ちょっとだけ、ワイン城
「神奈川のへそ」小田急&相鉄 大和駅

昨年の5月に計画していた北海道・池田への旅は、一度めの緊急事態宣言のため中止した。今から思えば当時より今の方がCOVID-19が流行っていると思うが、さすがの自分も当時北海道まで行く度胸がなかった。それから1年。高齢者へのワクチン接種が進み、感染症予防のコツも分かってきたので、ようやく北海道行きを決めた。

今回は久々に2泊3日の行程である。もともとの予定は仕事が終わった後に出発して、羽田空港周辺に1泊。翌日の早朝便で千歳に飛ぶとい段取りだった。しかし当初出勤日だった前泊の日も休みとなったので、首都圏の私鉄乗りつぶしをする小旅行を頭にくっつけた。というわけで、6月23日水曜日、8時45分に東名浜松北を発車する「東名スーパーライナー52号」で旅立った。

東名大和までの模様は、下にリンクを貼っているYouTubeを見ていただくとして、動画でもしゃべっているが、朝一番の東京行きのバスは、ほかのバスが停まらない日本坂PAで休憩をとる。動画の中では「理由が分からない」と言っているが、どうやらこの便だけ東名静岡でドライバーの交代をしないため、代替として日本坂に停まるらしい。本当かどうかかは分からないが・・・。


江ノ電に通しで乗るのは初めて?

東名バスでよく見る光景で、親御さんがバス停まで見送りに来るというのがある。このバスでも2組ほど目にした。私も学生時代は、遠鉄と静鉄が共同運行していた高速バスに乗るために、産業展示館(現浜松インター)バス停まで送ってもらっていた。この歳になると親のありがたさが身に沁みる。春先にツバメの巣を見て、「あんなに小さな生き物でも子育てをしているのに、自分は・・・」となってちょっと考えてしまうことがあるが、こんなふうに高速バスに乗っていても、そんなことを思い、過ぎ去りし人生を後悔したりする。

東名大和で下車し、小田急大和駅まで1.5キロほどの徒歩連絡。バスが30分ほど遅れていたので、予定よりも20分遅い電車で藤沢に移動した。藤沢からは江ノ電に乗車する。江ノ電に乗るのは初めてではないが、以前乗ったのが確か藤沢〜江ノ島間だけだったので、全線通して乗車するのはおそらく初めてじゃなかろうか。こちらもYouTubeにアップしているので見ていただければと思う。江ノ島発車後の併用軌道区間や鎌倉高校前付近の湘南の海、あるいは長谷付近のアジサイなど見どころは押さえたつもり。吊りかけモーターは今どき珍しく、音声もなかなかいける…。


JRの逗子駅から徒歩で逗子・葉山駅へ


当初予定していなかった浦賀駅を訪問


京急のどんづまり駅・三崎口にて筆者


狙い撃ちした京急2100形の快特で蒲田へ


「神奈川のへそ」東名大和へダイレクトに行ける東名スーパーライナー

鎌倉から逗子へ横須賀線で一駅移動し、逗子・葉山から京急に乗車した。JRの逗子駅から京急の逗子・葉山駅まで割と距離があり汗が噴き出した。電車の発車時刻が迫り、思わずクセでスイカを改札口でかざしたのはマズかった。京急は株主乗車券で乗る予定だったのだ。予定では金沢八景で乗り換えて三崎口に行くつもりだったが、もう1区間追加しないといけない。というわけで、堀ノ内で乗り換えて浦賀に向かった。京急の終着駅を、いっぺんに3カ所巡ることになり、貴重な経験でこれはこれでよかったのかも。

浦賀での5分の折り返し時間で駅舎の写真を撮り、乗ってきた電車に逆戻り。今度は株主乗車券を改札に通した。堀ノ内で2100形の快特に乗り継いで三崎口へ。この列車の折り返しが、もともと乗車を予定していた快特品川行きになるので、カツカツの乗り継ぎだ。ちなみにこの列車を逃すと、2時間ほど2100形が来ない。快特に乗車するなら転換クロスシートに乗りたいのが人情なので、この列車だけは外せない。

快特品川行きは15時16分に三崎口を発車した。こちらもYouTubeにアップしている。車内は空いていて、隣の席に人が座ったのは上大岡〜横浜間のみ。基本的にこの時間の上り列車はガラガラである。16時14分に京急蒲田に到着して、羽田空港行きのエアポート快特に乗り換え。この列車も空いており、16時半すぎに終点に到着。今宵の宿は空港内にある羽田エクセル東急である。

ホテルに17時前にチェックインし、やることといったらシャワーを浴びて呑むだけ。ちょうど18時からNHK-BSで街角ピアノをやっていたので、それを見ながらハイボールを飲んだ。地元の新東名浜松SA上り線にあるヤマハのグランドピアノの回で、さまざまな人間模様を見せられた。見終ると、ピアノが弾きたくなった。ホテルの部屋でそういう訳にはいかないので、高校3年の時に学校祭でやった弾き語りのライブを聞くことにした。音源だけはYouTubeにアップしているので、いつでもどこでも昔のライブが聞けてしまうのである。それを聞いたら、今度はスティービー・ワンダーの「レイトリー」のカバーが聞きたくなって、YouTubeのハシゴ。歌声は拙いが、N氏に弾いてもらったピアノは見事だった。結局、それで本物の「ホッター・ザン・ジュライ」が聞きたくなり、YouTubeで検索。こうして夜が更けていくのだった・・・。

翌朝は空が白み始めた午前4時前に起床。JALのサイトで調べたら、搭乗予定便に1席だけクラスJの空きがあった。搭乗する予定の千歳行きJAL501便は、なぜかこの日だけ満席で運航。感染症予防という面からも、どうせならクラスJで飛びたい。というわけで朝5時にホテルをチェックアウトし、南ウイングの営業開始時刻である5時15分に、端末を操作してアップグレードしようという算段である。

羽田エクセル東急に泊まった人ならお分かりいただけると思うが、ホテルからJALの北行きの便に乗ろうとすると大変である。ホテルと第1ターミナル北ウイングは高速を挟んで目と鼻の距離だが、連絡通路経由で10分以上歩かされる。まぁその甲斐があって、無事に残り1席にありついた。

羽田空港から新千歳空港までの模様もYouTubeにアップしたので、こちらもご覧いただければ幸いである。JAL501便は多少遅れたものの、予定していた快速エアポート83号にゆうゆう間に合った。3扉転換クロスの721系6両編成で、本土の列車と違うのはデッキが付いていること。登場以来30年以上経過して、そろそろ寿命を迎えそうなので、乗れるときに乗っておきたい車両である。

南千歳からは特急とかち1号に乗車。JR北海道の主力車両であるキハ261系の運行である。普通車でもシートが上質で好きな車両であるが、なにせこの日の乗った4本の特急がすべてこの車両で、ちょっと食傷気味だった。例によって帯広までの乗車の模様もYouTubeにアップした。ここまでくると動画の撮影ばかりで、本当に旅を楽しんでいるのか疑わしくなってくる。


帯広名物「豚丼」を食らう

日本三大車窓と称される狩勝峠の景色を愛でて十勝平野へ。新得、十勝清水、芽室とこまめに停まって、10時41分に終点の帯広に到着した。帯広での待ち時間の1時間で、名物の豚丼か味噌ラーメン(道内ならどこでも美味しい)を食べたいと思っていたが、駅ビルのエスタに「ぶたはげ」という豚丼屋さんがあったので、迷わずそこに入った。この飯テロ動画もYouTubeに上げたので、興味があったらどうぞ。


羽田空港で出発を待つJAL501便


18きっぱーだった頃からお馴染の721系


車窓の最大の楽しみである狩勝峠


キハ183系は淘汰されキハ261系ばかり乗車


実に10年ぶりに来た帯広駅


池田駅横にそそり立つワインオープナー


池田町民でなくても買えます

再びホームに戻って、11時39分の特急おおぞら3号で池田に向かった。池田駅から徒歩数分のところに池田ワイン城があり、ここが今回の旅の目的地である。とはいえ時間の都合でレストランには寄れず、屋上の展望デッキで雄大な景色を眺めたのみだった。北海道には梅雨がないというが、まさに梅雨時のどんよりとした天気で、これが晴れていればどんなに良かったかと思った。

ワイン城を出発する前に売店で「町民用ロゼワイン」を購入した。「町民用」といっても誰でも買えるし、通販だってある。720mlのボトルで999円。もちろんこの後に列車の中で飲むつもりである。

池田から帯広に戻る列車はキハ40だった。それも国鉄一般色。実はキハ40が登場した頃には、ディーゼルカーは首都圏色(いわゆるタラコ色)となっており、一般色で新製された車両はなかったような?まぁそんなことはどうでも良くて、消滅間近の国鉄型車両をじっくりと味わった。当然、これもYouTubeにアップしている。

帯広での16分の待ち合わせ時間を使って、駅ビル内にあるコンビニで買い出し。ここから遠く仙台まで「呑みテツの旅」となるので、ツマミやらレモンサワーやら氷やらいろいろ購入。意気揚々と特急とかち8号に乗り込んだ。とはいってもまだ13時台。本格的に飲み始めるのは、南千歳で乗り継いだ、特急北斗18号からである。

この旅の中で最も至福の時間を過ごしたのは、南千歳〜新函館北斗間の北斗18号車内だった。南千歳発車が16時6分といい時間で、動画撮影からも解放され、乗車早々車内で宴を開いた。白老あたりからは夕暮れの海を見ながら杯を傾ける。ツマミもいわゆる乾き物ではなく惣菜系を仕入れているので、辛口の町民用ロゼワインが進む。そのうちまどろみの時を迎え、目覚めると大沼公園の中を走っていた。若い頃から好きだった駒ケ岳を見ながら、再び杯を重ねる。そんなこんなであっと言う間に新函館北斗に到着。3時間って案外短い・・・。

新幹線ホームにまだ薄明りが残る中、E5系10両編成が入線してきた。今日最後の列車となる「はやぶさ96号」。新青森から各駅に停まる仙台行きである。さて、今月から全てのはやぶさ号の1号車はリモートワーク推奨車両となった。はやぶさ号は全車指定席だが、この1号車は指定席を販売せず、同じ列車の指定券を持っていれば、1号車で他の人を気にせず車内でリモートワークができる。もちろん自席で電話はかけ放題。パソコンのキーも叩き放題である。この報道があってから、「いったいどれだけの利用者がいるだろう」と興味を持ったが、この日のこの列車に限っては、利用者は私1人だった。まぁその1人も仕事でこの車両を使ったわけではないが・・・。

さて、このリモートワーク推奨車両で、時間があれば動画の編集作業をしようと思っていたが、実際はメールやネットのチェックとTverの閲覧しかしなかった。どうも旅の途中で動画編集をやり出すと、そこから旅ではなくなってしまう気がする。まぁさんざん酔っぱらっているので、動画編集しても、またやり直すハメになりそうだが。

仙台到着は23時1分。旅の中日に、こんなに遅くまで列車に乗ったのは久々だ。今夜は仙台の常宿であるANAホリデイイン仙台に泊まる。駅から徒歩数分であるが、自分でも分かるほどの千鳥足で、なんとかホテルにたどり着いた。


池田ワイン城にて筆者


ワイン城屋上の展望デッキからの眺め


池田駅を中心に箱庭のように広がる街


国鉄一般色に塗り替えられたキハ40


十勝平野の伸びやかな風景をつまみに呑む


噴火湾の夕景をつまみに呑む


暮れなずむ大沼・小沼を眺めながら呑む


19時半前、まだ明かりが残る新函館北斗駅


1号車はリモートワーク車両

翌朝は部屋でゆっくりして、9時半ころにチェックアウト。仙台駅構内でお土産やら駅弁を買っていたら、既に特急ひたち14号は6番線に入線していた。隣のホームの列車が発車した10時頃にドアが開いた。さっそく車内で動画撮影。その動画は下の画像からどうぞ。

10時13分定刻に発車。新幹線開通前は、仙台から上野に向けて昼夜たがわず特急が常磐線を走っていたが、今では数本が直通するにすぎない。それでも震災から復活して、この令和の代でも浜通りを走る特急が残ったのは奇跡的である。終点品川までの4時間半余りをじっくり味わいたい。


新青森から先は各停となる はやぶさ96号


結局1号車には私以外の乗客は来なかった


仙台→品川 4時間半 特急ひたちの旅


楽しみにしていた ひたち14号で品川へ

震災後、最も開通するのが遅かった双葉駅周辺では、ちょっと胸が締め付けられた。ようやく避難指示が解除された場所であり、いろいろ考えさせられることも多い。列車はそんなことお構いなく快走し、いわきを抜けて茨城県内に入る。この辺から乗車客が増え始め、ビジネス特急の面目躍如。最高速度もいわきから120Km/h、日立からは130Km/hに上がっており、車窓の風景はあっという間に後ろへ過ぎ去っていく。とことこと浜通りを走っていた時間を取り戻すかのように、列車は一路首都を目指した。
<終>

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