なんちゃって豪華クルーズ |
タンゴ・ディスカバリーで東舞鶴着 |
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「ぱしふぃっくびいなす小笠原クルーズ6日間」190,000円より。「飛鳥U横浜・清水ワンナイトクルーズ」50,000円より。豪華客船でのクルージングは、なかなか敷居が高い。後者を例にとると横浜→清水を17時間かけて移動するだけで50,000円。しかもバルコニーが付いた客船らしい部屋を予約すると70,000円。いくら至れり尽くせりのアトラクションや食事が含まれているとしても二の足を踏んでしまうのである。 一方の新日本海フェリー。長距離フェリーながら専用バルコニーが付いた個室(ツイン)があり、10月1日からは1人で個室を占有しても追加料金がかからない。また嬉しいことに、10月1日からはオフシーズンの運賃となり、バルコニー付デラックスAの部屋が28,500円で予約可能になる。私が乗船したのは舞鶴を三連休前夜の金曜日に出航する小樽行き。暦の良さとディスカウント運賃で、さぞ混んでいるだろうと思っていたが、さにあらず。舞鶴を出航して小樽に到着するまで、デラックスルームが並ぶ6階の廊下で、誰1人としてすれ違うことはなかった。 |
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舞鶴港停泊中の新日本海フェリー「あかしあ」 |
「あかしあ」エントランスの吹き抜けにて筆者 |
京都駅からタンゴディスカバリーに乗って1時間37分。舞鶴港最寄りの東舞鶴駅に到着する。既に22時を回っており、港に行くバスはない。普通なら駅前からタクシーを拾ってフェリーターミナルを目指すものだが、何を血迷ったか「歩いてみよう」と思ってしまった。地図上では2`ほどだったが、列車の中でしこたま酔っ払っていたため、暗闇の中で行きつ戻りつしてしまった。結局30分以上かけての徒歩連絡となった。 フェリーターミナルの待合室で腰を下ろしていたのはわずかな時間だった。23時15分にフェリー「あかしあ」への乗船案内が始まった。一番にゲートを通過し、受付ロビーで鍵を受け取り、23時半には自室でシャワーを浴びていた。舞鶴港の出航時刻は0時半。その頃には既に夢の中だった。 目覚めたのは、外が明るくなってきた朝6時前。輪島沖を航行しているらしく、弱いながらも地デジ電波を拾い、部屋のテレビで地上波が見られた。バルコニーに出てみると、すごい風。30.5ノット(56.4Km/h)で航行しているとのことなので、走行風をまともに受けると吹き飛ばされそうになる(秒速15.7b)。これじゃ、おいそれとバルコニーに出られないなと思った。 船内レストランの朝食営業は朝8時から。空腹でとてもそこまで待てそうもないので、電子レンジ機能付き自販機でチャーハンを買って部屋で食べた。ようやく人心地がついたので、船内をぐるっとひと回りしてみた。指定場所以外禁煙なので、妙に喫煙ルームが豪華だったのが印象的だった。 部屋に戻ってしばらくウトウトしていると、「9時半からカフェコーナーでビンゴ大会を行います」という放送が入った。退屈しのぎにカフェコーナーに行くと、今日船に乗っている人が全員集まっているんじゃないかと思うほど盛況だった(それでも30人ほどだったが)。ビンゴ大会はそれなりに盛り上がり、早いうちにリーチをしていた私は、3〜4番目にビンゴとなった。景品はクジ引きで決定ということで、下の画像にあるクリアファイルを貰ってきた。目玉商品は3,000円の船内で使えるクーポン券だったが、自分としてはクリアファイルの方が、乗船記念にもなるのでありがたかった。 ビンゴ大会が終わってしばらく経つと、今度は姉妹船の「はまなす」がすれ違うと船内放送が入った。10時20分、お互いに汽笛を鳴らしながら、あっという間にすれ違う。クルージングはちょうど真ん中。ある意味、今回の航海中一番のイベントを終えたので、これ以降は部屋でぐたぐたと酒を飲んで過ごした。 朝から午前中の間はどんよりとした曇り空だったが、昼下がりには雲が切れてきた。青空が広がると、海の色もねずみ色からきれいな青に変わる。そして日が傾くとともに空の色が暖色系に変わり、水平線に日が沈んでいくところまで眺めていた。もっとも酒をのみつつ、居眠りしつつといった感じだったが…。 |
専用テラスがついたデラックスA個室にこもる |
個室も含めて全面禁煙ゆえに豪華な喫煙室 |
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午後1時と4時の2回、専用ルームで映画上映 |
カフェコーナーでビンゴ大会も開催される |
ビンゴ景品で貰ったクリアファイル 夜の帳が下りる頃、私は「この船をちゃんと降りられるのだろうか」というプレッシャーと戦っていた。昼間をぐうたらに過ごした後、小樽に21時前に着くやいなや現実世界に引き戻され、通勤電車で札幌に移動を強いられるというプレッシャー。名古屋を19時に出る太平洋フェリーならば、翌々朝の10時に苫小牧に着くので、いくら中日をぐうたらに過ごしても咎はない。フェリーの足が速いのも良し悪しだと思った。そうこうするちに船は積丹半島を回り込み、小樽の灯が見えてきた。小樽近辺で1時間を要した後、定刻20時45分に小樽港に接岸した。 |
前夜小樽を発った姉妹船と洋上ですれ違う |
雲が切れてきた午後。水平線を見ながら過ごす |
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水平線に沈んでいく夕陽。船旅ならではの光景 |
小樽の街の灯に迎えられ静々と港内を行く |
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舞鶴から1,000`。小樽港に接岸した「あかしあ」 |
舞鶴に続いて小樽でも港から駅まで徒歩連絡 |
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羊ヶ丘に初見参。クラーク博士がお出迎え |
「逢いたい時にあなたはいない」以来の夢叶う |
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羊ヶ丘展望台から見る市街地の眺望は独特である。展望台にしては標高が低いこと、草原の先に街並みが見えることがその理由 |
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レンタカーはカムリHV。羊ヶ丘展望台にて |
支笏洞爺国立公園樽前山。樽前SA展望台より |
残る室蘭の目的地は地球岬。実は「地球」は当て字で、チキウ岬が正式名称だそうである。アイヌ語で断崖を意味する「チケプ」が訛ったらしいが、ここにあるものは、展望台の鐘から電話ボックスに至るまで、全て「地球」に引っ張られて地球儀の形をしていた。それでも海を挟んで駒ケ岳あたりまで遠望することができ、地球の丸さを実感できる場所だった。 10分ちょっとの滞在で地球岬を後にし、ドライブで行くべきところは全て見終わった。あとは伊達に戻るだけである。伊達のガソリンスタンドでガソリンを入れ、燃費が19Km/Lだったことを確認。当然ながらプリウスに比べると良くないが、それでも立派なもの。高速道路が苦手で、60`くらいで流れる一般道で燃費が良くなる点もプリウスと同じだった。 ぶつけることもなくトヨタレンタリース伊達店にカムリを返却し、肩の荷が下りた。店から伊達紋別駅まで1.5`くらいあるが、ここも徒歩連絡でこなす。しばらく行くと伊達市の鎮守である相馬神社の例大祭が行われていて、縁日の屋台がずらっと並んでいた。屋台をチラ見しながら人波をかきわけていく。屋台が切れると至近に駅があった。まだ13時半すぎ。予定より一つ前の「スーパー北斗」に乗れる。 |
本輪西PAの展望台(!?)から見た室蘭港 |
室蘭のシンボルのひとつである白鳥大橋 |
北海道の味噌ラーメンは外れなし 地球岬展望台の「幸せの鐘」 |
チキウ岬灯台〜本来の名は「地球岬」ではない |
灯台に降りていく階段と地球岬緑地 |
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内浦湾をはさんで遠く駒ケ岳まで見渡せる |
物産祭りと相馬神社例大祭で伊達は大賑わい |
地球儀型の公衆電話ボックス |
クラシックな洋館風の伊達紋別駅から列車の旅 |
函館行きスーパー北斗12号でグリーンを奢る |
暮れなずむ津軽平野を眺める 黄金色したグランクラスの扉 もともと普通指定席を予約していたが、豪華旅行で気が大きくなり、グリーン車に変更してもらった。1列+2列の1列側のシートがあてがわれ、函館までの2時間弱は至福の時を過ごせた。 |
東京行き最終列車である「はやて42号」 |
2列+1列のシートが18席並ぶゆとりある車内 |
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お弁当と飲み物無料がグリーン車との違い |
電動シートをフルリクライニングした状態の筆者 |
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朝6時15分、浜松駅バスターミナルの日常風景 |
なんちゃって豪華旅行の締めくくりは、日本の鉄道で最高峰クラスといわれているE5系グランクラス。国際線ファーストクラスにも乗ったことがあっても、さすがに舞い上がってしまった。横幅の広い新幹線の車体に並んだ1列+2列のシートはシェルのついた電動シートで、つい1ヶ月前に座ったシンガポール便のビジネスクラスに匹敵する。お弁当とアルコールはタダで、国内線のプレミアムクラスを意識している感じである。一方で、アルコールはビール、日本酒、ワインといった醸造酒系しか選べず、青森に来るまでにウィスキーで、しこたま酔っ払っている私には、どれもダメ。かろうじてワインの1合ボトルを赤白1本ずつ試飲して終わった。東北新幹線なので当然タバコが吸えず、これなら700系の喫煙グリーン車の方がずっと快適だと思った次第である。 舞い上がったり、がっかりしたりで東京までの3時間半を過ごし、さっぱり車窓を覚えていない状況で、はやてを降りた。残るは浜松行きの夜行バス「ドリーム静岡・浜松号」に乗るだけである。八重洲南口の高速バス乗り場の23時台は、経験したことがある人なら分かると思うが、戦後の混乱期か東南アジアの雑踏を思い起こさせるようなところで、とても長時間いれたものではない。たまたま凱旋門賞の中継があり(オルフェーブルが残り50bで差された〜)、ワンセグ見てヒマをつぶせた。競馬中継が終わるころ浜松行きの夜行バスが2台口で入ってきた。3列独立シートのリクライニングを倒すと、酔いのせいか発車前に眠ってしまった。 バスは足柄と富士川で長時間停まったが、タバコの欲求より睡眠欲が勝り、そのまま眠っていた。4時半すぎの静岡駅でかなりの下車があると予想していたが、ほとんど降りずに発車。やがて空が白み始め、朝6時15分、定刻どおりに浜松駅バスターミナルに到着した。東京で乗車した若い女性中心の乗客は、結局ほとんどが浜松まで乗りとおしたようようだ。2台のダブルデッカーから続々と降りてくる人並みは壮観で、普段は知りえない浜松駅バスターミナルのもうひとつの顔を見た思いだった。 |
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<終> |