<番外編> N Z を 走 ろ う 旅 打 ち & ド ラ イ ブ |
ハミルトンのスカイシティカジノ前にて筆者 |
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ニュージーランドは日本と季節が逆である。「今の時期に行くと、こっちとの気温差があるんじゃない?」と訊かれたが、案外そうでもない。12月上旬ならば、こっちの最高気温とむこうの最低気温がほぼいっしょ。12月にしてはちょっと軽装?くらいな格好で旅立った。 ニュージーランドの往復は、成田からオークランドへ直行するニュージーランド航空のビジネスクラスで。ANAマイレージクラブのキャンペーンで、通常より少ないマイルで特典航空券を発券できたが、いざ搭乗してみると「なんだかなぁ」という感じだった。というのもボーイング767の横幅に2列+2列+2列のシートレイアウト。普通席でも1列増えるだけの2+3+2であり、最近のANA国内線のプレミアムクラスでさえ767なら2+1+2の5列である。こういうぎゅうぎゅう詰めのシートで(しかも窓側)11時間を超えるフライトをしなければいけないと思うと先が思いやられた。ま、それでも浜松を出るときからアルコール漬けになっていたから、結構眠れたんだけどね。 時計を日本より4時間進めて、朝10時ころオークランド空港に到着。レンタカーの借り出し予定時刻を過ぎていたので、機内で最も早くイミグレを抜けたが、中年男の一人旅、おまけに2泊3日の短期滞在という怪しい要素が揃いすぎていたためなのか、あっさりとは税関を通してくれなかった。メインルートから外れたカウンターを指差され「あそこに行け」と言われたので、しかたなく従った。ここで30分くらい旅の目的と行先を尋問されたが、目的といえば2日目の競馬観戦くらいなもの。「大きなレースが開かれるのか?」というような質問も受けた。結局「ドライブ、カジノ、競馬をして、短い休日を楽しむ」という一貫した説明を受け入れてもらい、なんとか入国が認められた。 時計を見れば、もう11時近い。ハーツレンタカーのカウンターで1時間遅れの手続きをして、ハッチバックの白いカローラ(日本名オーリス)を借り出した。日本と同じ左側通行の右ハンドルなので運転に違和感がない。空港の駐車場を出て数分後に高速道路に入ったが、もうそのころには入国時のトラブルで、ささくれ立った気持ちも立ち直っていた。 |
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さて、ニュージーランド1日目は、温泉地ロトルアまでの210Kmほどのドライブ。そのまま直行してもいいが、時間はたっぷりあるので、ハミルトンのスカイシティ・カジノに立ち寄ることにする。空港連絡道路に位置づけられる国道20号線から、オークランド郊外で、ニュージーランドの大動脈である国道1号線に入る。片側3車線、最高速度100Km/hの立派な高速道路だが、南下するにしたがって片側2車線になり、対面通行になり、信号やらロータリーが出てくる展開となる。なかなか日本ではお目にかかれない形態だが、強いて言うなら北海道の一般道に似ているかなという感じ。なんだかんだで、ハミルトンには13時過ぎに到着した。 さて、お目当てのスカイシティ・カジノはカーナビのおかげでスムーズにたどり着いたが、滞在時間はわずか10分ほどだった。せっかくカジノに来たのでテーブルゲームをということで、ブラックジャックに挑戦。100ドルをチップに替えて、ディーラーが暇を持て余している風なテーブルに座った。ミニマム25ドルのテーブルで、そのディーラーと1対1の勝負をすることになった。しかし、手持ちの札がことごとく12〜16になり、ヒットしてはバーストの繰り返し。ものの5分で100ドルを溶かしてしまった。「今日はダメだ」と思い、おとなしく席から離れた。あとはトイレに寄って、しめて滞在時間10分+苦い思い出付き。他のお客が居たけれど、ミニマム10ドルのテーブルにしとけば良かったと、後悔することしきりだった。 ハミルトンからは再び国道1号線を走る。徐々に東に進路が変わり、ティラウという町のはずれで、再び南下する国道1号線と別れ、国道5号線に入る。ここからロトルアまで約50Km。片側1車線の普通の道だが、ほとんどの区間が最高速度100Km/hのハイウェイである。なだらかな起伏があり、きついカーブの手前には「75」とか「85」という表示の看板があり、減速を促している。ティラウから30分少々でロトルア湖が見え始め、下っていくとハミルトン以来の市街地になった。そのまま今夜の泊地であるホリデイイン・ロトルアに向かい、いったんチェックインした後、食材の買い出しに近在のスーパーにクルマを走らせた。一人で外国に行くと、国内旅行以上に外食するのがおっくうになり、夕食は大概スーパーやコンビニでつまみと酒を買って済ますことになる。今回も3日目朝食のパンまで買い込んだ。これでこの旅の間は、朝飯と夕飯の心配をしなくて済む。この日の夜は、ビール3本に生ハムとスライスチーズ、鶏肉のチョップにポテチで済ました。貧相であるが、これで十分である。 翌朝は8時過ぎにホテルをチェックアウト。温泉地にして観光地であるロトルアまでわざわざ来て、なんにも見ずに去るのは気が引けるので、申し訳程度にロトルア湖岸の公園に立ち寄った。少し散歩してみると、天気も気候も良くて、ちょっと気持ちがいい。30分ほどウロウロしてクルマに戻った。さぁ再びオークランドまで、210Kmのドライブである。 往路と同じ国道5号線を戻るが、往復とも同じ道では面白くないので、1号線に出る手前で左折し、国道28号線に入る。全線が対面通行の一般道だが、集落以外は最高速度100Km/hで、老いも若きもビュンビュン飛ばす。沿線は牧草地が広がる酪農地帯で、のびやかな景色が広がっている。ニュージーランドといえば「人間よりも羊のほうが多い」と言われるほど羊の放牧のイメージがあるが、北島でもオークランドに近い場所は、大きな消費地を控えているためか乳牛、肉牛の牧場ばかりである。「羊がいないかなぁ」と周囲に目を配りながら運転して、ようやく見つけたのが右の画像。ロトルアからオークランドの間で羊を見たのはここだけだった。 道路は国道28号線、国道24号線、国道27号線と名前を変えていくが、ひたすら「↑Auckland」の表示を頼りに走っているため、一本道を走っているような感覚だった。午前11時ころ、土砂降りの雨の中、国道2号線に合流する。ここからは立体交差の片側2車線になるので、名実ともにハイウェイとなる。しばらく行くと国道1号線とのジャンクション。徐々にクルマが増えていき、そのうち渋滞が始まった。ほんの少し前まで、牧歌的な場所をドライブしていた身にとっては、ちょっとしたカルチャーショックだった。
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カジノ入口。ものの5分で100ドル溶かした |
国道5号線〜ロトルアまで残り50キロ |
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ホリデイイン・ロトルア前にて現地名「カローラ」 |
部屋から湯けむりが見える温泉の町 |
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ロトルア湖岸を散策。天気が良くて気持ちいい |
NZで最も有名なモコイア島を背景に |
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1.8リッター「2ZR-FE」エンジンでよく走る |
牛は飽きるほどだったがようやく羊を見つけた |
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9月の阪神競馬場では「オークランドレーシングクラブトロフィー」というレースが準メインで開催される。そのオークランドレーシングクラブは、オークランド郊外の国道1号線沿いのエラズリー競馬場にある。今晩の宿であるホリデイイン・オークランド・エアポートからもクルマで10分ほどでアクセスが良く、宿に入る前に立ち寄ることにした。それにしても、片道11時間以上かけてニュージーランドに来たはいいが、行ったところはカジノに競馬場だけというのは、よっぽどのモノ好きだと我ながら感心する。さて、そのエラズリー競馬場は、けっこうな街中にありながら駐車場代は無料。有料スタンドに入らなければ入場料もタダということで、日本ならお金のないギャンブラーのたまり場になってもおかしくないが、入場者は割とオシャレしている人が多く、さすが英国直系の競馬文化が根付いているなと思った。で、有料スタンドは「アスコット・スタンド」と名付けられ入場料は10ドル。最上階にある「アスコット・スタンド」エリアに入ると、ドレッシーに着飾った女性が多く、大概はカップルかグループで来ている模様。その人たちがスパークリングワインや赤ワインのグラスを片手に、オードブルをつまみながら競馬観戦を楽しむといった感じで、もろブルジョアな雰囲気である。私もジャケットを羽織っていったので、格好としては浮かなくて済んだが、日本の指定席みたいな感覚で行ったら相当違和感があったと思う。 さて、屋外の有料エリア専用スタンドに出て第1レースを観戦。3ドルで公式プログラムを購入したが、例によってなかなか読み解くことができない。それならレーティングが一番上の馬の複勝を買ってみるべということで、トップハンデ59Kgを承知で@番のトップシークレッツの馬券を10ドル購入。ちなみに当地でも馬券はマークシートで購入するわけだが、単勝・複勝のマークシートはマークの仕方が分かりやすくおススメである。馬券の方は感熱紙のレシートみたいな感じで、日本のように厚みがなくペラペラである。鉄道のキップで例えるなら、当地のものは車内補充券、日本のものは券売機で買ったキップといえば分かりやすい。で、レースの方はゴール手前で差し馬が殺到。2〜3番手を走っていた@馬はゴール直前で他の馬に差されて4着だった。 |
国道27号線。広大な牧場の真ん中で |
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アスコットシート入場券10$ 単複兼用のマークシート 1着から順に奥から並ぶ 3レースめにして初めて的中 日本で言う「がんばれ馬券」
それでもパドックだけでも写真を撮ろうと思い、第4レースの出走馬が出てくるのを待った。鬱蒼とした林の中を13頭の出走馬が姿を現した。しばらくぼーっと見ていたが、馬を牽く厩務員に若い女性が多いのに気付いた。アップで写真を撮っていると@番K番L番の厩務員が私好みだった。それならと思い、その3頭のうちで最も人気のある1頭の複勝を買ってみた。結果は@テイクチャージ号が2着に入り、17ドルの儲けが出た。「よっしゃ、もう1レース買ってしまえ!!」 |
続く第2レースの発走は30分後。ターフビジョンではレースの合間にウェリントン競馬場やオマルー競馬場のレース中継を放送している。他場開催の馬券もここで買えるが、私は当地のレースに集中したいので、他場のレースまでは手を出さなかった。ぼんやりとターフビジョンでレースの模様を見ていると、ばんえい競馬のように騎手がそりに乗ってムチを振るっている。いやよく見ると、そりではなく、車輪がついている。なんだこのレースは?後で調べてみたら繋駕速歩競争(英語だとHarness
racing)という競馬で、ニュージーランドでは割と一般的なレース形態とのことだった。今日の開催は、南島のオマルー競馬場だが、エラズリー競馬場から1キロほど西にあるアレクサンドラ・パークでの開催もあるとのこと。日本でも昭和40年代までは開催されていたというから、オールドファンならば「中京競馬場で見たよ」という人もいるはずである。 さて、第2レースもハズレ。「どう買ったらいいものか」と思案していると、今日ホテルで貰った新聞が目に留まった。「ひょっとすると・・・」と思い、ページを繰っていたらありました!競馬欄が。さっそく第3レースに出走する馬名を探すと(日本のように馬柱が載っているわけではない)4頭を発見。次のレースは、その4頭の複勝を10ドルずつ購入した(うち1頭はマークシートの塗り間違いで単複馬券を買ってしまったが)。結果は、購入した1頭のうちFケンドカ号が1着になり、かなりガミりながらもなんとか的中。このままズルズルと続けていても成果は出そうもないので、早々に退散することに決めた。 |
エラズリー競馬場の入口にて筆者 |
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阪神競馬場に似ているコースレイアウト |
競馬観戦しながらパーティーとは羨ましい |
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日本にはない繋駕速歩競争も馬券が買える |
ゴール前をキャンターするFKENDOKA号 |
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スタンドと馬場の間は芝生公園のような雰囲気 |
逍遥馬道のようなパドックを周回 |
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若い女性の厩務員の姿が目立った |
パドックから馬場へは可動柵の内側を通る |
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13番の厩務員はキャリアウーマンタイプ? |
地上に降りて迫力あるゴール前を堪能 |
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引込線の入口にある1,600mのスタート地点 |
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16時前に今宵の宿であるホリデインイン・オークランドエアポートに到着。チェックイン後、さっそく部屋でビールを飲み始める。缶ビールを3本空けたが、太陽はまだ高いままである。この時期のニュージーランドはサマータイム実施中でもあり、午後8時半ころになってようやく日が暮れる。16時台から飲み始めるというのは、今の時期の日本でいうと真昼間から飲み始めるのと大差ない。
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ホリデイイン・オークランド空港の車寄せ |
まだまだ明るい午後8時半過ぎのプールサイド |
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ニュージーランド航空のB777−200 |
午後9時ころ、ようやく暗くなってきたので外に出てみた。南十字星を探すためである。南の空の高い位置に十字になっている星座を見つけ「あれが南十字星か」と思っていたが、直後にネットで調べてみると「ニセ十字星」という、星座でもなんでもない4つの星だった。ホンモノの南十字星は、それよりも低い位置にあり、4つの星のうち1つだけ他の星よりも暗いのが特徴である。目を凝らすと十字の交差点近くに、もうひとつ暗い星があり、オーストラリアの国旗にはそれが描かれている。ちなみにニュージーランドの国旗には5つめの星がなく、ちょっと近眼の人が国旗を考えたのかなと、ふと思ってしまった。いずれにしても南半球の星空は、普段見られない星座があったり、オリオン座の上下が逆さまだったりと、見ていて飽きなかった。 |
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ビジネスクラスらしく食器で朝夕食がサーブされた。左から朝食のシリアル、焼き鮭メインの和食、夕食のエビの前菜、牛肉のステーキ、デザート |
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翌朝は早くも帰国の日。朝7時にホテルをチェックアウトし、クルマで空港へ。レンタカーを返却する手続きで滞るかもと思い、早めに空港に行ったが、思いのほかあっけなく手続きが終わって拍子抜けした。出国のイミグレーションは入国時のような厳しいチェックもないので、あっさりと制限区域へ。9時35分の出発まで、お土産を物色したり、ニュージーランド航空のラウンジでコーヒーを飲んだりして過ごした。 帰りの飛行機は、往路とは対照的なシートを備えるボーイング777-200だった。往路のように隣席に気を使うことのない独立シート。しかもフルフラット。往路が夜行、復路は昼行なので、もし機材を選べるなら往復逆が良かったが、こればっかりは仕方がない。豪華な機内食を食べながら、ゆったりと成田までの11時間あまりの空の旅を楽しんだ。 |
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<終> |