釧路川〜釧路湿原から河口まで


年越しはANAクラウンPH釧路で

2015年1月2日金曜日。新千歳空港のANAラウンジで、このページを作成している。旅の途中でホームページを書き始めるのは、おそらく初めてである。昨年の大晦日より釧路で連泊し、今朝チェックアウトしてきた。たんちょう釧路空港を9時に出るフライトで、新千歳空港に着いたのが9時40分ころ。そして新千歳から中部空港に戻るフライトは15時05分発。延々5時間以上の乗り継ぎ待ちということで、ヒマつぶしを兼ねて、このページを作成しているというわけである。どうしてこんなことになったのか?それは、エアーの予約とJRの予約開始の時期が異なるということに起因する。

旅の2ヶ月前の10月31日午前9時半。私は満を持して中部〜新千歳往復ののプレミアムクラスを予約した。その時点で、大晦日の新千歳→釧路のフライトは旅割の最も安い運賃で予約済みだった。復路も飛行機という選択肢もあったが、往復同じ行程では面白みに欠けるため、釧路→新千歳はJRの特急スーパーおおぞら号にするつもりだった。そうこうしているうちに師走の声を聞き、12月初旬(予約開始の12月2日ではない!)のとある日に、そろそろスーパーおおぞら号の予約をしなければと思い至った(早く言えば予約するのを忘れていた)。すぐに浜松駅のみどりの窓口に行き、スーパーおおぞら4号の座席を確保しようと試みるも、普通車もグリーン車も既に満席。1月2日は既にUターンラッシュが始まっているのだ。既に出発まで28日を切っていたので、割安な旅割は使えない。泣く泣く復路も飛行機を予約することになった。ここで問題になるのは、既に予約が入っている新千歳→名古屋に乗り継げる便にしないといけないこと。釧路→新千歳は1日3便運行。2便目はタッチの差で乗り継げず、結局朝一番のフライトしか選択の余地がなかったのである。まぁ、こうして時間を有効利用しているので、ラウンジでの5時間の缶詰も少しも苦にならないが…(泣)。


1泊6,300円も16階のツインにUPグレード


大晦日の宿泊で年越しそばのプレゼント

今回の年末年始はカレンダーの関係で9連休となる。大晦日は、休みが始まってから既に5日目である。それまでの4日間は家でぐうたらな生活三昧だったので、3日間の旅に出るのも億劫な感じになっていた。それでも、気力を振り絞って旅をスタートさせた。なぜか年の終わりには後期のビートルズを聴きたくなるもので、行きがけの名鉄特急の中でアビーロードやサージェント・ペパーズなどを楽しんだ。特に「サムシング」や「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」あたりの静かな曲を聴くと、この1年間を反省したくなる。「年男だったが、あまりいい年回りではなかったなぁ」などと思いながら、中部空港への道をたどった。

新千歳空港行きのプレミアムクラスでアルコールを解禁させると、そこからは気持ちが悪くなるほど飲み通した。復路ほどではないが、往路も新千歳空港で3時間以上の長い待ち合わせがあり、タダなのをいいことにウィスキーをがぶ飲みしたのがいけなかった。釧路行きの機内ではもう限界で水をガブ飲み。CAさんに水をお代わりする始末だった。

たんちょう釧路空港から阿寒バスの空港連絡に乗車し、釧路フィッシャーマンズワーフMOOバスターミナルまで乗車。バスを降りると、目の前が今宵の宿で非常に便がいい。ANAクラウンプラザホテル釧路のシングル連泊の予約だが、1泊6,300円と年末年始の宿泊としては非常にリーズナブル。おまけにIHGゴールドの威力で、高層階(16階)のツインにアップグレードされ、さらにSFC特典で朝食もサービス。部屋に入ったら年越しそばまで用意されていて好印象だった。

今回の目的のひとつに、高倉健さん主演の映画「駅 STATION」の再現してみようということがあった。大晦日、紅白歌合戦から流れてくる八代亜紀の「舟歌」の場面。本来なら増毛の飲み屋で再現したいところだが、まぁ同じ北海道だから釧路のホテルの部屋でやってみようと思っていた。しかしネットの調子が悪く、肝心の1979年紅白大トリが、どうしてもつながらない。「こりゃダメだ」と思い、本当の紅白は見ずにフテ寝してしまった。目覚めると、まさに年が明ける直前。これほど大晦日っぽくない年はないなと思いつつ、年を越した。


部屋は釧路川河口が望めるオーシャンビュー


SFC特典で朝食無料。1階のレストランで


元旦ということでお雑煮付き(中央のお椀)


釧路といえば幣舞橋。MOOとホテルを背景に


幣舞橋は釧路のランドマークだとか

翌朝、遅めの朝食を取りに1階のレストランに行くと、定番のビュッフェだけでなくお雑煮がサーブされた。昨夜の年越しそばといい、このお雑煮といい、年末年始を家で寝転がっているよりも、ホテルで過ごしている方が、よほど季節の風物を感じさせてくれる。

さて、この日は旅の中日ということでショートトリップに出掛ける。11時ころ部屋を抜け出して、まずは幣舞橋へ。釧路のランドマークとして知られる幣舞橋のことを知ったのは私が中学生のころ。当時、鉄道趣味にハマっていた私は、日本国中の愛称つき列車を片っ端から覚え、帯広〜釧路間を走るローカル急行に「ぬさまい」の名が付いていることを知った。「ぬさまい」という奇妙な響きの言葉に興味を持ち、その由来を調べてみると、釧路川に架かる北海道を代表する橋の名前だということが分かった。その後、1980年10月の国鉄の合理化ダイヤ改正で、急行ぬさまいは廃止になり、以来ぬさまいを名乗る列車は今に至るまで走っていない。そして35年の時を経て、はじめて私は幣舞橋を渡った。元旦から、ちょっといいひとときだった。

1`ほど北大通を歩き、釧路駅へ。11時46分発川湯温泉行き鈍行に乗車する。峠越えがある釧網本線では、強力なエンジンを持つキハ54の単行列車が主力である。車内に入るとお馴染みの0系新幹線再生品の簡易リクライニングシートが並んでいる。宗谷本線もそうだが、辺境を行く鈍行の旅を快適なものにしてくれる。列車は定刻に発車。乗客はロマンスシートに1人ずつくらいで、適度に埋まっていた。私のように旅行客の姿もちらほら見える。遠矢駅を出てしばらく行くと、進行方向左手に真っ白な釧路湿原が広がる。この景色を楽しみにしていたが、雪景色だとラムサール条約登録の世界的な釧路湿原も、ただの原野も見分けがつかない感じである。

列車は釧路湿原駅に到着。当初の予定はここで降りて、有名な細岡展望台に登ろうと思っていた。しかし足元はスニーカーで、おそらく雪が積もっているだろう展望台への階段を、登っていくのは相当なアドベンチャーだと思い自重。数人の観光客が下車するのを見送り、そのまま車内にとどまった。

次の細岡駅に向かう途中で、釧路川が線路に寄り添ってくる。ホテルの窓から河口を見たが、わずか15分ほど列車に乗るだけで、これほど自然のままの釧路川を見られるとは、ここに住む人が羨ましい感じ。氷点下5℃の元日にも、この川にカヌーを浮かべている人を見て、「自分はそこまで自然を愛せない」と思ったのも事実だが…。


釧路駅から始まる1,000円のミニトリップ


11時46分発川湯温泉行きキハ54単行鈍行


車内は簡易リクライニングシートが並ぶ


当初は釧路湿原で降りるつもりだったが


釧路川と並走。釧網線は湿原の東端を行く


元日からカヌーを浮かべる人もいた釧路川


塘路駅舎を背景に筆者


塘路駅横の小さな公園にあった木組みの展望台から白銀の釧路湿原を望む。残念ながらタンチョウなどを見ることはなかった


塘路湖の付け根に架かる橋を渡る列車


ヘッドマーク付きの快速しれとこ号が入線


後部は巻き上げた雪でこの通り


日没が早い北海道。太平洋に日が落ちていく


岸壁に灯りがともりトワイライトブルーに染まる


上弦の月が海を照らす

釧路駅から鈍行列車に揺られて30分。塘路駅に到着した。代替案として塘路を選んだ理由は、折り返し釧路行きまで40分程度の時間が取れ、極寒の中で散策するのに手頃であること。郵便局や駐在所があり、少なくとも原野の中に駅があるだけというシチュエーションではないこと。塘路湖という釧路湿原の中でも最大の湖があり、先ほど記したとおり「ただひたすら白かった」という単調な湿原の景色ではなく、水辺の雰囲気が楽しめることである。そうとなれば、駅を降りたらまずは塘路湖を目指そう。除雪もされていない集落のメインストリートを歩き、すぐに信号機のある国道の交差点に着いた。本当はここで左折すれば塘路湖に行けるのだが、地図を持たずに、駅前の案内図のあやふやな記憶をたよりに歩いているため、右に曲がってしまった。すると峠へと続く上り坂になってしまった。道を誤っているとも知らずに、「塘路湖までは思ったよりも距離があるなぁ」と、さらにずんずん登ってしまった。さすがに交差点から10分ほど行ったところで「これはおかしい」と思い、もと来た道を引き返した。集落に戻ってくると、帰りの列車の時刻まで20分しかなくなっていた。駅から湖まで片道10分とのことだったので、湖に行くのを諦めて、駅の横の小さな公園で残りの時間を過ごすことにした。やぐら形式の展望台があり、ちょっと登ってみた。この駅から10数分かかるサルボ展望台や、先ほど触れた細岡展望台には遠く及ばないが、それでも釧路湿原を見渡すことができて一応満足。ここでタイムアップとなり駅に戻った。

帰りの列車は、一日一往復の快速しれとこ号。釧網本線の最優等列車である。といっても行きの鈍行列車と同じく、キハ54の単行である。釧網本線を全線通しで走る数少ない列車であるので、さすがに観光客が多く、車端のロングシートに座った。快速列車といっても、塘路の次の細岡を通過するだけで、所要時間は鈍行とさほど変わりはない。13時半ころ釧路駅に着き、14時前にホテルの部屋に戻ると、太陽は西に傾き、もう夕方の雰囲気だった。道東の冬の日暮れは早い。

翌朝、7時にホテルをチェックアウト。1週間も前から、1月2日朝の釧路は寒く、最低気温は氷点下10℃以下になると聞いていた。実際にその朝を迎えると、本当に寒く、氷点下13.6℃を記録したらしい。釧路川も結氷しており、川面の氷がぎしぎしと音を立てていた…。


午前3時半過ぎ、西の空に月が沈んでいく


幣舞橋の日の出。時刻は午前7時ころ


最低気温は-13.6℃。幣舞橋下の釧路川も凍る


赤い阿寒バスでたんちょう釧路空港に到着

<終>

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