低 予 算 で 夏 の 旅


ANAクラウンプラザH成田に宿泊


私がアップしたYouTube動画の中で、電鉄会社の株主優待を使った低予算の旅を紹介する動画の評判が良かった。そこで今回は関東の電鉄会社の株主優待を利用して1泊2日の旅を実際にしてみようと思う。株主優待券を使う会社は小田急、西武、東武、京成の4つ。これで盛りだくさんの旅をしてみようと思う。

まずは小田急から。夏休み中の日曜日であるが運よくロマンスカーGSEの展望席(ただし後面展望ではあるが)が取れた。GSEに乗るのは初めてで、ましてや展望席なので朝からテンションが上がる。側面の車窓ではつまらないなぁと思っていた下北沢駅付近の地下区間も展望席からの眺めなら興味深く感じる。

新宿から池袋に移動し西武鉄道のラビューに乗車。青春18きっぷが利用できる期間だと首都圏の普通列車は特に混み合うが、私鉄の有料特急ならあらかじめ座席が確保されていて、その点は楽である。気分よく飯能まで移動し、乗車券は優待券でタダ、特急料金は600円である。

国鉄急行型を彷彿とさせる西武鉄道4000系電車。絶滅が危惧される電車

飯能駅で各駅停車に乗り換える。この列車こそが今回の旅の目的のひとつ。西武鉄道が小田急や東急の中古車両を車両更新目的で購入したというニュースは鉄道業界では驚きを持って受け止められた。その中古のVVVF車両が導入されることで押し出される対象となったのが、今から乗車する4000系電車。2扉セミクロスシートという国鉄急行型を彷彿とさせるアコモデーションを持ち、おおよそ西武鉄道らしくない電車である。とにかく無くなる前に早く乗っておこうということで今回の旅で乗ることにした次第である。

夏休みの日曜日に観光地の秩父を目指す列車ということで各駅停車ながら立ち客も出るほどの混み具合。なんとか車窓動画撮影のためクロスシートの窓側を確保した。実際に座ってみると腰のクッションが厚くて座りやすかった。昔の国鉄急行型のクロスシートだと背ずりが直角だったので長時間乗車では辛かったが、この電車ならいつまでも座っていられそうな感じ。こんな電車が無くなって行くのは惜しいが、環境性能面で劣るためサステナ電車と置き換えられるのも時代の流れではある。

秩父滞在20分少々で池袋行きのラビューに乗車。こちらのシートも秀逸な出来で、フルリクライニングさせて旅を満喫していた。ところが飯能で乗車してきた後列の中年女性がシートを立てるように主張してきた。そもそもリクライニングシートは倒すためにあるものですからと説明して引き下がってもらったが、こんなことは初めてで気分を害した。

閑話休題。池袋に到着後、都電荒川線(東京さくらトラム)に乗るために副都心線に乗車。一駅乗って雑司ヶ谷で下車。出口の目の前にある鬼子母神前電停からまずは早稲田方面に乗車した。都電荒川線には乗車するチャンスが何度もあったが、結局57歳のこの歳に初めて乗車することになった。せっかく乗るのなら全線制覇したいので、わざわざ早稲田まで行って、折り返しの電車で三ノ輪橋方面に戻ることとなった。この旅の目的のひとつだったが、走ったり停まったりを短いサイクルで繰り返し適度な揺れと相まって肝心なところで眠ってしまった。目覚めるとちょうど王子駅前の併用軌道区間だった。目玉区間のひとつを見落とさなくて胸をなでおろした。

三ノ輪橋まで都電を乗り通し、今度は東武の番である。日比谷線の三ノ輪駅まで徒歩連絡し、北千住からはお待ちかねのスペーシアに乗車する。このページでも散々コスっているが、スペーシアの普通席は下手なJRの特急グリーン車よりもシートピッチが広いのでゆったりと旅ができる。16時を回りお酒を解禁。強烈な夏の西日に照らされた関東平野の広大な大地を一直線に北上する。

18時前に下今市に到着し、18時に閉館するSL資料館をはじめとして、機関庫や転車台を足早に回った。「昭和レトロな下今市駅」として売り出し中なので、木造の駅舎や登録有形文化財に指定されている旧跨線橋など見どころは満載である。

下今市から北千住に戻り、今度は京成の出番である。関屋から上野に戻り、21時発のイブニングライナー209号に乗車する。こちらは平日なら満員となる列車だが、日曜日の夜ということでガラガラだった。これ幸いと酒が進む。成田空港に着いたら海外のホテルの雰囲気をまとう(今の時期なら東南アジアの空港ホテルか…)、ANAクラウンプラザホテル成田に宿泊。空港とホテルを結ぶシャトルバスも海外の空港ホテルっぽくて、それがまた良い。

昭和レトロに浸れる東武鉄道下今市駅。SL機関庫・転車台だけではない

<終>

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