Rail Trip『その先の日本へ』番外編〜羽越
超割で国際線機材のビジネスクラス座席


梅雨が明けぬまま羽越線の旅当日を迎えてしまった。おまけに数日前には新潟県中越地方で大きな地震もあった。しかし、天候がどうであれ、環境がどうであれ、超割で羽田〜庄内の便を押さえている以上、飛行機が通常どおり飛んでいればキャンセルはできない。ということで、この梅雨の期間中2度目の旅は、7月21日12時発の庄内空港行きANA895便で始まった。

この便は飛行時間45分と短いものの、アジア方面に使用されるボーイング767-300ERという機材を使用しているため、前方座席はビジネスクラスのシートである。スーパーシートとして使われているわけではないので、超割1万円也の運賃でも追加料金なしで座れる「乗り得シート」である。水平飛行中はシートを思い切りリクライニングさせて、つかの間のセレブ気分を味わった。リクライニングできた時間は30分少々だったけどね…。

羽田を出るときには薄日が差していたが、庄内空港は雨模様。東北地方に梅雨前線が停滞しているため仕方ない。空港連絡バスで酒田駅に移動し、いよいよ羽越線の旅の始まりである。本当は酒田から快速「きらきらうえつ」号に乗車してもよかったが、少しでも乗車時間を確保したいのと、「その先の日本へ」というタイトル通り、少しでも未知の土地を歩いてみようという理由で、吹浦まで「きらきらうえつ」を迎えに行った。

吹浦の滞在時間は約50分。あいかわらず小糠雨が降っており、駅の待合室で発車までの時間を潰してしまおうかとも思った。でも、初めて降り立った駅では、時間の許す限り周辺を歩き回るのが私の信条である。折りたたみ傘を開いて海の方向に歩き出した。踏み切りを渡って、国道を横切り、吹浦川にかかる橋を渡ると、ねずみ色の日本海が見えてきた。空と海の境目が判別できないほど、どんより曇った空の下に「出羽二見」を発見。伊勢の二見ヶ浦にならって付けられた名所らしく、昔の日本人の伊勢信仰のすごさを実感した一幕だった。結局、吹浦の収穫はここ一箇所。雨に濡れながら、いそいそと駅に戻った。

15時46分、雨の吹浦駅1番線に快速「きらきらうえつ」号が滑り込んできた。パッチワークを思わせるカラフルな4両編成の電車である。485系という特急型の車両を改造して走らせているため、快速といえどもリクライニングシートが並ぶ。観光列車らしいのは、運転席直後のデッキ部分に簡易展望スペースがあるところ。しかし、あいにくの天気でここに居座る人は皆無だった。

庄内地方の中心地である酒田、鶴岡の両都市を抜けると日本海が近づく。東北と甲信越を分ける鼠ヶ関を過ぎれば、羽越線のハイライト区間である「笹川流れ」である。車窓に広がる日本海を満喫するため、私は2号車に移った。ここには「茶屋」と呼ばれるミニビュッフェと和風ラウンジがある。茶屋で「きらきらうえつ弁当」を購入し、テーブル付のボックス席に腰を落ち着けた。さっそく弁当を広げると、一見幕の内風ではあるが、日本海の鱒、新発田の押し麩など地元の食材が満載だった。特に「辛子茄子」や「かきのもと」は初めて口にする食材で、いい体験ができた。

2号車まるまる共用スペースとしているにも関わらず、それほど利用する人も無かったので、弁当を平らげた後もそのまま居残ることにした。水割りをちびちびやりながら日本でも有数の車窓を眺める。越後寒川、今川、桑川、越後早川…。名前に川が付く駅が4つも連続する。笹川流れは、岩の間に流れる日本海の潮流を川に見立てたところから名付けられたとのこと。これで日本海に沈みゆく夕日が眺められたら最高なのだが、贅沢は言うまい。ヘッドホンからは、この時期の夕暮れ時にお似合いの「トワイライト・セクション」が流れている。悲しみのアンジー、伝説のチャンピオン、明日への道標、アイ・ニード・ユー、そしてレイラ。数多くの車窓を彩った名曲が並ぶ。至福のひとときだった。

笹川流れが終わり内陸部に歩を進めると、日本一の大穀倉地帯が広がる。梅雨時の田園地帯とくれば、思い浮かぶ曲はエリック・クラプトンの「ホーリー・マザー」。越後平野と覇を競う米どころの仙台平野・古川で聴いて以来、私にとっては梅雨時の定番である。終盤の泣きのギター・ソロが心に響いた…


雨の庄内空港にたたずむボーイング767-300ER


海の見える所まで歩くと「出羽二見」発見


特急も止まらぬ小さな駅の吹浦


快速きらきらうえつ号が吹浦駅に到着


運転席後方には簡易展望スペースがある


快速といえどもリクライニングシートが並ぶ

2時間42分の「きらきらうえつ」の旅を終え、18時28分に新潟に到着。中越地震の影響が心配されたが、週末の政令指定都市・新潟は普段どおりの賑わいだった。今夜の宿は、部屋から新潟のシンボル・信濃川と万代橋が眺められるホテルオークラ新潟。値段は張ったが、納得できるホスピタリティだった。特に朝食のバイキングは美味しかった。


2号車には和風ラウンジがある


部屋からは信濃川と万代橋が一望


2号車のミニビュッフェは「茶屋」と呼ばれている


和風ラウンジで弁当を広げる筆者


きらきらうえつ弁当には地元の食材が


羽越線のハイライトである「笹川流れ」


笹川流れが終わると大穀倉地帯が広がる


万代橋からホテルオークラ新潟を望む

新潟夏競馬V 収支表
レース 投資 回収 収支 累計
2R 1,600 1,010 -590 -590
3R 1,000 0 -1,000 -1,590
4R 3,600 13,730 +10,130 +8,540
5R 1,500 0 -1,500 +7,040
6R 2,100 0 -2,100 +4,940
合計 9,800 14,740 +4,940 (v^-^v)

翌7月22日は、新潟競馬場に出掛けた。ホテル最寄のバス停から乗り換えなしで競馬場まで行けるところが気に入った。万代シティバスセンター前を9時49分に出発。第2レースの始まる10時半前には、ゴール前スタンドに座ることができた。

今年の正月から馬券購入は例外なく1点100円を厳守しているため、配当の比較的高い3連複を購入することが多い。今日も第2レースは3連複16点買い、第3レースは同じく3連複を10点買いしたが、ガミったり、ハズレたりでマイナスがかさんでいく。第4レースは勝負をかけねばと思い、15番を軸に3連複を36点買いした。思い浮かんだ馬は全て買い目に入れる、いわゆる「投網方式」の買い方である。これが吉と出た。3着に人気薄の馬が入って万馬券。一気にプラスになった。

万馬券ゲットで嬉しくなって、ターフィーショップでお土産のTシャツを買ったのがマズかったのか、その後のレースは2つともハズレて終了。軸馬はちゃんと3着以内に来るものの、ヒモがなくて外れるという悔しいハズレかただった。メインレースを待たずに、これで新潟競馬場ともお別れ。正面ゲートに横付けされていた路線バスに乗り込んだ。

競馬場から新潟空港へも路線バスで乗り換えなし。ただし、蒸し暑い梅雨の晴れ間の下、けっこう歩かされた。新潟競馬場を出発して1時間後には、フォッカー50が新潟空港を離陸していた。


万馬券的中の瞬間〜新潟4レース


苦手の新潟で万馬券は嬉しかった


5レースのゴールシーン…新潟は暑かった


新潟空港からフォッカー50で帰途へ

<その先の日本へ 完>

旅と音楽のこころへもどる

競馬にイプゥー?へもどる