうち沖縄への訪問は最後になってしまったし、沖縄に行くにしても夏は自然と避けてきた。もちろん夏の沖縄には憧れがあった。特に沖縄戦の終結の日である6月23日あたりに行ってみたいと思っていた。「今年こそ梅雨明け直後の沖縄に行くぞ」と思っていたが、仕事の都合でそれは叶わなかった。結局、海の日の三連休に「おひとり様」のプチリゾート体験をするため沖縄に飛んだ。

静岡空港からの全日空便はほぼ満席。こういう時に株主優待券が力を発揮する。プレミアムクラスを半額で予約することで、2時間超の空の旅が苦痛なものから快適なものに変わる。15時前に真夏の那覇空港に到着した。楽天トラベルで予約した格安レンタカーを借りて、久々の沖縄でのドライブがスタート。まずは、この旅のタイトルとなった「ヌーヤルバーガー」を食べるためJEF豊見城店に向かった。

昨年「さんま御殿」で、ガレッジセールのゴリ氏が沖縄で流行っているギャグとして「ヌーヤルバーガー、ハンバーガー ニヘーデービル、ボデービル」とやって以来、気になっていた「ヌーヤルバーガー」。出典は「ふーちばー親方」という沖縄の芸人さんらしい。とにかくその「ヌーヤルバーガー」は、スパムとゴーヤの卵とじをバンズで挟んだもので、実に沖縄らしいハンバーガー。単品で350円だが、沖縄を感じるソフトドリンク「ルートビア」とポテトのセット650円の方が沖縄っぽくていいかもしれない。いかにもアメリカっぽい駐車場から注文するスタイルを体験するためにも、沖縄旅行のおりには一度寄ってみたらいかが?


海沿いに建つラグーンパレス

レンタカー屋さんのチェックインとJEFで沖縄時間っぽく待たされたので、JEFを出る頃には16時を回っていた。嘉手納のホテルに16時半にチェックインすると伝えているので、沖縄時間だから気にすることはないが焦りを感じる。那覇空港道から沖縄道を経由し(例の社会実験とやらでタダ!)、沖縄南インターから嘉手納基地の外側を半周して嘉手納へ。海岸通りに本日の宿泊先「ホテル ラグーンパレス」は建っていた。

どうやら海沿いのアパートをホテルにしたらしく、廊下は吹きっさらし。部屋の中はキッチンがついていてワンルームタイプだった。アメリカ軍人向けに建てたが需要が見込めないので「ええい、ホテルにしてまえ」という感じだろうか?さすがに部屋の窓からは東シナ海が一望でき、買い出しに出掛けた後、日没時にはベランダでビールを飲みながら気持ちのいい時間を過ごすことができた。


全ての部屋から東シナ海が望める

さて、ホテルにはレストランがないので、読谷村のスーパーに買い出しに出掛けた。途中で「渡具地ビーチ⇒」の看板を見かけ、時間があるので寄ってみた。そこは、よく整備された公園で、西日に照らされた芝生の緑が眩しかった。ビーチといっても海水浴場ではなく、磯辺で子供連れが戯れ、のんびりとしたムードが漂っていた。

翌日は、照ったと思えば土砂降りになったりする熱帯的な天候だった。今回の旅のひとつの目的は、沖縄本島に残る大物未訪地、万座毛と海中道路を訪ねることなので、土砂降りでは塩梅が悪い。万座毛到着までに天気が回復することを祈って、ホテルを出発した。

国道58号線を北上している間に天気は目まぐるしく変わったが、万座毛に着く頃には青空が見え始めた。ガイドブック等の写真で見る限り、万座毛は岩場の上に雄大に広がる草原というイメージだったが、実際に行ってみると草原というよりは岩場の印象が強かった。ごく狭いエリアだったので、15分ほどで切り上げ、次の海中道路へと移動した。

県道88号で東シナ海側から太平洋側へと抜ける。ものの4`ほどの区間で沖縄の背骨を越え石川へ。さきほどの青空が幻だったかのようにバケツをひっくり返したような雨が降っている。「これじゃ海中道路もホテルのプールも望み薄だな」とテンションを下げつつ海岸線を南下した。時刻は11時。AFNに合わせていたカーラジオのダイヤルをFM沖縄に変更。海中道路にさしかかると、先ほど来の雨が上がり、再び太陽が顔を出した。「ハートオブサンデー」の1曲目は、おあつらえむきのシェリル・クロウ「ソーク・アップ・ザ・サン」。なんという奇跡。なんというミラクル。このあとの人生で「ソーク・アップ・ザ・サン」を聞いたら必ず今この瞬間を思い出すだろうな。それは夏の終わりの青函連絡船を待つ青森駅で「素直になれなくて」を聞いた時のように・・・。

海中道路を走り抜け、さらに県道10号線のその先を目指す。平安座島から宮城島、そして伊計大橋を渡って、どん詰まりの伊計島へ。せっかく伊計島までやって来たのに、とんぼ帰りでは忍びないので大泊ビーチに寄ることにした。伊計島のビーチはどこも有料ビーチで、海水浴もしないのに500円取られるのはシャクだったが、それに見合うだけのエメラルドグリーンの海と白い砂浜、緑の森のコントラストを堪能した。

さらに伊計島の奥まで進み、ビッグタイムリゾートの建物と沖縄サーキットを一瞥して帰り道へ。県道10号線をそのまま往復するのでは芸がないので、浜比嘉島に立ち寄り、対岸から海中道路の全景を撮影したりした。再び海中道路に戻り、途中の海の駅あやはし館で昼休み。館内のレストランで沖縄そばを食べた。そういえば今回の旅もロクなものを食べなかった。夕食はスーパーで買った惣菜をつまみに飲んでるだけだったし、機内食、ホテルのバイキング、ヌーヤルバーガー…etcといった感じで、郷土食というものを一切食べていない。そんな中で、たかがそば一杯とはいえ、沖縄らしいものを食べられたのは良かった。まぁ沖縄そばが自分の口に合うかどうかは別としても…

ふと時計を見ると13時を回っていた。今回の旅の一番の楽しみは「ホテル日航那覇グランドキャッスル」に14時にチェックインして、プールでプチリゾート気分を味わうこと。さぁ、こうしてはいられない。先を急ごう。うるま市から沖縄市へと抜け、沖縄南インターから那覇インターへ瞬間移動。社会実験のため、沖縄の道路全てが無料なのを最大限利用している感じである。おかげで14時すぎには無事ホテルにチェックインできた。


沖縄のB級グルメ「ヌーヤルバーガー」


渡具地ビーチ沿いにある泊城公園


強烈な西日が眩しい渡具地ビーチ


ビールを飲みながら海に沈む夕日を眺める


沖縄本島に残る大物未訪地「万座毛」


万座毛の伸びやかな草原をバックに筆者


日曜日午前11時、海中道路をドライブ


シーズン真っ盛りの伊計島大泊ビーチ


伊計島の先端にはカートサーキットがある


スコールに見舞われた帰りの伊計大橋


浜比嘉島に道草して借りたデミオをパチリ


海中道路の中心「海の駅あやはし館」


あやはし館レストランで沖縄そばの昼食


夏空の下、ボードセイリングが浮かぶ


海中道路全景。浜比嘉島勝連浜ビーチより撮影

部屋に荷物を置き、水着に着替えてさっそくプールへ。海の日三連休の中日とはいっても、さすがにそこはホテルのプール。家族連れが数組いるだけで、混雑とは無縁の場所だった。15時30分ころまで小1時間泳いでいたが、そのあとはデッキチェアに寝そべり優雅な時間を過ごした。空を見上げれば、椰子の葉の間に夏空が見え隠れする。那覇都心にいることを忘れさせる瞬間だった。

16時からは日曜恒例のFM通り。「トーキングFM」も「安部礼司」も、南の島のプールサイドで聞けばいつもと違って聞こえる。特に「あっ、安部礼司」の内容は夏らしくホラーめいた内容。自分も安部礼司の彼らしくないドッペルゲンガーのような性格に憧れがある。あんなだったら、私生活でここまで苦労することも無かったのにねぇ〜。

この日の安部礼司は、流れる音楽も「今さらながらツボな」選曲で、「愛しさとせつなさと心強さと」や「ハロー・マイ・フレンド」には、思わずそれらの曲が流行っていた頃の自分を思い出してしまった…。「あの頃に戻ってやり直せたら」と後悔でグスグスになるのも、日曜日の夕方というシチュエーションだからだろうか…?


海の駅歩道橋より与勝半島方向を望む


こちらは平安座島方向。右手が浜比嘉島


ホテル日航那覇でプチリゾート


ライトアップされた夜のプール


海中道路のシンボル「へんざ海中大橋」


遠浅の海に岩が点在する美しい風景


椰子の木に囲まれ南の島の気分満点


最終日は日本初のショッピングモールを訪問


アメリカの匂い〜プラザハウス

最終日は朝から雨。もともと2日めが雨の場合に備えてしつらえた予備日だったので、万座毛、海中道路、プールの3点セットを全てこなしてしまった自分にとってはやる事がない。もし最終日も雨が降らなかったら、那覇近郊の沖縄戦の史跡(嘉数の戦いやシュガーロフの戦い)を巡ってみようかと思っていたが、それもかなわない。結局チェックアウトタイムぎりぎりの11時までホテルの部屋で粘り、その後、クルマで行ける場所であるという理由でコザ方面に行くことにした。

日本にあって最もアメリカっぽい場所というイメージのあるコザは、前々から一回訪れてみたい場所だった。しかし今日はそれほど時間がないので、プラザハウス・ショッピングセンター1箇所に決め打ちして、古き良きアメリカに思いを馳せることにした。プラザハウス・ショッピングセンターは1954年に日本初のショッピングセンターとしてオープンした。いわゆるアメリカ型のショッピングモールで、店舗前の広大な駐車場に停まっているアメ車に、当時の沖縄の人たちは憧れの眼差しを投げかけていたことだろう。

時代は下って21世紀の日本。郊外型の大規模ショッピングモールが林立する世にあっては、ちっぽけで古臭く見えるプラザハウス・ショッピングセンターだが、まだまだ現役。お昼頃には駐車場は満車になり、休日のランチを家族で、あるいは友人と楽しむ地元の人たちの笑顔が印象的だった…
<THE END>

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