鉄道開業150年の日


今春から走り出した「アロハ電車」

1872年10月14日に新橋~横浜間で鉄道が開業してから今年でちょうど150年。50年前の鉄道開業100周年の時には既に生まれていたが、ほとんど記憶がない。さりとて今から50年後の鉄道開業200周年の時には、きっとこの世にいないだろう。というわけで今回節目の鉄道の日、10月14日に新橋~横浜間を含む旅に出ることにした。前日の10月13日には、2年前のデビュー以来ずっと乗りたかったサフィール踊り子に乗車することにし、珍しく東海道線の鈍行で関東方面に旅立った。


熱海から伊豆急8000系で伊東に向かう。海側シートは西武NRAの再生利用

遠鉄百貨店でちらし寿司を買い、浜松駅の在来線ホームに上がると、いきなり想定外の出来事が。というのも313系8000番台のテーブル付き半個室シートで、ちらし寿司をつまみにビールでも飲もうかと思っていたところ、ホームで待っていた車両は211系のオールロングシート車。定期点検の日は313系8000番台に代わって211系が代走することがあるとは聞いていたが、よりによって今日でなくてもと思った。幸いなことに少し早めに駅に着いていたため、一本前の掛川行きに乗ることができた。掛川行きは313系の転換クロスシート車。なんとかこちらでビールを飲むことができた。

掛川でくだんの211系3連に乗り継ぎ、3駅先の島田で、この駅始発の熱海行き313系3連オールロングシート車に乗り換えた。島田から興津までの間ならどの駅でも乗り継げる列車だが、始発駅から乗った方がいい席が確保しやすいのは、読者もご存知の通り。ドア横のシートを陣取り、仕切り板をひじ掛けがわりに使って、少しでも快適にと思ったが、島田~熱海間の2時間弱を乗り続けると、さすがにお尻が痛くなった。

熱海駅で伊東線に乗り換え。伊豆急の車両が乗り入れてきており、私が乗車した13時41分発の下り列車は元東急の8000系。観光路線らしく海側はクロスシートとなっており、西武10000系(ニューレッドアロー=NRA)の廃車再生利用のシートが使われている。構造上リクライニング機能は殺されていて、ちょっと豪華なボックスシートという感じである。

わずか24分で伊東に到着。駅の停車時間を除くと、もっと短く編集されているので、左の画像からどうぞご覧あれ。さて天気が良ければ伊東市内を散策できたが、湿った東風の影響で関東近辺だけ雨模様となっており、相模湾に面した伊東も雨。これじゃ仕方ないので早々に駅に戻り、早めにホームで待っていたら良いことが起きた。14時55分発の熱海行き普通列車は、リゾート21のキンメ電車。後から入線してきた14時52分発の伊豆高原行きは、今春から走り出した、元JR東日本209系の伊豆急3000系アロハ電車だった。両列車が伊東駅で列車交換し、それぞれ発車していく様子は左下の画像からYouTubeで見られるので、よろしかったらどうぞ。

さて、なんやかんやで時間が過ぎて、ようやく本日の主役であるE261系サフィール踊り子2号が、伊東駅に入線してきた。コロナ禍のため営業を休止していたカフェテリアも、いつの間にか復活しており、急遽スマホで予約することに。この列車の最終回となる15時50分からの予約で、「伊豆産トマトのスパゲティ(1,250円)とティラミス&スパークリングワインのセット(2,300円)を注文した。列車は東海道本線に入っており、予約時間には少し早めだが、4号車のカフェテリアに移動した。カフェテリアに客は無し。貸切状態での食事となった。さてこの車両の形式はサシE261形。JR東日本の定期列車では、いつ以来のサシ連結なのか分からないが、とにかくサフィール踊り子に乗ったのならばカフェテリアを予約し、往年の食堂車の雰囲気を味わないと損である。で、ティラミスとスパークリングワインのセットを注文したのは、食事と一緒にアルコールを飲みたかったからで、アルコールの単品が用意できないのであれば、欲をいうと焼酎やウィスキーなどの蒸留酒系とセットにしてもらうといいのになぁと思った次第。

食堂車に満足して自席に戻ると、早くも茅ケ崎付近を通過していた。あいかわらず雨が降っていて車窓が映えないが、ゆったりとしたシートで飲み直しである。2列+1列のアブレストでシートピッチは1,160ミリ。電動のレッグレストを装備しており、リクライングシートを全開に倒してレッグレストを上げると極上の座り心地である。快適な車両に乗っている時ほど時間の過ぎ去るのは早く感じ、10分弱遅れて到着したにも関わらず「もっと乗っていたい」と思わせる車両だった。


水戸みまつホテルに宿泊

東京駅で特急ときわ71号に乗り継ぐ。この列車はちょっと豪華な通勤列車として利用されており、竜ケ崎市や牛久など、あまり特急列車が停車しそうもない駅にも丹念に停まっていく。鈍行のグリーン車と所要時間そして料金などを比べると、こちらの方が若干コスパがいいような気がする。列車の方は都内の夜景を見ながら進むが、さすがに茨城県に入ると車窓は暗闇となるので、駅以外は見るべきところがなかった。18時49分に水戸駅に到着。駅につながるペデストリアンデッキに出ると結構強い雨が降っていた。


湿った東風に吹かれ雨模様の伊東駅


海側にカウンター席が並ぶ4号車カフェテリア


伊東駅での「リゾート21」2100系キンメ電車と3000系アロハ電車の列車交換


全車グリーン車の特急サフィール踊り子に乗車。カフェテリアの模様も収録


フレッシュトマトのスパゲティ\1250


ティラミスとスパークリングワイン\2300


通勤利用がほとんどのE657系特急71号勝田行き。首都圏の夜景の車窓を中心に


水戸東照宮の徳川家っぽい鳥居

翌朝は、6時45分の食堂オープンとともに朝ご飯を食べた。無料サービスにしては豪華な内容だった。その後、7時15分ごろ水戸みまつホテルをチェックアウト。設備的には古いホテルだが、単に眠るだけなら、1泊3,750円で駅から徒歩5分、朝食付きなので大満足である。水戸駅まで歩く間に水戸東照宮の、いかにも徳川家っぽい柄の鳥居(上の画像)を見かけた。時間がないので参拝はしなかったが…。


水戸駅から徒歩5分ほど。シングル3750円で泊まれるみまつホテルの無料朝ごはん


ペデストリアンデッキと水戸駅

水戸駅を7時28分に発車する水郡線下り列車は、ラッシュとは逆方向の列車だったので、すんなり座ることができた。列車はキハE130系の2両編成。このごろのJR東日本のローカル列車にありがちなアコモデーションで、3扉のセミクロスシートである。


全長100キロ以上の長大ローカル線である水郡線のダイジェスト動画


新幹線ホームで買える「牛めし」
水郡線は過去に一度しか乗ったことがなく、それも30年くらい前の話なので、沿線の車窓はまったく覚えていない。まぁそれが新鮮でいいのだが。逆に一度しか乗っていなくても駅名は覚えているもので、上菅谷とか常陸大宮は大きな駅だったなと思っていると、実際に乗り降りが結構あったりして、ひとりで大きな駅当てクイズをしているようなものである。

E5系やまびこ134号の伸びやかな関東平野を行く車窓動画


郡山・福豆屋の「牛めし」\1300
山方宿の手前で久慈川が線路に寄り添うようになり、ちょうど進行方向右側で川が見やすいなと思ったら、鉄橋を渡り川面はあちら側に。袋田付近でまた進行方向右側に川が戻ってくるが、福島県に入り矢祭山を過ぎると、久慈川が見えなくなる。かつて白棚線が走っていた磐城棚倉を過ぎると、今度は阿武隈川水系となり郡山へと向かう。

鉄道開業150年を記念して鉄道の日当日に東海道本線の新橋~横浜間をレポート

水戸を発車してから3時間半。ようやく郡山に到着した。伊東からの株主優待割引の乗車券はここまで。郡山~大宮は「えきねっとトクだ値」の特急券付乗車券。そして大宮から浜松は無割引の乗車券利用となる。まぁとにかく11時ちょうど発のやまびこ134号に間に合わないとヤバいので、急いで新幹線ホームに移動。コロナ禍となってからは久しく見なかった、新幹線地方駅ホームでの駅弁売店がオープンしており、思わず買ってしまった。福豆屋の「牛めし」1,300円也。E5系の車内でハイボールのあてにした。

関東平野をゆるゆると走り、途中の宇都宮駅で謎の4分停車をして、約1時間で大宮駅に到着。ここからは上野東京ラインのグリーン車に乗って小田原まで行く。今回の旅の本来の目的である、東海道線新橋~横浜間を2階席から眺めようという算段である。正午すぎの空いた時間なので、大宮からでも首尾よく2階席の進行方向右側の窓側に座れた。くだんの新橋~横浜間は特別なにかイベントをやっているでもなく、日常の表情だった。その中で品川駅の発車メロディは「鉄道唱歌」と蒸気機関車の汽笛であり、鉄道の日に相応しい。さすがは日本最初の駅である。

終点の小田原に近づくにつれて、昨日に続いてまた雨模様となった。当地は局地的な前線が発生しやすい土地柄である。しかしもう今日は、浜松まで駅の外に出ることはない。列車に乗っている限りは「雨もまた良し」である。

<終>

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