どこかにマイル〜奄美
新大阪江坂東急REIホテルに宿泊

今年もクリスマスシーズンがやってきた。誕生月でもあり、毎年この時期は心が躍るものであるが、今年に限っては例の感染症で、なかなかそんな気になれない。とはいえ、こんな時勢でありながら今年も夜の新幹線に乗り「クリスマス・イヴ」を聴くことができた。昭和の最末期、JR東海のCMで「クリスマス・イヴ」が使われて以来、30数年が経った今でもそのCMが鮮明に思い出される。夜の新幹線ホームで繰り広げられる、遠恋カップルの恋模様は、当時の私には眩しすぎた。そのCMの撮影場所は深夜の名古屋駅。遠ざかる名古屋駅のホームの灯りを見送りつつ、今年も「クリスマス・イヴ」を聴いた。

もともと今回の旅はGoToトラベル利用で、新大阪のホテルに宿泊し、翌日にJALの「どこかにマイル」を使って伊丹空港から奄美空港に行く予定だった。しかし予約した後に大阪市へのGoToトラベルが停止となってしまい、どこかにマイルはキャンセル不可であるため、途方に暮れてしまった。ところが地下鉄で2つ先の江坂なら、大阪市内ではなく吹田市であるので、GoToトラベルが利用できることがわかり、JR東海ツアーズの新幹線とのセットプランでキャンペーンを利用することとなった。

地下鉄で5分移動するだけで、コロナウィルスの感染が大幅に防げるとは思えず、大いに矛盾を感じるが、ともかく新大阪からホテルに移動するまでは、感染予防に気を遣った。もちろん、翌朝チェックアウトした後、伊丹空港に移動する間も同様である。江坂に泊まったので、北大阪急行と大阪モノレールの乗り継ぎで空港に向かうことになり、リムジンバスよりも料金が安くなったのは好材料。また下手にリムジンバスに乗るよりは、普段使いの電車の方が感染しづらいのではとも思った。


江坂より北大阪急行に乗車


千里中央でモノレールに乗継

伊丹空港には搭乗の2時間以上前に到着した。というのも伊丹→奄美となると結構な長距離路線なので、クラスJシートにアップグレードしたかったからである。特典航空券からのアップグレードは、当日空港での先着順であるので、その分早起きが必要である。首尾よくアップグレードできたが、搭乗ゲートでも改札直前にアップグレードの募集をしていたから、結果論でいうと早起きは必要なかった。それにしても、わずか1,000円で隣席とのひじ掛け争奪戦がない、いわゆる「総統シート」に座れるのだから、アップグレードしないと損だと思うが、世間ではそうではないらしい。

強烈な向かい風のため、10分ほど遅延して奄美空港に到着。もっともシートが快適なので、自分的にはもっと遅延してもらいたいほどだった。さて、奄美大島はあいにくの曇り空。今月に入ってから奄美地方の天気予報をよく見たが、連日連夜傘のマークが並んでいた。今日も明日もくもり一時雨の予報で、はっきりいうと12月は奄美のシーズンではない。おまけに最高気温も14度とそれほど暖かいわけでもなく、ホテルの部屋で暖房をつけないといけないほどだった。まぁ、だからたったの6,000マイルで伊丹〜奄美の往復特典航空券を引き換えできるわけだが。

奄美での宿泊は「コーラルパームス」というリゾートホテル。空港からの路線バスの発車は1時間半ほど後なので、雨も降っていないので歩いて行くことにした。距離としては4キロ弱なので、寄り道しても1時間ほどだろう。

歩いていると民家の庭先のそこかしこにハイビスカスが咲いている。浜松では12月だとサザンカくらいしか咲かないので、さすがに南国だと思った。調べてみるとハイビスカスは年がら年中花を咲かせるらしく、おそらくいつ行ってもハイビスカスは咲いているのだろう。などと思っているうちに「大瀬海岸」という案内看板を見つけ、そっちに曲がってみた。

県道から脇道にそれると、さとうきびの収穫の真っ盛りだった。こんもりと山になったさとうきびが沿道のところどころに置かれていた。その畑の間を歩いていくと、徐々に海が見えだして、大瀬海岸に到着した。日本で最も新しい国立公園の奄美群島国立公園内にある大瀬海岸は、遠浅の珊瑚礁の浜辺で、その浜には大きな岩がごろごろしていた。海水浴場に不向きな分、渡り鳥などの野鳥のサンクチュアリになっているようで、バードウォッチングの聖地となっているらしい。晴れていれば美しい風景だろうが、あいにくの空である。コアジサシのような水鳥が羽を休めていた。


JAL2465便で奄美空港に到着


奄美空港ターミナルビルにて筆者


笠利町宇宿付近の雄大な丘の景色


さとうきび畑では収穫の最盛期


採れたてのサトウキビが山積みされていた


空港に近い奄美群島国立公園・大瀬海岸


ハイビスカスが咲いていた

大瀬海岸から10分ほど歩いて、14時ちょっと前にホテルに到着。これから21時間くらいお世話になる。全室オーシャンビューで、ガーデンプールもあるリゾートホテルだが、施設全体がちょっとくたびれていることもあり、オフシーズンでこんな天気なので全体的に暗く映ってしまう。部屋は30平米ほどあるツインで、風呂場はユニットではなく、浴槽と洗い場が分かれているタイプ。さっそくひとっ風呂浴びる。普段はシャワーだけだが、窓を開けると海が見えるので、浴槽にお湯をためてゆっくりと浸かった。ちなみに大風呂はないらしい。

風呂から出た後、夕食までの間は何をするでもなくボケーっと過ごした。早めにチェックインするとこんな時間が楽しい。珊瑚礁の向こうで白波が立つ海を見ながら暗くなるまでゆっくり過ごした。

18時から夕食ということで、別棟の居酒屋風のレストランに向かった。自分としては珍しく2か月連続での夕食が付く宿泊だったが、これもGoTOトラベルキャンペーンのなせる業である。メニューは会席料理だったが、一品一品出てくるわけではなかったので、かえってありがたかった。島野菜が多くヘルシーな内容だったが、美味かったのは煮物として出てきた豚骨の塩煮。これを肴に黒糖焼酎のグラスを傾けた。接客も家庭的で、奄美ならではのゆったりとした時間を過ごせた。

夕食後は早寝をしてしまい、日付が替わるか替わらないかのうちに目が覚めてしまった。そのあと結局午前3時過ぎに二度寝をすることになるが、2〜3時間にわたって寝ようとしても寝られず、まんじりともせずラジオ等を聞いて過ごした。とんねるずの木梨さんが「早寝すると日付が変わらぬうちに目覚める」と言っていたのを耳にしたことがあり、まぁ中高年あるあるだわな…。

夜半に雨が降ったらしく、夜が明けたら地面が濡れていた。ちょうど起きていた時間に降っていたはずだが、まったく気づかなかった。ほどなく朝食の時間となり、レストランに移動。朝食後、ホテルの前浜の海辺を散歩した。白砂のビーチが広がっていて、夏場なら海水浴ができそうだが、何度もいうようにシーズンオフに来ている時点でそんな選択肢はない。梅雨明け直後の7月ごろにもう1回リベンジしたいところだが、その頃だと一人旅の宿泊を受けてくれるかどうか…。まぁ受けてくれたとしても2食付き1万円以下では無理だろうなぁ…。

朝食後もだらだらして、ホテルの規定ぎりぎりの11時にチェックアウト。帰りはおとなしくホテルのクルマで空港に送ってもらった。そんなわけで、奄美大島での観光めいたことは、到着直後の空港からホテルまでの長めの散歩だけだった。まぁそれはそれとして、伊丹行きは2時間もあとの出発なので、目論見通り、帰りもゆうゆうとクラスJシートにアップグレードできた。さぁ帰りの便では総統シートで酒盛りだ!

というわけで奄美へのマイル利用の特典航空券の旅は終わったが、この旅の途中で年末年始のGoToトラベルの停止が発表された。感染状況次第では年が明けても停止継続になる可能性もあり、状況は流動的である。この先いつ旅に出られる状況になるか分からないが、いつか旅立てる日まで「よいお年を…」


大きな岩がゴロゴロしている大瀬海岸


21時間も滞在したコーラルパームス


ウッドデッキの向こうにプールと海岸


オーシャンビューのツインに宿泊


部屋のバルコニーからの眺め


夕食の一部〜右上の「豚骨の塩煮」が絶品


翌朝、ホテル前浜の珊瑚礁のビーチ。晴れていればどれほど良かったことか・・・

<終>

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