Spring Tour ’00

Go West !! 〜さよなら新幹線食堂車


□2000年2月11日(金) 晴れ
浜松10:20→157F→10:55豊橋
豊橋11:02→名鉄パノラマスーパー→12:15新岐阜

今年の「Spring Tour」は、博多在住の友人・上田和幸(カズ)と久々に飲むことを兼ねて、九州方面に旅立つことにしていた。そこへ持ってきて昨年暮れに新幹線食堂車全廃のニュースが入ったため、食堂車の惜別もしようということになり「グランドひかり」を行程に組み入れて、翌日は日本で一番西を通る鉄道「松浦鉄道」の初乗りを楽しむことにした。
2日間で九州往復の行程としては遅めの10時20分浜松駅をスタート。乗車した車両はJR東海に確か2編成8両しかない211系のクロスシート仕様。登場した当初は浜松〜大垣間の快速として使用されていたが、現在はロングシート仕様に混じってローカル運用となっている。ともあれ人間工学に基づいたクロスシートは座り心地が良く、1年ぶりのSpring Tourは上々のスタートとなった。
豊橋からは名鉄ご自慢のパノラマスーパーに乗り換えた。名電山中あたりや豊明から国府宮にかけての急カーブの続く線形の悪さをかかえながら、最高120Km/hで突っ走り、豊橋〜岐阜間を73分で結ぶところは素晴らしい。新岐阜から徒歩でJR岐阜駅に移動。日陰には2・3日前に降った雪が残っていた。

浜松駅にて211系豊橋行き

JR東海では希少価値の車内
岐阜12:27→2211F→12:38大垣
大垣12:45→227F→13:18米原

岐阜からはJR東海ご自慢の最新鋭車313系の乗り継ぎ。大垣までは4両編成の新快速。大垣からは2両編成のローカル仕様であるが、どちらも転換クロスシートが奢られていることは変わりない。この時期に関ヶ原越えをすると、大学受験で京都に行く途中に165系鈍行で通ったことを思い出す。あの時も今日も雪景色。伊吹山は雲に隠れて見えなかったが、しばし10代の自分に思いを馳せていた。BGMは、当時作ったテープ「The Passenger」で70年代の名曲が心に染みる。

関ヶ原以西は雪景色に

ホントは伊吹山が奇麗な駅

JR東海の最新鋭車313系

JR西日本の新快速223系
米原13:53→3339M→15:10新大阪
米原で、博多までの乗車券と新大阪からの指定券を購入。せっかくなので初の新幹線グリーン車を楽しむことにした。
米原駅のホームで、井筒屋の立ち食いソバ屋(10年くらい前の青春18キップのポスターに登場)のうどんを食した後、毎度お馴染みの新快速に乗車。車内ではもっぱらお昼寝タイムであった。

初体験の新幹線グリーン車
新大阪16:06→グランドひかり121号→19:20博多
新大阪に到着後しばらく時間があったので、このホームページの「鉄道写真館」用にデジカメで撮影して時間を潰した。それでも時間が余ったので、駅の周辺を歩いたりもした。しかし新大阪周辺はご存知の通り人間が歩ける構造とはなっておらず、早々に駅に戻った。
さて、ここからが今回の旅の最大の佳境。グランドひかりの2階建てグリーン車乗車と食堂車へのお別れである。3連休の初日ということで普通車はかなりの混雑であったが、グリーン車は空いていた。まずは自分の座席でビールを開けて、ささやかな乾杯とした。

ゆったりとした座席に身を沈め

ビデオも楽しめるざます
座席はゆったりとしており、おしぼりも運ばれ、ビデオも観られると快適さでは言うこと無しなのだが、何か自分には豪華すぎるという感じがした。自分にとっては、今はなき0系こだまの2&2シートくらいがちょうどいいと思った。2階席からの眺望は素晴らしいが、山陽区間はトンネルが多くて閉口した。新倉敷を通過したあたりで、食堂車から「みなさまのお越しをお待ち申しております」という放送が入り、それに促されて食堂車へと向かった。
残り1ヶ月となった新幹線食堂車は「感謝キャンペーン」ということで、開業当時の値段で食事を提供していた。普段は確か1800円くらいした「ハンバーグセット」は1000円(税別)。ビールも注文し、あらためて祝杯を上げた。私がこうして新幹線の食堂車を利用するのはこれで3回目。今では一日4往復となってしまい利用するには列車を狙わなければならないが、いつ来てもこの食堂車のムードの良さには感服する。時代の流れとはいえ、昼行列車の本格的な食堂車の命はあと1ヶ月。みなさんもぜひ体験されたし!!
徐々に暮れゆく窓の外を眺めながらの食事は、私をトワイライトセクションに導いていった。食後のコーヒーまで飲み干し、都合1時間くらいで席を立ったが、これで1600円そこそこは安いと思った。
座席に戻ると既に夜のとばりが降りており、車内はけだるいムードになっていた。グランドひかりは本州に別れを告げ、ほどなく博多に到着した。

食堂車入口のステンドグラス

ハンバーグセットは1000円

暮れてゆく食堂車の窓外

けだるい雰囲気の車内

地下鉄に乗り入れるJR103系
博多にて
博多に降り立つといそいそと改札を抜け、まずはみどりの窓口で「チャレンジ九州2000キロ」のチャレンジブックを手に入れて、在来線の改札に逆戻り。ホームで自分と駅名標を入れた写真を撮って、今日の宿「ハカタビジネスホテル」へ向かう。しかし肝心のホテルが見当たらない。カズとの約束の時間を過ぎても見つからず相当あせった。夜の街のホテル探しは相当苦手なのだが、今回も延々30分以上捜し歩いてようやくチェックインできた。すぐに部屋に荷物を置いて、地下鉄の駅へ向かう。結局カズとの約束の時間に30分以上も遅れて、地下鉄の赤坂駅で合流。カズは相当機嫌が悪かった。無理はないが・・・
□2000年2月12日(土) 晴れ
博多6:54→高速バスいまり号→9:00伊万里

明けて2月12日。それにしても暖かい。朝なのにコートが要らないくらいである。さすがに今年の「Spring Tour」に指定しただけのことはある。博多駅交通センターを早暁6:54発の伊万里行き高速バスに乗車する。経度の関係で博多の朝は遅く、山の端から太陽が昇ったのは発車後40分以上経って福岡都市高速を走り始めた後であった。
おそらく梅がほころんでいると思われる太宰府から九州自動車道に乗り入れて、バスは快調に走る。大分、熊本・宮崎・鹿児島、佐賀・長崎と九州の各県への道が分かれる鳥栖ジャンクションを右に進路をとり長崎自動車道へと入る。

日の出の遅い博多の朝
長崎道を西へ西へとひた走り、多久ICで一般道へ。多久駅もよりの多久バスターミナルを出た後、私はバスの中で今後の旅の行程について考え始めた。多久と伊万里の間はバスの足でも40分。多久は例の「チャレンジ九州2000キロ」のチェックポイントであるため、今年中に再訪しなければならない。バスの中でうんうん考えた挙げ句、伊万里から佐世保へ路線バスで出て、佐世保でレンタカーを借りてチェックポイントめぐりをすることにした。バスはそんな中、終点伊万里に到着した。
九州各県への要衝鳥栖jct

いまり号が終点に到着

伊万里駅ではわずか1分の滞在
伊万里9:10→西肥バス→9:50早岐田子の浦
早岐田子の浦9:52→西肥バス→10:07ハウステンボス
伊万里駅がチェックポイントのため、駅名標を撮影に行かねばならないが、伊万里バスセンターで確認したところ佐世保行のバスは1時間ヘッドで、数分後に出発するという。急いで駅に向かい入場券を買って駅名標と自分の姿を撮ってもらい、駅舎をデジカメに収めてバスセンターに戻る。駅にはわずか1分の滞在であった。
息を弾ませてバスに乗り込むとすぐ出発。九州はほとんど鉄道でしか回ったことがなかったため気づかなかったが、多久、伊万里、佐世保が意外に近いことが解った。バスは松浦鉄道に沿って走り、有田からはJR佐世保線と寄り添うようになった。ここでまた行程について考えた。このまま終点までバスに乗るつもりでいたが、早岐で乗り換えればハウステンボスに早く安く行けそうであることを思い付いた。ひとり旅はいったん行程を変えだすと、次々に計画からずれていく。まぁ改善されていくのだからよしとしよう。
乗務員さんに尋ねたら早岐田子の浦というバス停で乗り換えればハウステンボスに行くバスが出ているという。お礼を言ってバスから降り、すぐの接続でハウステンボス行に乗り継いだ。ハウステンボス到着は10:07ごろ。終点までバスに乗ったら、まだ佐世保駅に到着していない時刻であった。
ハウステンボスに入場する訳にはいかなかったが、雰囲気だけは楽しませてもらった。BGMにはFEN改めAFN佐世保から流れるオールデイズ・ナンバーをチョイスした。しばし休憩の後、駅へ向かう橋を渡り始めた。

結局路線バスを乗り継ぎ
ハウステンボスに到着

異国情緒溢れるハウステンボス

早春の陽光が降り注ぐ洋館

ハウステンボス駅への連絡橋
ハウステンボス11:07→シーサイドライナー6号→11:29佐世保
ハウステンボス駅では待ち時間があったため、春のような陽気の中、駅前の展望台でひなたぼっこを楽しんだ。また、ホームに出て列車や駅名標の撮影などをこなした。その後、11時すぎの佐世保行き快速「シーサイドライナー」に乗車した。列車は連休中日とあってか、けっこうな混雑であった。佐世保駅には今回突然の旅程変更で乗れなくなってしまった松浦鉄道のレールバスが待っており心苦しかった。平戸はこの次の機会にと心に誓った。

シーサイドライナー;佐世保

今回乗れなかった松浦鉄道

長崎道川登SAにてレンタカー&筆者
<レンタカー>
佐世保12:00→西九州自動車道・長崎自動車道→13:20多久駅

佐世保からはレンタカーのお世話になった。希望はヴィッツだったが、なにせ3連休中というのに予約を入れたのが1時間ほど前、旧式のスターレットMT車でも借りれただけよしとしよう。クラッチの切れが悪く運転に気を使ったが、佐世保みなとICから高速に入ればこっちのもの。AFNのAmerican Top 40などを聴きながら快調に西九州自動車道をドライヴした。
長崎道に入ってすぐの川登SAでひと息入れる。「チャレンジ九州」の特典で100円引きで仕入れた佐世保駅の駅弁「あなごめし」を食し、食休みもそこそこに本線に戻り、多久ICから多久駅へと歩を進めた。
多久駅13:25→R203・R34→13:55佐賀駅
チェックポイントの多久駅は、業務委託駅といわれる駅で、出札を引き受けている人はいるものの無人駅の扱いのため入場券を買わずに改札を入れる。まぁそれでは申し訳ないと思い160円区間のキップを購入した。駅名標を撮影し滞在5分で駅を後にした。
佐賀駅までは一般道で、クラッチの不具合に苦労したが30分ほどで佐賀駅に到着した。

業務委託駅の唐津線多久駅

古くからの高架駅である佐賀駅

逆光の中の長崎駅
佐賀駅14:15→R263・長崎自動車道・長崎バイパス→15:50長崎駅
チェックポイントの佐賀駅は駅舎内を改装中で、足の踏み場がないほど混み合っていた。しかし高架のホームに上がれば空いており、列車の撮影には適している。さっそく「鉄道写真館」用に813系をデジカメに収めた。もちろん駅名標と自分の姿を撮影したことは言うまでもない。
佐賀を出ればロング・ドライヴ。長崎まで100キロ以上の道程を行く。佐賀県と長崎県の県境地域の幾つかのトンネルを抜けると、水面が輝く海が眼前に飛び込む。大村湾である。鼻歌を口ずさみながらシーサイド・ラインを行く。旅先での運転も天気が良ければ最高だね・・・
長崎自動車道で最後になる木場PAで一息入れた後、長崎多良見ICから一般道へ。といっても長崎バイパスは高速の続きのようであったが。ちょうど名阪国道の天理の東に似ていた。西山トンネルを抜けたあたりから渋滞となった。長崎市内では「2000長崎ランタンフェステバル」の真っ最中。なんでも中国雑技など多彩なイベントが各所で行われているらしく時間があれば巡ってみたいが、今日はそんな余裕も無く残念。
30分くらい渋滞につかまった後、駅前の駐車場に車を停めて長崎駅へ。長崎電軌のチンチン電車が往来していたが、なんでもJ-PHONEカラーの電車を見ると幸運なことが起きると、地元の女の子が話していた。長崎駅でもチェックポイントの儀式を行い、夕食用に卓袱弁当という駅弁を100円引きで買い求めて、長崎の雑踏から脱出した。

J-PHONEの電車は幸運を呼ぶ?
長崎駅16:15→R34→諫早→長崎自動車道→17:30長崎空港
諫早までは趣向を変えて国道を進むことにした。やはり帰りもノロノロ運転で時間が気になりだしたが、長崎のドライバーのゆずりあいの精神には喝采した。脇道から出てくる車に対して丁寧に道を譲り、決して先を急がない。浜松でこんなことをしたら後ろの車からすぐクラクションを鳴らされるだろうなぁと思いつつ、自分の運転の余裕の無さを反省した。
道路は島原半島が遠望できる橘湾沿いを進み、その景色の良さに息を呑んだ。多良見を過ぎると今度は大村湾沿いにルートを変える。長崎は海の多いところである。諫早ICから再び高速に入り1区間走って大村ICで降り、長崎空港近くの営業所でレンタカーを返した。走行距離は240キロほどであった。

旅も終焉近し、諫早ICにて

レインボー777とANAのジャンボ
長崎空港18:25→全日空374便→19:35(10分早着)名古屋空港
長崎空港はちょうど夕陽が沈む頃であった。2日間の天気の良さと陽気に感謝し全日空374便のA320ユーロスターに乗り込む。飛行機に乗ってしまえば名古屋はあっという間で、15分ほど早着したこともあり空港の上を3周くらい旋回した。眼下に広がる街の灯りを観ていると、1993年9月の函館からの帰りのことが思い浮かんだ。あの時は機内オーディオでちょうどスティービー・ワンダーの「レイトリー」のカヴァーがかかり鳥肌が立つほど感動したなぁ・・・なんてことを考えていた。
名古屋空港19:38→名鉄バス→19:53西春駅
西春20:04→名鉄急行→20:14新名古屋
新名古屋20:19→パノラマスーパー→21:07豊橋
豊橋21:26→4116F→21:58浜松

空港を後にしたのは機内で一番だったろう。とにかく空港の玄関を出ると西春行きのバスが待っており、それに飛び乗った。あとは勝手知ったるルートで次々と来る電車来る電車に乗り継いで浜松に22時前に到着した。通常のリムジンバス〜新幹線に乗り継ぐルートをとったとしても名古屋空港19:40→20:12名古屋駅20:39→21:30浜松駅となり、それほど時間的な差はなかった。ともあれ毎週聴いているSBSラジオの「PCレスキュー隊」の時間に間に合ってめでたしめでたし!?

洛陽に染まるスーパージャンボ
<おしまい>

旅と音楽のこころへ