走 る 居 酒 屋 〜 feat. 中 京 競 馬 〜
『走る居酒屋』乗車前に中京競馬でひと勝負


『青空フリーパス』。名古屋を中心として東は二川・飯田、北は木曽平沢・下呂、西は米原、そして南は紀伊長島までがフリー区間となり普通列車が乗り放題のキップである。このキップを使ってどこかに行きたいなぁと思っていた矢先、この6月1日より特急しなの、ひだ、南紀の各列車が全車禁煙になるというニュースが飛び込んできた。このところのマイブームである『走る居酒屋』は、タバコの吸える車両が前提であり、かなりこのニュースにショックを受けた。ならば、フリー区間の中で最長となる紀伊長島〜名古屋間で『走る居酒屋』を開店しようと思い、今回のミニトリップを企てた。

ただ往復するだけではつまらないので、往路に中京競馬を組み合わせ「ミニミニ旅打ち」にしてみた。このところ旅打ちは負け続けているので、ホームコースの中京で一矢報いたいところである。浜松を7時39分の鈍行列車で出発し、刈谷に8時50分着。名鉄バスと電車を乗り継いで9時30分ごろには中京競馬場に着いた。ガラス張りで快適なツインハットの一般席に陣取り、1レースから6レースの馬券を買おうという目論見である。


ツインハットの一般席で競馬観戦

競馬の結果は惨敗。駅から競馬場での道すがら、「帰りはオケラ街道にならなければいいが…」と思っていたが、まさにその通りになってしまった。

中京競馬収支表(2009年5月23日)
レース 投資 回収 収支 累計
1R 1,600 1,250 -350 -350
2R 1,400 0 -1,400 -1,750
3R 1,400 0 -1,400 -3,150
4R 1,500 1,330 -170 -3,320
5R 2,000 0 -2,000 -5,320
6R 3,600 0 -3,600 -8,920
合計 11,500 2,580 -8,920 22.4%

普通乗車券だけで乗車できる快速みえ


多気駅からほど近い佐奈川桜堤公園


麦秋


松岡直也『夏の旅』のジャケットに似ている風景


ディーゼルカーがとことこと走っていく

まぁ、そんなわけで競馬場を後にして、名鉄電車で神宮前駅へ。当初は名鉄名古屋まで乗車する予定だったが、100円でも負け分を取り返すために神宮前からJR熱田駅を徒歩連絡した。

名古屋からは快速みえで多気に向かう。通常2両編成の列車だが、この日は4両編成だったため、ゆったりと旅ができて良かった。キハ75は転換クロスながらハイバックシートで座り心地がよく、多気までの1時間15分で酒を飲み進み、かなり出来上がってしまった。

多気は紀勢線と参宮線のジャンクションのためにあるような駅で、駅前にはコンビニが1軒あるだけ。まぁその分豊かな自然を満喫できた。


南紀方面と鳥羽方面のジャンクション・多気


まだまだ昭和の旅が再現できるキハ40


郷愁を誘う青いボックスシート


紀伊半島の山々に日が沈んでいく


夕暮れの紀伊長島駅にて筆者

45分ほどの列車待ちの間に多気駅前周辺を散歩し、かなりアルコールを飛ばして次の列車に乗車した。新宮行きの鈍行列車はキハ40+キハ48+キハ48の3両編成で、見事なほどにガラガラだった。

キハ48は、デッキ付きで青いクロスシートが並び、往年の急行型車両と見紛うほどである。車内の空き具合といい「こんな列車がまだJR東海に残っていたんだ」と思えるほど、昭和の汽車旅の雰囲気を醸し出していた。向かい側のシートに足を投げ出して、極上の鈍行列車の旅を楽しめた1時間15分だった。


高らかなエンジン音を響かせて特急南紀入線


荷坂峠を軽々クリアして梅ケ谷駅を通過

夕暮れの紀伊長島で、何をするともなく時間を過ごした後、お待ちかねの「ワイドビュー南紀」の登場である。喫煙車は前寄りの1号車だけ。これが指定席なので1番D席を確保していた。前面展望が楽しめる特等席で、荷坂峠を越えて梅ケ谷駅を通過するあたりは片時も目が離せなかった。

やがて夜のとばりが降りて、前面展望が利かなくなると、とたんに睡魔が襲ってきた。昼間の14時過ぎから断続的に飲み続けていたのでは無理もない話で、せっかく『走る居酒屋』にするために特急券を別買いしているのにもったいないことである。

結局目が覚めたのは桑名を過ぎてから。二日酔いのような頭痛がして台無しの気分である。やがて列車は終点の名古屋駅に到着(左の画像)。『走る居酒屋』を楽しむためには、調子に乗って昼間から酒を飲んではいけない…ということが今回の教訓だった。

<おしまい>


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