た び う ち U 〜 ば ん え い 競 馬 編 〜
帯広競馬場のスタンドにて筆者


むかしむかし交通公社の時刻表にはNAR(地方競馬全国協会)のカラー広告が毎月のように載っていた。ある時その広告に、ソリをひいた馬のレースの写真が載っていた。それが私と「ばんえい競馬」の出会いである。その後、30歳目前にして競馬に手を染めた私は、いつの日か「ばんえい競馬」を生で見てみたいと思っていた。それから再び10年の時が流れて、ようやく帯広競馬場に冬の「ばんえい競馬」を観戦に行くチャンスが巡ってきた。

旅の始まりは横浜ベイシェラトンから。チェックアウトを済ませ外に出ると、昨夜までの雨が上がって、青空が眩しい。横浜駅から京急の快特に乗車し、30分後には羽田空港第2ターミナルの手荷物検査場を通過していた。都内に泊まるよりかなりスムーズである。signetで無線LANの接続に四苦八苦していたら、ANA59便のファイナルコールがかかり、慌てて搭乗ゲートに向かった。



スタートは横浜ベイシェラトン

今日の予定の中でもっとも危惧していた搭乗便の遅れもなく、ゆったりと南千歳駅12時18分発の「スーパーおおぞら5号」に乗り継ぐことができた。駅弁を食べながらビールを飲んでいると、ようやく旅に出たという実感が湧いてくる。道央地方も天気が良く、雪原の照り返しが眩しい。次の停車駅のトマムまで100`、1時間の道のりである。

今回、旅に持ち出した音楽は、3月に控えるSpring Tourを見越した春仕様である。冬の北海道にはどうかなと思っていたが、日差しは春の雰囲気で、なかなかイケる。このところの春の旅でお気に入りになっている、角松敏生の「あるがままに」やフリートウッド・マックの「愛のジプシー」などが耳に心地よかった。

列車は、途中トマムに停車しながら石勝高原を駆け抜け、日本三大車窓のひとつである狩勝峠を下る。あんまりシートにへばりついているのもカラダに毒なので、先頭車の貫通扉にある窓から前面展望を楽しんだり、デッキの窓から狩勝峠の雄大な眺めを愛でたりしていた。そうこうするうちに十勝平野に下って、定刻の14時10分に帯広駅に到着した。

私は旅先ではなるべくタクシーにのらない主義なので、帯広駅前にたむろしているタクシーには目もくれずにバスターミナルに向かった。14時35分発の市内循環線が競馬場の前を通ることが分かり、のんびり待つことにした。混んでいる待合室を避け、バス停のベンチに腰掛けてバスを待っていたが、浜松に比べて、気温はさすがに低いものの風はなく、冬でもこんな日が続けば帯広でも十分暮らしていけるんじゃないかと思った。

10分少々バスに揺られて、いよいよ帯広競馬場の門をくぐる。スタンドはよくある地方競馬場の雰囲気で、浜松のオートレース場にも良く似ている。さっそく第9レースの予想にとりかかった。

ばんえい競馬を生で見るのは初めてでも、馬券は今年になってから数回買っている。というのも今年からD-netという地方競馬のインターネット投票の会員になり、暇な時や、土日の中央競馬で大損してしまった時にアツくなって馬券を買っている。で、大抵ばんえい競馬の最終レースが、その日に購入できる最後のレースとなるため、ばんえい競馬の馬券も買っていたのである(ばんえい競馬のサイトはこちら)。だから予想も手馴れたもので、前走の着順や人気をもとに軸馬を決め、4頭に流すというパターンでマークシートを塗っていった。

ばんえい競馬収支表
レース 投資 回収 収支 累計
9R 2,000 3,000 +1,000 +1,000
10R 2,000 2,900 +900 +1,900
11R 4,000 4,350 +350 +2,250
合計 8,000 10,250 +2,250 (v^-^v)

南千歳駅に入線するスーパーおおぞら5号


先頭車の貫通扉の窓から前面展望できる


日本三大車窓のひとつである狩勝峠


帯広競馬場のスタンドには雪が残る


ばん馬の息遣いが聞けるパドック


200b先のゴールに向けてスタートダッシュ


第2障害「ばんえいポイント」を登る各馬


ばんえいポイントを登りきればゴールは目前


さて、とっかかりの第9レースは「Bバンゼン」から馬連複で4頭に500円ずつ流し、2,000円馬券を購入。結果は6倍の組み合わせが的中し、3,000円の配当。幸先の良い展開である。ちなみに、このレースで勝った大河原騎手が通算2000勝を達成し、セレモニーが行われた。ばんえい競馬史上7人目で、現役では4人目だそうである。おめでとうございました。

帯広競馬場では、この日は他場のレースが買えないため、次のレースまでは相当時間を持て余した。ということで、パドックで迫力あるばん馬の息遣いを堪能したり、狭い場内をくまなく回ったりして時間を潰していた。次のレースは、この日のメインレースである「花咲岬特別」だが、ソリの重量が違うハンデ戦で予想が難しい。500円で買った競馬新聞には「イケダガッツ」という名前が大きく載っていたので、このレースはこの馬を軸にすることにした。

さて、今度のレースはスタートからゴールまで馬と一緒に動くことにした。ばんえい競馬は直線200bで、途中に障害である坂が2箇所ある。そこを700`前後のソリを牽くばん馬が上り下りするという力自慢のレースである。タイムは200bを2分30秒前後なので、歩いては止まりという観戦スタイルで十分馬に追いついていける。さすがに「ばんえいポイント」と呼ばれる第2障害を、ばん馬が登るさまは圧巻で、馬券を買わなくても一見の価値がある。レースの方は軸馬に指名した「Aイケダガッツ」が先頭でゴールした。2着は混戦だったが、指名した4頭のうち「Dフクイズミ」が入り、2レース連続で的中した。

ソリの後端が決勝線を通過するとゴール。混戦!!


今度のダイヤ改正で全車禁煙


嬉しい悲鳴でわざわざハズレ馬券を買うことに

さて、最終レースを前に困ったことになった(ホントは全然困っていないんだけどネ)。馬券を購入した2レースがいずれも的中してしまったため、土産に持ち帰ろうと思っていたハズレ馬券が手元に残らないのである。最終レースはADFGのボックスで購入することにしたが、もし的中してしまった場合を考え、穴っぽいEから200円ずつ5頭に流す馬券も購入した(左の画像参照)。

最終レースは、普段インターネット中継で見ていたレースなので、今度は映る側に回ろうと思い、スタンド上部にあるカメラを意識して観戦ポイントを決めた。後日、「過去のレース映像」コーナーで確認したところ、自分らしき人物が確かに映っていた。

レースの方はD→Aで決まり3連勝!!ハズレ前提で買った1000円の馬券が余分だったが、全レースで儲けることができてメデタシメデタシ。大満足で競馬場を後にした。
競馬場からの帰りは、帯広駅まで歩いてみたが、凍結した路面に足を滑らせながらも20分くらいで着いた。案外近く感じた。帯広からは「スーパーおおぞら10号」で本格的に酒盛りである。車内で酒を飲む時にはタバコがつきものだが、3月18日のダイヤ改正から道内完結の列車は全車禁煙になるということを、車内広告で知ってガックリ(上の画像参照)。もう北海道を列車で旅することはないだろうな(ちょっと大袈裟!)と思いつつ、最後の喫煙車を楽しんだ。おかげで札幌駅のホームでは単なる酔っ払いオヤジと化していたが…。

今宵の最終列車は711系の鈍行列車。札幌周辺でよく電車に乗る私でも、このところ見かけない国鉄型車輌である。往年の急行列車を思わせるデッキ付きクロスシートで、北海道の夜の汽車旅を堪能した。車掌さん曰く「このクルマも近々引退するんでね…」
昭和も遠くなってしまった…

往年の急行列車を思わせる711系の車内


車掌さん曰く「このクルマも近々引退するんでね」

<おしまい>

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