旅打ちブルートレイン


大井競馬場には東京モノレールで…

「旅打ち」と「ブルートレイン」。一見全く関係がないようだが、地方競馬場は撤退が相次ぐ一方でブルートレインも風前の灯である。いずれも10年ほど前と比べると激減している。今世紀になってから廃止された競馬場は、北から北見、旭川、岩見沢、上山、宇都宮、高崎、三条、益田、中津の9場。一方のブルートレインは、北からはくつる、北陸、銀河、出雲、あさかぜ、さくら、富士、はやぶさ、あかつき、彗星、なはの11列車である。「乗って残そう○○線」という看板をローカル線の旅でよく見かけるが、無くなってしまう前に、せいぜいブルートレインに乗り、地方競馬場で旅打ちに挑戦しようというのが今回の旅の趣旨である。とはいっても、今回旅打ちをする大井競馬場と盛岡競馬場は、地方競馬場の中でも1,2位を争う「上玉の」部類であり、簡単に廃止になるようなことはないと思うが…。

まずは、大井競馬場編。2010年5月21日金曜日、会社を早上がりして浜松駅を16時10分に発車するひかりで品川へ。新幹線の中で前祝いのビールを空けてしまったため歩くのが面倒になり、京急立会川駅より徒歩という当初の予定を変更し、浜松町から東京モノレールに乗車した。その名も大井競馬場前駅で下車して徒歩3分、大井競馬場の北門に到着した。

大井競馬収支表 (10.5.21開催)
レース 投資 回収 収支 累計
8R 2,700 3,850 +1,150 +1,150
9R 1,200 0 -1,200 -50
10R 3,000 15,080 +12,080 +12,030
11R 5,200 0 -5,200 +6,830
合計 12,100 18,930 +6,830 156.4%

大井競馬場は東京都区内にある唯一の競馬場である。それゆえ都心からのアクセスが容易であり、他の公営競馬に比べて経営状態が良い。ほとんどが平日の開催であるが、「トゥインクルレース」と称しているナイター開催であるため、施設の改善効果との相乗効果で、お客さんの平均年齢がかなり若い。その施設の中で最もゴージャスな空間と言えるのが、今回入場する「ダイアモンドターン」。中山競馬場のゴンドラシートと並び称される「食事ができる」指定席である。


ダイアモンドターンの入場券

まずは北門の案内所でダイヤモンドターンの入場券をもらう。あらかじめネットで予約し、クレジットカードで決済しているため、チケットの受け渡しはスムーズである。北門側からだと、ダイアモンドターンのある4号スタンドは最も遠い場所であるため、軽い散歩気分になる。新スタンド「L-WING」の前にあるパドックには、平日にもかかわらず大勢の人が競走馬に真剣な眼差しを送っていた。スーツ姿の人が多いので、私と同様に会社終わりに寄ってみたというサラリーマンが多いのだろう。

大井競馬場の外回りコースの直線は386b。パドックからちょうど最後の直線分歩いて、ようやく4号スタンドに到着した。1階部分は昭和の雰囲気を漂わす雑然とした感じだが、そこからエレベーターで4階に上がると、そこは別世界。地方競馬場の「特観」とはおおよそ想像もつかない社交場的なスペースだった。指定された席に着くと、さっそくオードブルがサーブされ気分がいい。ダイアモンドターンのサイトから印刷していったクーポンでウェルカムドリンクが無料になるので、さっそく生ビールを注文した(ちなみにソフトドリンクは飲み放題)。食事の方はバイキングスタイルで、おつまみ系は揚げ物が多い印象。ただし、グリルコーナーでは鉄板焼きのシェフがサイコロステーキなどを調理しているのでオススメ。また、サラダやデザート類が充実しているので、女の子を連れてくると株が上がるかもしれない。入場料は食事代込みで5,000円。香港にある沙田競馬場の会員席(外国人ツアーで入場可能)がこんな雰囲気で、「さすが紳士の国イギリスの領土だっただけのことはある」と思ったが、わざわざ海外に行かずとも非日常体験ができるのだから、入場料の5,000円は安いものである。


大井競馬場の記念馬券

さて、このまま食べて飲んでを繰り返していると、なんのために大井競馬場まで来ているのか分からなくなってくるので、本来の目的に戻ろう。次のレースは18時30分発走の第8レース。いつもの通り記念馬券のみ窓口で買って、それ以外は携帯で馬券購入というスタイルでいく。記念馬券の方は、ナイター競馬に相応しい「ムーンライディング」という名前に惹かれてG番の馬を購入。馬券を改めて見たら「ムーンランディング」となっており、「月の下を駆ける」のではなく「月面着陸」だったのかと苦笑。

本番の馬券は、「初めての競馬場では、ガミってもいいからまずは当てるのが先決」と思い、競馬新聞の本命印から馬連とワイドを総流しをかけた。結果の方は、記念馬券は当然のように外れたが、本番馬券は的中。それも3着に14頭立ての11番人気の馬が粘って入線し、合計1,150円のプラスになった。

次の第9レースは難解なメンバー。新聞には「上位拮抗」と書いてあったので、「ボックス馬券が良かろう」と思い、印が回っていた4頭の馬単ボックスを購入した。結果の方は、1番人気が1着に入線するも、2着に13番人気、3着に8番人気が入って、馬単、3連複、3連単が万馬券。馬券は当然外れた。

第10レースを検討している時に、はたと気付いた。この2レースに限っては、新聞の推奨する本命馬(=1番人気)は必ず連絡みしているが、3着以内に無印が来て波乱の結果になっている。ということは、最初に買ったように◎から総流しをすれば高配当をゲットできるんじゃないか。この推理はズバリと当たった。すなわち、第10レースの結果は、1着1番人気→2着13番人気→3着14番人気。馬連とワイドで合わせて15,080円の配当を得た。

人間の欲というものは恐ろしいもので、推理が当たってしまうと「もう一丁」ということになる。20時15分発走の第11レースは、本日のメイン競走。この後のスケジュールの都合で、自分としては本日最後のレースである。同じパターンで◎から総流しをかける。で、今度は馬連、ワイドだけでなく、欲をかいて馬単マルチも購入。発走前には生ファンファーレを間近で聞いて盛り上がったが、結果はダダすべり。軸馬は馬群に埋もれ、2番人気と4番人気がワンツーで、ボックス馬券なら的中というパターンだった。2匹めのドジョウはいなかった。おとなしく大井競馬場を後にした。


モノレールの駅から徒歩2分で北門に到着


観戦スタンドをバックに仕事終わりの筆者


夕暮れのパドック。夜になると雰囲気が変化


4号スタンド4階にあるダイアモンドターン


ゴールから最も遠いが優雅な観戦可能


バイキング形式なので空腹で来場のこと


サラダ類やデザート類が充実していた


1,600bと1,800bは目の前からスタート


外回りコースの長い直線での攻防


金曜日のナイター開催ゆえカップルが多い


非重賞で生ファンファーレは名鉄杯とここだけ


ゴール板を1着入線馬が駆け抜ける


あけぼの号ソロの寝台特急券

冒頭にも記したように、ブルートレインはもはや風前の灯。車体が青く、寝台車主体という定義でいけば、今回の「あけぼの」、「北斗星」、「日本海」の3列車が残るだけとなってしまった。昨今、列車が廃止になるたびに大々的に報道されるため、「なくなる前にちょっと乗ってみようか」という人が増えてきた感じがする。その証拠に、金曜日の下り列車は満員状態がずっと続いている。その中でもプライバシーが保たれる個室寝台は、とりわけ人気が高くプレミアチケット化しているといっても過言ではない。私も、旅行会社にあらかじめ依頼をして、発売と同時になんとか押さえてもらったほどである。

21時過ぎに上野駅13番ホームに着くと、青い車体に3本の金色の帯をまとった寝台特急「あけぼの」号が既にホームに据え付けられていた。車体にカメラを向ける人も多く、「次に無くなるのはこの列車…」という思いが伝わってくる。いったんホームの端っこまで行って先頭で引っ張るEF64を拝んだ後、指定された5号車の個室B寝台ソロの扉をくぐった。自室に腰を落ち着かせて上着を脱いで、ようやく一息ついた。これから12時間弱は、誰にも邪魔されない貴重な時間である。

21時15分に上野駅を発車。家路を急ぐ人たちが待つ都会のホームを次々に通過していく。その人たちの様子を見ながら飲む水割りの味は最高である。おまけにJR在来線では異例の「たばこを車内で吸える」権利付き。列車の旅はこうじゃなくっちゃという感じである。それにしても、こんな汽車旅の醍醐味を味わえる列車が少なくなってしまった。ほんの数年前は、浜松駅を21時台という使いやすい時間帯に発車する寝台特急がガラガラの状態で走っていて、思い立った時にこんな旅ができたのだが…

こんな感じでだらだらやっているうちに時が過ぎ、新清水トンネルを抜けて新潟県に入る頃にようやく眠りについた。翌朝は、窓の外の明るさで目が覚めた。時計を見ると4時前。初夏の夜明けは思いのほか早い。そうこうしているうちに日の出となった。場所は庄内平野、広大な湖のような田園地帯に朝日が昇っていく。水面に映る陽光が眩しい。幻想的な朝の風景だった。

4時過ぎでは、いくらなんでも起きてしまうには早すぎる時間なので、二度寝を決め込む。次に目覚めたのは、秋田到着を告げる車内放送がきっかけ。秋田からは昼行特急として立席特急券で乗客を迎える。私も夜行モードから昼行モードに切り替えるとしよう。

秋田から大館までの間は、ここ何年かの間に何度か訪れているため、いわば見慣れた土地。大館であけぼの号を見送り花輪線に乗り継ぐと、今度は見知らぬ土地が広がっている。ちなみに花輪線に乗車したのは過去に1回だけ。それも1992年4月以来18年ぶりでは、車窓を覚えていろといっても無理な相談である。

花輪線盛岡行普通列車はキハ110系2両編成。実はこの列車に乗るのも久々で、前回どこで乗っているか思い出せないほどである。JR東日本の非電化区間では主力となっている気動車だけに、いかにJR東日本の鈍行に乗っていないかということである。

大館を出発した列車は、しばらくのどかな田園地帯を行く。この路線の最初の見所は、十和田南駅でのスイッチバック。普通のスイッチバック駅は傾斜のきついところにあるが、ここは平坦な盆地にある。 現在の視点では、全く存在価値のないスイッチバックだが、歴史的に見ると興味深い。花輪方面から十和田南を通って、奥羽山脈を越えた青森県三戸を結ぶためにこのような線形になってしまったとか、前身の秋田鉄道が花輪と小坂町を結ぶためにこのような線形になってしまったとか、諸説あるようだ。まぁいずれにしても北方向への延伸は頓挫したため、今のような不思議なスイッチバックが残ったようである。

十和田南で進行方向が逆になり、ボックス席の反対側に座り直した。この儀式が済んで安心したのか、強烈な眠気が襲ってきた。この線路の名前になっている鹿角花輪は夢の中。再び目覚めたのは、県境付近の森の中を走っている頃だった。ほどなく岩手県に入り、安比高原に向けて下っていると前方に雪を被った山を発見。おそらく八幡平だと思うが、5月も下旬というのに、まだ手近な山が冠雪しているのはちょっとした驚きだった。

好摩からは元東北線、現IRGいわて銀河鉄道線に乗り入れ盛岡を目指す。車窓は依然として高原ムードで、こんもりとした丘が連なっている。大学生の頃、北海道を目指してバイクで北上していた時に、「盛岡から北は道南よりも北海道っぽい」と感じたが、そんなことを思い出させるような風景だった。


上野発の夜行列車で青森行。演歌の世界


長岡駅まで先頭で牽引するEF64


今じゃブルートレイン乗車もひと苦労…


人気の高いソロのキップはプレミアチケット


庄内平野の田園地帯に朝日が昇る


8時30分過ぎに大館に到着。ここで乗り換え


深夜の長岡駅で牽引を交代したEF81


赤いランプとテールサインが遠ざかっていく


久々の花輪線は久々のキハ110でGO


県境の峠付近には雪を被った山が見えた

盛岡競馬収支表 (10.5.22開催)
レース 投資 回収 収支 累計
3R 100 0 -100 -100
4R 2,100 1,940 -160 -260
5R 1,900 540 -1,360 -1,620
6R 4,200 6,590 +2,390 +770
7R 3,500 520 -2,980 -2,210
8R 2,800 3,650 +850 -1,360
9R 2,800 4,820 +2,020 +660
10R 2,800 320 -2,480 -1,820
11R 3,500 1,530 -1,970 -3,790
合計 23,700 19,910 -3,790 84.0%

盛岡駅前のバスターミナルから無料送迎バスで盛岡競馬場へ。競馬場に行くまで、ちゃんと位置関係を把握していなかったので、「駅から競馬場までバス30分といっても、どうせ郊外の北上川沿いにあるんじゃない?」とタカをくくっていたが甘かった。市街地をとおに外れた国道106号を不安になるくらい遠くまで連れて行かれた上に、国道を外れると急な上り坂となり、かなりの山奥まで行きそうな気配である。「本当にこんなところに競馬場があるの?」と思い始めたところ、パッと視界が開け、盛岡競馬場が出現した。山の上にある綺麗な競馬場、それが盛岡競馬場の第一印象である。

指定席券を買って正門ゲートをくぐると、まず最初に目が行くのが馬の銅像。背景の建物と一体化して見ると、ペガサスが翼を広げているように見えるのがミソ。振り返ってゲートの外を見やれば、頂にうっすらと雪を被った岩手山がそびえている。さすがに山奥に連れてこられた甲斐があって、都心部の競馬場と好対照の緑豊かな競馬場である。

さて、そのまま正面のスタンドに入りたいのをぐっと我慢して、右手のパドック側に足を運んでみる。そこはフードコートになっていて、名物のジャンボ焼き鳥もそこで購入できる。1本350円で、フライドチキンサイズの焼き鳥が3個ささっている。ねぎまのネギも大きく、こいつを2本と生ビールで昼食は終了という感じである。

メインスタンドの建物に入るとアトリウムがあり、冬場でも屋内で観戦できるようになっているのは水沢競馬場と同様である。また、JRAの馬券を発売しているのも共通で、盛岡に至っては、JRAエリアはなく、券売機が隣同士であった。2階に上がると、ガラス張りの自由席があり、この辺は中京競馬場の上を行っている。飲み食いするにはテーブルがないので不便だが、そうでなければわざわざ特観に入場しなくてもいいと思わせる充実ぶりである。

さぁいよいよ特観へ。3階が指定席エリアとなっていて、ちょっとテーブルが大きいGエリアに入場した。モニターテレビは付いていないが、テーブルの大きさは特筆もので、飲み食いはもちろん、競馬新聞が十分広げられる大きさで重宝した。第4コーナー側に位置しているため、ゴール前の迫力には欠けるが、コーナー寄りの芝生スタンドが広がる競馬場の景色は、予想疲れを癒してくれた。


テーブルが大きいG指定席

舞台が整って、それでは盛岡競馬にチャレンジ。12時20分発走の第3レースの締切が迫り、とりあえず記念馬券だけ購入することにした。馬名でおもしろいものはないかと探していると、「ノリノリ」という名前を見つけ、この馬の単勝馬券を購入した。レースはすぐにスタート。Eノリノリ号は先手を取り、3コーナーまではその名の通り乗り乗りで先頭を走っていた。「やいやい記念馬券が当たっちゃうかも」と思ったのもつかの間、最後の直線で失速し5着に終わった。「なんだノリノリじゃないじゃん」


ノリノリでもなかった記念馬券

続く第4レースから本格的に馬券を購入。大井競馬場のところでも書いたが、初めての競馬場ではガミってもいいから的中させておきたい。というわけで、競馬新聞にひとつでも印が付いている馬を全て買い目に入れた馬連ボックス馬券を購入。10頭立てのレースに7頭のボックス馬券なんて素人そのものの買い方だが、結果の方は1番人気→8番人気と決まり、1,940円の配当はまずまずだった。

第5レースは新聞では「順当」の見立て。3連複の軸2頭の部分を3頭のボックスにして、印のついた6頭に流し計19点を購入。こちらの結果は、新聞の見立て通り1番人気→2番人気の決着。的中するも大幅にガミってしまった。

3レースを終えて、記念馬券も入れて収支はマイナス1,620円。ガミり馬券ばかりで、まともに的中させておらず、次のレースから気合を入れて予想に取り組んだ。第6レースは新聞によると「上位伯仲」の見立て。こういう時こそ、前のレースでやったパターンが有効である。2頭軸部分を上位3頭のボックスにして、他の2頭に流す3連単マルチ馬券で42点買い。これで前半戦最大の勝負に出た。結果は1番人気が4着に沈んで、クリーンに的中。6,590円の配当を得て、トータルでもプラスになった。

少し気分を良くして次の第7レースに臨んだものの、こちらは3連複6頭ボックスの3着が抜けて、的中は馬連ボックスのみ。またも大幅にガミってしまい、収支はマイナスに逆戻り。しかし、続く第8レースで馬連3,650円の高配当を的中させてプラスに戻した。こうなってくると、私と盛岡競馬の壮絶な戦いの様相を呈してきた。

15時45分に突然ターフビジョンが切り替わり、見慣れた府中競馬場の映像が始まった。JRAの発売を行っているので、東京のメインレースだけは生中継するらしい。分かっていれば馬券をがっつり買っていたが、知らないものだから単複100円だけ購入しているのみ。それでも最後の直線では声が出た。昔とんねるずの木梨氏が言っていた「100円でも1万円でもドキドキは変わらない」という名言を思い出した。

第9レースからは特別レース。「北上川ゴムボート川下りレース」という、競馬だかボートだか良く分からないレース名が付いている。新聞によると全てのトラックマンの◎が1頭に集中している。ここは得意の3連複軸1頭流しで勝負である。ガミり覚悟で8頭に流し合計28点購入したところ、単勝1・2番人気が3着以内となったにも関わらず、4,820円の高配当。みたび収支をプラスに戻して、盛岡競馬とのデッドヒートは続く。

メインの第10レースは「盛岡さんさ踊りレース」。A組というオープンのすぐ下のクラスで行われる。「激戦」との見立てで、またも馬連ボックスで勝負したが、結果は2番人気→1番人気と最悪。大幅な取りガミとなってしまった。

そして迎えた最終レース。レース名は「盛岡花火の祭典レース」と華々しいものだった。前のレースを終わって、収支は約2,000円の赤字と、挽回は十分に可能である。こうなったら、最後まで競馬新聞の見立てを信用したい。最終レースの見立ては「上位伯仲」。複数の印が付いている6頭のボックス馬券で、最後の勝負に挑んだ。馬連は15点、3連複は20点で、合計3,500円の投資である。気合を入れてレースに臨んだが、勝利の女神は微笑まなかった。メインレース同様、2番人気→1番人気の着順で、馬連は当然ガミった。3着には5番人気が入線するものの、3連複も取りガミ。結局、記念馬券以外は全てのレースで的中したものの、収支はマイナス4,000円弱ということだった。

オケラ街道とまでは行かないものの、精魂尽き果てて盛岡駅行きの無料バスに揺られた。FMラジオから流れる「アバンティ」が耳に心地よく、癒された。


盛岡競馬場オーロパーク正門にて筆者


正面の馬の銅像が翼を広げたように見える


近代的でこぎれいな観戦スタンド


水沢同様、室内でも観戦が楽しめる


岩手競馬とJRAの発券機が並置されている


スタンド第1コーナー寄りからパドックを望む


他の施設同様パドックもこぎれいに整備


名物ジャンボ焼き鳥。1串350円なり


ゴール前100b。直線での叩き合い


ゴール板を通過する1位入線馬


指定席より馬場を望む。大きなテーブルが便利


第4コーナーから直線へ。白い砂が眩しい


第4コーナー寄りには芝生の観戦席がある


JRA東京メインレースの生中継もある


特観専用食堂から岩手山を望む


新幹線から見たシルエットの岩手山と落陽の図


八戸発函館行スーパー白鳥に1駅乗車


三沢シティホテルは駅と空港の中間点

盛岡は初夏の陽気だったが、東北新幹線で30分北上した八戸は、季節が逆戻りしたように感じるほど肌寒かった。ここで在来線に乗り継いで、今夜の宿泊地である三沢を目指す。スーパー白鳥25号は函館行き。シートポケットに挟まっていた車内情報誌もJR北海道のもので、既に北海道の庭先まで来ていることを実感した。「このまま終点まで乗り通せば22時前に函館に到着するのか…」と、北海道入りの誘惑に駆られながら、わずか12分の乗車で三沢で下車。人気が感じられない薄明かりの駅前に立った。

「三沢ほどの町ならば、19時台に駅と市役所を結ぶバスがないはずはない」と駅前をくまなく探したが、結局そんな都合のいいバスは見つけられず、おとなしくタクシーに乗車してホテルに向かった。市役所と繁華街にほど近い「三沢シティホテル」にチェックインし、さっそくAMラジオのスイッチを入れた。AFN三沢は、他のAFN局よりも80'sの頻度が多い印象。REOスピードワゴンの「テイク・イット・オン・ザ・ラン」は、ラジオで聴いたのはたぶん人生初だし、ジェリー・ラファティの「霧のベイカーストリート」は、高校時代に友人がアメリカ本土でエアチェックしたテープで聞いて以来じゃなかろうか…。ランダムに懐かしい曲がオンエアされるため、ついつい夜更かしをして聞きまくってしまった。

翌朝はホテルを10時にチェックアウトし、街歩きを兼ねて徒歩で三沢空港に向かった。気温は10℃を切っており、浜松では3月ごろの陽気で肌寒い。まずは三沢基地方向に進む。ホテルに来る時に気になっていた「アメリカ広場」は、いざ行ってみると何の変哲もない広場に小学校のような建物が建っていた。もともとはアメリカの郊外にあるようなショッピングモールのような建物を構想していたらしいが、景気の低迷により計画が頓挫。結局、防衛省の補助事業制度を生かして広場を整備したらしい。広場は赤白のストライプに青のラインが入り、アメリカ国旗をモチーフにした模様である。小学校のような建物はMGプラザという商業施設のようだが、全面開業が遅れているらしく日曜日の朝10時過ぎというのにひっそり閑としていた。

さてMGとはメインゲートの頭文字ということで、すぐ隣には米軍三沢基地の正門がある。自衛隊三沢基地との共用基地であるので、「US AIR FORTH」と「航空自衛隊」のレリーフが仲良く並んでいた。民間の三沢空港も同居しているということで、米空軍、航空自衛隊、民間の三者が揃っている日本で唯一の飛行場である。ちなみに三沢基地から戦闘機のF-16を飛ばせば東京まで15分とのこと。超音速の世界では日本はとてつもなく狭い。

三沢基地を離れ、再び東へ歩き出す。空港への道すがらには牧場があったり、楽天イーグルスボールパークみさわがあったりと、AFNを聞きながら楽しく歩いた。米軍基地が近いので、中古車屋さんの店先には、代金がドル表示のクルマがあったりする。また何の変哲もない不動産屋さんの看板は、バリバリの英語表示。青森の片田舎にあるリトルアメリカといったところだろうか…。

11時前に空港に到着。三沢空港といえば、全国的にかなり知名度の高い空港だと思うが、思いのほかこじんまりとしていて、沖縄の離島にある空港みたいである。13時35分の搭乗までたっぷり時間があるので、まずは屋上の送迎デッキを表敬訪問。100円の入場料を取る割には、ベンチの他には何もないところでちょっとがっかりだった。

11時過ぎに空港のレストランがオープンしたので、ラウンジ代わりに入ってみた。米軍の町ということで「タンデムドック」というソーセージを2本はさんだホットドックが名物らしい。生ビールと一緒にオーダーし、短い旅の打ち上げを祝った。

アメリカ国旗がデザインされた広場


三沢飛行場は米軍・自衛隊・民間が同居


市街地のはずれになぜか牧場があった


三沢空港の隣にある「楽天球場」


こじんまりとした地方空港の三沢空港


入場料100円の送迎デッキにて筆者


名物タンデムドッグをつまみに打ち上げ


MD90使用の伊丹行きJAL2166便

<おしまい>

競馬にイプゥー?へもどる

旅と音楽のこころへもどる