Spring Tour '24

指 宿 大 返 し


「指宿のたまて箱」車内で呑みテツ



1989年の2月に10日間くらいかけて大学の卒業旅行と称して九州を回った。その旅が忘れられずこうして今も2月にSpring Tourに毎年出掛けている。そして今回は35年前の旅のハイライトとなった開聞山麓自然公園前バス停を訪ねる。1989年2月14日の正午前後にこのバス停で降りて、次のバスを待つ間の陽光の眩しさといったらなかった。さすがは南国と感じたものである。今回の旅もちょうどバレンタインのお昼過ぎにこの地を訪ね、35年前の再現を果たそうと思っている。果たしてどうなるか。。。

35年前の卒業旅行では浜松駅から寝台特急富士のB寝台に乗車した。幅70センチのベッドの上で膝小僧を抱えて旅立った時から35年。今回は同じ夜の移動でも、ひかり号とのぞみ号のグリーン車を乗り継いで九州小倉を目指す。35年の間に旅のスタイルは随分と変わった。

35年ぶりに訪問した開聞山麓自然公園入口バス停は曇り空。陽光燦々だった再現ならず


麺屋二郎指宿駅前店で遅い昼食

翌2月14日、小倉駅の上に建つホテルを早々にチェックアウトし、特急かささぎ101号で博多、そして九州新幹線みずほ601号で鹿児島中央へ移動。朝10時前には鹿児島中央駅に到着した。今回はJR九州の株主優待券「1日乗車券」を利用しているので、特急料金は別払いだが、九州内は乗り放題である。

磁気券でないので新幹線から乗り継ぐにも有人改札を利用。指宿枕崎線のホームに着くと枕崎行き普通列車が入線する前なのに列車を待つ人が並んでいた。午前10時台の逆方向の列車なので意外な光景だった。

久々にキハ47のボックスシートに座り開聞まで2時間あまりの鈍行旅。海側に座ったので時折見える錦江湾の眺めに心が洗われる。指宿、山川と停車すると車内は閑散となり、いよいよお目当ての開聞岳が見え始める。当初の予定では開聞駅で降りて路線バスで開聞山麓に向かうつもりだったが、薩摩川尻で下車し徒歩で開聞山麓に向かうことにした。正午の時点では陽射しがあったが、バスを待つ間に天候が悪化するおそれがあったからである。

薩摩川尻駅から開聞山麓自然公園前バス停までは約2キロの道のり。雄大な開聞岳を右手に見ながらピクニック気分で歩いた。薄い雲がかかっていたが、南国の陽光が照り付けており、35年前のバレンタインの日もこんな感じだったなと感慨深かった。

開聞山麓に着く頃にはすっかり曇ってしまっており、結果的に歩いて正解だった。バス停周辺でカメラを回し2分ほどの動画に編集したのでよろしければ左上の画像からどうぞ。

その後、鹿児島交通の路線バスで指宿駅に向かった。途中、長崎鼻を経由するが、以前は入口前のバス停に乗り入れていた長崎鼻パーキングガーデンに寄らなくなっていた。県道からパーキングガーデンの駐車場に下って行く様は、今もたびたび夢に出てくるほど印象に残っている場面だが、35年も経てば変化してしまうのも致し方ない。

14時前に指宿駅前に到着し、駅の近くの麺屋二郎指宿駅前店で「焦がし豚骨かさね味」(900円)を食べた。ランチの時間帯だと行列ができるほどの店だそうだが、さすがにこの時間は空いていた。

ふたたび駅に戻り、昨日の残りのハイボールを飲もうとリュックをあさると、入っているはずの2つの水筒がない。ここでようやくホテルの冷蔵庫に水筒を忘れてきたのに気が付いた。このまま行程通りの旅を続けるか、小倉に忘れ物を取りに戻るかさんざん迷ったが、1日乗り放題きっぷを持っていることもあり小倉に戻ることに決めた。以下が変更前と変更後の行程の比較である。

<変更前>
指宿15:07→16:00(指宿のたまて箱6号)鹿児島中央16:18→18:23(きりしま14号)南宮崎18:28→19:50(ひゅうが8号)延岡20:07→21:11(普通列車)佐伯21:16→22:39(普通列車)大分

<変更後>
指宿15:07→16:00(指宿のたまて箱6号)鹿児島中央16:17→17:43(さくら568号)博多18:00→18:44(ソニック45号)小倉(ホテルへ往復)19:11→20:42(ソニック47号)大分

秀吉の中国大返しではないが、壮大なる逆戻りの旅が始まった。最初の列車は指宿のたまて箱6号。国鉄型の一般気動車を水戸岡デザインの力で観光特急に仕立てたアレである。アコモデーションも含めて車内の様子は動画としてアップしたので左の画像からどうぞ。

小倉のステーションホテルで無事に2つの水筒と再会し、その中身のハイボールで大分まで呑みテツ。883系の自由席であったが、シートピッチの広い車両中央の席に座って大名気分で大分に向かった。


開聞駅まで行くつもりが薩摩川尻駅で下車


ここから急遽小倉駅まで逆戻りすることに


指宿駅から「指宿のたまて箱」6号に乗車し大返し開始。アコモはさすがな水戸岡風

<終>

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