た び う ち プ ラ ス ワ ン


倉敷川沿いに江戸時代の建物が並ぶ


ある日曜日の夕方、いつもの通りネットで遊んでいると、「福山競馬もアラブ限定レース廃止」という文字が目に入った。日本国内で福山だけが、唯一アラブ限定レースを見られる競馬場だったが、この9月でついに廃止されるらしい。もう日本では見られないとなれば、見ておきたいと思うのが人の常。というわけで9月6日のレースを見に行くことにした。

福山競馬場に行くだけなら、新幹線を使って日帰りで往復できるが、それではいかにもつまらない。前日に岡山に泊まって、未だ訪問したことのない倉敷美観地区を散歩する計画を立ててみた。今回はJR東海ツアーズの「新幹線指定席+シングルルーム」がセットになった商品を使用。浜松から岡山への往復チケット代にホテルの素泊まりが付いて26,900円だった。新幹線だけでも往復25,340円(名古屋〜岡山間はのぞみ指定席利用)するので格安である。


この湧き水が倉敷川の水源地

倉敷には13時半ころ到着。駅から美観地区まで歩いたが、さすがに西日本の残暑は厳しく、現地に着く頃には汗びっしょりになった。さて、この美観地区は倉敷川沿いの柳並木がメインストリートである。倉敷川の水源は、美観地区にある大原美術館前の湧き水なので、都市部からいきなり川が始まっているという珍しい形態となっている。その倉敷川を和船が行き交い、川の両脇には歴史的な建造物が立ち並んでいる。このシチュエーションに安らぎを感じない日本人はいないだろう。そういうわけで、夏休み明けで観光客が動かない時期にも関わらず、修学旅行生を始めとした街歩きを楽しむ人々が多く見られた。

倉敷駅に戻ってきたのが14時半を少し回った頃。このまま岡山に戻ればホテルにチェックインできるが、福山方向に目を向けると「水島臨海鉄道のりば」の看板があり、私を誘っていた(ように思えた)。「待たずに乗れるようなら乗ってみよう」と思い時刻表を見上げると、思いのほか頻発運転をしているのにビックリ。結局14時47分の列車で、終点のひとつ手前の水島までミニトリップを楽しんだ。


倉敷美観地区の真ん中に位置する中橋


日傘をかぶった観光客が和船で行き来する


阿智神社から倉敷美観地区を望む


水島臨海鉄道に乗って小さな旅へ


修学旅行生が阿智神社を参拝


路線の半分は高架橋。駅の有効長も長い


土曜日の昼下がり。長閑な車内風景

さて、乗車した列車は前述のとおり水島止まり。せっかくここまで来たのなら、終点の三菱自工前まで行ってみたい。で、歩くことにした。鉄道の高架を頼りに、下り方向にてくてくと歩く。水島港の北側で、その高架橋が二手に分かれている。突然の二者択一問題だったが、「エイヤッ」っと西寄りの線路を選択した。この選択は正解で、ほどなく三菱自動車の工場群が見え、工業道路の脇にポツンと所在なさげな「三菱自工前」駅を見つけた。

正直なところ自動車工場以外は何もない駅であったので、15時33分の列車で倉敷駅に折り返す。日中は半数の列車しかこの駅には来ないので、わずかな待ち時間で帰りの列車に乗車できたのはラッキーだった。(2007年のダイヤ改正前までは、9時台から14時台に発車する列車は皆無だったらしい…)


半数の列車しか来ない終点の三菱自工前駅


終点では下り方向に引き上げ改めてホームへ

翌朝はホテルを9時過ぎにチェックアウトし福山競馬場へ。昨夜、ホテルのLANが突然不通になってしまったため、岡山駅の待合室でメール&ネットチェックをした。ぷらら会員だとキャンペーン期間中は「HOT SPOT」が無料なのでありがたい。

で、10時過ぎの普通列車で福山に移動。福山駅から乗車した競馬場行き無料バス車内で、いつもの日曜日のようにFMラジオを聴く。たまたま流れていたスイング・アウト・シスターの「あなたにいてほしい」に夏の終わりを感じた。帰りの岡山行き鈍行で聴いた今井美樹の「瞳がほほえむから」といい、なぜか旅先で聴くラジオは心を動かす。


特観は「クレスト」1,500円也

11時半ごろ福山競馬場に到着。ゲート左側の指定席売場の前でしばらく考えた後、特別観覧席「クレスト」の入場券を1,500円で購入した。鉄火場の雰囲気がする1階の馬券売場と比べ、4階に位置する「クレスト」は別世界。シンガポールはクランジ競馬場の特観「@ハイビスカス」を連想させる空間だと言ったら言いすぎだろうか。ただしゴール板はちょっと遠いが…。

私は試さなかったが、併設の軽食堂にラーメンとかカレーライスとかを予約注文しておくと、自分の席まで持ってきてくれるとか…。「なんか中山競馬場のゴンドラシートみたいじゃん」と思ってしまう。


車窓には水島港。高架で見晴らしが良い


さぁ福山競馬場へ。向かって左が指定席売場


その「クレスト」は座席もゆったりで気分がいい


1,130bレースのスタート地点。コース1周する

福山競馬収支表 (09.9.6開催)
レース 投資 回収 収支 累計
3R 1,200 400 -800 -800
4R 600 0 -600 -1,400
5R 1,200 1,210 +10 -1,390
6R 2,100 9,780 +7,680 +6,290
7R 800 810 +10 +6,300
8R 1,500 0 -1,500 +4,800
9R 1,000 0 -1,000 +3,800
10R 1,200 1,970 +770 +4,570
11R 1,900 0 -1,900 +2,670
合計 11,500 14,170 +2,670 123.2%

スタート直後の直線の攻防。なかなかの迫力


第3コーナーから最終コーナーは急カーブ


福山競馬場のコースは超小回り。1周1,000bのダート右回り。コーナーがかなりきつい分、向こう正面の直線もかなり近く、4階のスタンドからまるまる1周分、競争馬の攻防が見渡せてしまう。そして最後の直線は約200b。第4コーナーまでに先頭近くの位置を確保しておかないと、まず馬券に絡めない感じである。

コース特性をつかんだ上で、さぁ予想の開始。競馬新聞には知らない馬ばかり並んでいるので、最初は新聞の印どおりに買ってみる。地方競馬では、馬券に絡む馬は4〜5頭というのが定説なので、「3連単1着固定で4頭に流し」とマークシートに書き込んだ。


最終はアラブ種限定競走

窓口のお母さんに、そのマークシートを差し出すと「福山は2頭軸だから」と返された。投票締め切りまで、あとわずか。急いで4枚に分けてマークシートを書き直し、ギリギリ投票が間に合った。で、結果は的中だったが、1,200円の投資で400円しか回収できず、いわゆる大幅な取りガミだった。

ならばと、続く第4レースは買い目を絞って8点にしたら、今度はグリグリの本命馬が3着に沈んで順番違いだった。「3連単は難しい」と感じ、第5レースは馬単4頭ボックスの12点買いで臨むも、1,200円投資で1,210円の回収。僅かながらも、まぁ初めて儲かったわけだからヨシとしよう。

続く第6レースは、本命以外は印が割れていたので、8頭立てなのをいいことに馬単総流し。またまたマークミスして、窓口で口頭で買い目を指示し、マークシートを直してもらった。席に戻って馬券を確認すると、なんとまぁ2着流しの同じ馬券が2枚あった。「まぁいいか」と、1着流しも100円ずつ購入し、合計2,100円の投資となった。レースの方は結果オーライで、本命馬が2着入線。おまけに1着には6番人気が入り、4,890円の高配当。間違って200円ずつ買っていたので、一気に大幅プラスとなった。

最終レースまで勝った負けたを繰り返し、お待ちかねのアラブ限定戦。新聞の本命は、このレースに勝つと通算50勝達成の10歳馬モナクカバキチ号。私はあえて対抗評価の5歳馬ユノギャラクシア号に賭けた。

レースの方は、ゴール板通過まで激しい叩き合い。結果は…モナクカバキチ号のメモリアルレースとなった…。「いいレースを見せてもらった」と隣の若者が呟いていた…。


最後の直線は200bほど。先手必勝


ゴール板を背景に筆者。西日本は残暑厳しい


パドックを周回する馬はすべてアラブ種


私の本命のGユノギャラクシア号


1周目のホームストレッチ。息遣いが伝わる


1着のモナクカバキチ号はなんと通算50勝め

<おしまい>

競馬にイプゥー?へもどる

旅と音楽のこころへもどる