浜松~門司港 長距離ドライヴ


浜松から11時間走って関門橋

昨年11月に新車でワゴンRを購入してちょうど半年。若い頃に乗っていたセリカが懐かしくてミッション車を買ったが、半年も乗ったら昔の感覚を取り戻せた。と同時に遠乗りに出掛けてみたいと思うようになり、行先を物色していた。そんな時、名門大洋フェリーが今年6月30日までの限定で「ツーリストマイカー割引60」というチケットを販売していることを知った。軽自動車の航送料金にツーリストクラス1人分の運賃が付いて合計8,450円。寝ている間に北九州から大阪まで移動でき、クルマも運転せずにこの値段でフェリーを使えるなんて、最初は信じられなかった。旅行日をゴールデンウィーク直後の閑散期に定め、あとは自身とクルマの調子を整えるだけである。

2022年5月10日火曜日。未明の午前3時半過ぎに自宅を出発。東名の浜松インターより高速に乗った。1日で九州まで走るにせよ、ずいぶんと早い出発だが、これには訳がある。浜松~門司港間はETC料金で13,400円(軽自動車)だが、午前4時前に高速に入れば深夜割引が適用され9,380円となる。一方で浜松~門司港は約800キロあり、休みなしで平均100Km/hで走って8時間もかかる。もちろんそんなことはできないので、休憩を適宜入れたりすると10時間から12時間くらいかかると踏んでいる。新門司港の出航時刻は19時50分で、少なくとも18時30分くらいにフェリーターミナルに着いて、その前に門司港の観光を少しして…などと逆算していくと、朝4時前に家を出るのが結局得策となる。

浜松インターの料金所を3時50分ころ通過して、まずはミッションクリア。Youtubeの撮影のためいったん三方原PAにクルマを停めた。この時に撮影した動画から、最後に門司港に着くまでに9本に分割して順次アップしていく。興味を持たれたなら、この下の動画か、その下のリンクよりご視聴いただければと思う。

岡崎を過ぎたあたりで空が明るくなり、伊勢湾岸道の豊明付近で日の出となった。普段ならクルマを運転すること自体が珍しい時間帯なので、こうして早起きして遠乗りしたことで、非日常的な場所で朝日を拝むことができた。ロングドライヴで得られたオマケのようなものである。そうこういっているうちに名港トリトンを越え、木曽三川を渡って三重県に入った。大型トラックは多いが、基本的に道が空いていて走りやすい。


浜松から門司港までのドライヴを撮影したシリーズ動画。全9回のリンクは以下を参照

その1 その2 その3 その4 その5 その6 その7 その8 最終回

愛車ワゴンRと門司港駅

三重県はクルマを停めることなく通過。滋賀県に入って甲南PAで小休憩。本格的に休憩をとったのは、滋賀県、京都府と通過し、ふたたび新名神に入った宝塚北SA。朝7時半前に着き、ようやくここで朝食にありつけた。

宝塚北SAを出ると、神戸JCTからいよいよ中国自動車道に入る。今回は山陽道を通らず、あえて中国道を一気通貫することに決めている。90キロくらいでトロトロ走りたいのと、大型トラックに囲まれて走りたくないからである。想定どおり佐用インターくらいまで進むと、追い越す車も追い越していく車もまれな状態で、マイペースで思いのままに走れた。

岡山県に入り、いよいよ中国地方である。県境にほど近い楢原PAで小休止。ここを出て広島県内に入るまでが結果的にハイライト区間だったかもしれない。おおよそ高速道路とは思えないようなきついカーブの連続。最高速度は60キロに制限されていた。そして道路のアップダウンが厳しく、一気に燃費が落ちてしまった。まぁこれを体験したくて中国道を選んだので、文句は言えないが…。


九州鉄道記念館の2階から撮影

人里まれな岡山・広島県境を越え、帝釈峡PAで小休止。次の休憩は山口県に入ってからと決め、すっかり里に下りてきた感じの車窓にほっとする。千代田JCT、広島北JCTと立て続けに肋骨線を分け、再び山あいへと分け入って行く。Youtubeの動画にもしているが、広島県からいったん山口県に入り、島根県を少しだけ走って、また山口県に戻るという込み入った県境区間がおもしろい。ここを抜けて10分ほどで鹿野SAに到着。もう13時を回っていたが、ここで昼食休憩とした。


九州鉄道記念館の前にて愛車ワゴンR


名門大洋フェリーの新門司港ターミナル


大正ロマンが薫る門司港駅の駅舎。来年の年賀状の画像になりそう


ツーリストクラスはB寝台よりかなりマシ


フェリーきょうとのメインロビーにて筆者

徐々に北九州までの距離が減っていき、いよいよ二桁となった。あいかわらず中国道はどこを走っているのか分からなくなるようなインター名ばかりだが、その地名と一緒に表示されている地名で見当がつくようになってきた。両サイドから海が近づいてきた証拠である。やがて下関JCTで山陽道と合流。ついに本州の西の果てまでやってきた。

次の休憩は壇之浦PAに決めている。ちょうどこの前の日曜日に大河ドラマで壇ノ浦の戦いが描かれていた。それにしても伊豆からここまで遠征した北条義時はご苦労さんである。一方で屋島の戦いのシーンはなく、那須与一の活躍も語られず、香川県民は大いに嘆き悲しんだとか。

壇之浦PAでひとしきり関門橋を眺めた後は、実際にその関門橋を渡る。あっという間に海峡を渡り切り、九州上陸の感慨を抱く間もなく門司港ICで高速を降りた。そのまま門司港方面へと走り、15時30分ごろ門司港レトロ地区にある駐車場にクルマを停めた。家を出てから実に12時間が経とうとしていた。


ベッドには電源が付いている

門司港でまずやることは門司港駅の見学。前回訪ねた時は改装工事中だったので、今回はじっくりと見学。特に2階の「みかど食堂」は初めてで、お店は定休日だったが貴賓室は廊下から穴があくほど見た。

続いて門司港駅の隣にある九種鉄道記念館を訪問。JAF割引で入館料240円とお手軽な値段だが、渋い車両を展示しており、他のJR各社の博物館より、ある意味印象的な施設だった。というわけでこの2つの施設を押さえれば門司港はお腹いっぱい。少し早いが新門司港に向かった。


他のJR各社の鉄道博物館と比べると規模は小さいが魅力的な車両が展示されている


名門大洋フェリーの新門司港~大阪南港まで乗船から下船して高速までのドキュメント


展望回廊のカウンターでくつろぐ

フェリーターミナルには17時前に到着。それでも私より早く到着したクルマがいて。その列の後に並んだ。結局クルマごと船内に入れたのは18時40分過ぎ。その模様は左の画像からYoutubeをご覧あれ。

ツーリストクラスのマイベッドには向かわず、展望回廊にあった4人用ののテーブルと椅子をまず確保。そのまま一人酒となった。実は中国自動車道を走っていた時から「あ~あ、新幹線なら今ごろ飲みまくれるのに」と思うくらいアルコールを欲していた。

新門司港出港は19時50分。もうすっかり窓の外は暗くなっており、船が進んでいるのかどうかよく分からなかった。酒に酔ってしまったせいかもしれないが・・・。

<終>

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