全国旅行支援で金沢へ


地域クーポンで昼食代も

はじめに

今秋から始まった全国旅行支援。2020年秋に利用した「GoToトラベル」との差異が分からないが、まぁとにかく各都道府県が主体的に中止できるというのがミソなのだろう。職業柄、毎日他人が割引価格で宿泊しているのを見るとちょっと悔しい。そこでJRチケットも割引となるJR東海ツアーズのプランを予約し金沢に行くことにした。日曜日の夜、仕事が終わってから浜松を出て、深夜に金沢のホテルにチェックイン。翌日午後まで北陸鉄道の乗りつぶし旅を楽しみ、宵の内に浜松へ帰ってくるという行程である。


北鉄金沢と内灘を結ぶ北陸鉄道浅野川線の車窓動画


金沢マンテンホテルの朝

予想以上の混雑ぶり

全国旅行支援が始まってから観光地や交通機関が混みだしているという話を聞いていた。しかし静岡県民特急と私が呼んでいる静岡、浜松停車のひかり号、それも日曜の夜の下りで浜松からの乗車なら指定席はガラガラだと思っていた。ところが予想以上に混雑しており、E席の私の隣には浜松から米原までずっと隣客が座っていた。この列車が停車する岐阜羽島や米原でも降りなかったところをみると、格安のツアーで「ひかり号指定」なのかなぁと思った。それにしてもこんなことは今までなかったことである。


特急しらさぎ15号 夜の北陸路

米原では24分の待ち合わせで特急しらさぎ15号に乗り継ぎ。こちらの指定席は危惧したほど混んでいなくてひと安心。スマホに持ち出したテレビ録画を見ながら、チビチビとウィスキーを飲んでいた。夜の北陸路といえば私が若かりし頃の思い出がある。今から35年前の12月、私が大学3年のころ初めてワイド周遊券というものを使って旅をした。それが北陸ワイド周遊券で、つごう4泊するうちの3泊までが乗り放題の急行の自由席。22時台の急行能登上野行きで金沢を出発、日付が変わった糸魚川で下車し、大阪行きの急行きたぐにに乗車、未明3時の小松で降りて、30分くらい後に来る新潟行きのきたぐにに乗り換え、再びワイド周遊券の東の端である糸魚川まで乗車して宿泊代を浮かすというパターンを何回か使った。今思えばよくこんなことをやったなぁと思うが、当時の乗り鉄はワイド周遊券を持って夜行急行の自由席に乗車し宿泊代を浮かすことは普通だった。そんなわけで北陸新幹線開通を控え綺麗になった小松駅を通ると、時代の流れを感じた。


金沢マンテンホテル

金沢到着は22時50分。当地は雨が降っており、駅から徒歩2分の距離だが仕方なく傘を差した。全国旅行支援でツアー代金は15,700円に割引されており、ホテルのグレードには期待をしていなかったが、いい方に期待を裏切られた。ホテル内に大浴場があり、露天風呂が付いていた。眠いのを我慢してお風呂に行ったが、露天風呂には紅葉が植えられており、落ちてくる雨もまた風流だった。

翌朝は7時半ころに朝食をとった。YouTubeにも内容をアップしたので、興味があればどうぞ。というわけでホテルでやるべきことを全て終えてしまい、このまま部屋でだらだらしているのも時間の無駄であるのでさっさとチェックアウトすることにした。予定では北鉄金沢駅を9時30分に発車する浅野川線に乗車するはずが、8時39分発に乗ることができた。


内灘海岸へ

北鉄金沢駅の窓口で「北陸鉄道鉄道線全線1日フリー乗車券」を購入。これを買うにも地域クーポンが使えたのでなんか得した気分だった。浅野川線は終点まで17分ほどの短い路線ながら、駅間距離が短く起点終点も含めて駅が12もある。ほとんどが棒線駅で、動画を撮影していてもことごとくホームが逆側にあってつまらない動画になってしまった。そんなイマイチな動画は左上の画像からどうぞ。

8時56分に終点の内灘駅に到着し、ひとつめの乗りつぶしは完了。このまま来た道を戻るのはシャクなので、徒歩10分ほどで行ける内灘海岸まで歩いてみることにした。その様子は左上の画像から短い動画をご覧いただくとして、海岸に着いた時には汗だくだった。天気は快晴で、この時期の金沢では珍しい。また最低気温も高く小春日和の様相で、砂浜で日本海を眺めるのには最高の日だった。少しばかりたたずんだあと、海を後にした。



北陸鉄道淺野川線の終点内灘駅から歩いて行ける日本海


武蔵が辻、近江町市場、香林坊と観光客を降ろしながら北陸鉄道野町駅に向かう


懐かしい東急顔をした電車に揺られ鶴来駅へ。北陸鉄道石川線の旅


もしかするとこれが今生の別れ?学生時代から慣れ親しんだ特急しらさぎの旅

金沢の町はずれ…石川線の起点 野町駅

金沢に戻り、今度は石川線に乗車するため野町に向かう。普通の人は金沢駅から石川線の沿線に行くには西金沢駅経由だが、私は全線制覇を目指すので足場の悪い起点の野町に行かねばならない。というわけで北鉄バスの四十万行きに乗車。武蔵が辻、近江町市場、香林坊といった全国にも名だたる観光地を抜けて15分ほどで野町に到着。野町駅は駅前銭湯もある下町然とした駅だった。


元東急の車両が走る石川線

北陸鉄道石川線は日中1時間ヘッドという、金沢という北陸の中心都市から発車する鉄道としては異例の運行頻度である。それもこれも野町という中途半端な場所にターミナルがあるためだが、予想通り昔は金沢に路面電車があり野町の乗り換えでも不便でなかったとのこと。鉄道開業から数十年を経た後、あいかわらず新橋がターミナルでも都内には東京市電があるので問題ないとされたのに似ている。

11時5分に野町駅を発車した電車は私が車端部に乗っていたのもあるが、揺れと騒音がひどかった。元東急7000系の電車もまさか自分がこんな荒れた線路を走るとは思ってもみなかっただろう。4分ほどで新西金沢に到着。ここで金沢駅方面からの乗客を受け入れて、一路鶴来に向かう。乙丸駅付近で見た紅葉が綺麗だったのと、井口駅だったか駅のすぐ近くの踏切が電鈴式だったのが印象に残る。始発を発車してちょうど30分で終点鶴来に到着。朝とは一転してどんよりとした冬の雲が出迎えてくれた。


全国旅行支援の旅

鶴来からの帰りは新西金沢駅からJRの西金沢駅へと乗り換えた。その模様はYouTubeでも見られるが、乗り換え自体は割と楽である。また野町でバスに乗り換えるのと比べて、時間も速く値段も安い。北鉄の時刻表にもJR西金沢駅の普通列車の時刻が載っているという理由もよく分かる。13時前に金沢駅に到着した。

さて、今回の旅行支援で発行された地域クーポンのうち1枚は駅のお土産屋さんで土産購入、1枚は1日フリー乗車券を買い、あともう1枚だけ残っている。ここは駅ビルの中で昼食代として使ってしまおう。それが冒頭の画像である。串焼居酒屋「酉笑」さんのランチと生ビールで1,450円。1,000円のクーポンを出し、残りはPayPayで支払った。ホテルで3枚も地域クーポンを貰った時には「どうやって使うか」と思ったが、割と理想的な使い方ができたと思う。

一方で、金沢14時48分発のしらさぎ12号も、そこから乗り継いだこだま744号も指定席はパンパンな状態。全国旅行支援が来年も存続するかどうか分からないが、今後このような制度を新幹線や人気の在来線特急で利用するなら、曜日と時間帯を良く考慮して使いたいと思った。そんな全国旅行支援の旅の終わりだった。

北陸鉄道浅野川線の終点内灘駅


駅前銭湯がある北陸鉄道野町駅


北陸鉄道石川線の終点鶴来駅


年中除雪車状態のED20の活躍はすぐそこ

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