獅子の会行政視察
(平成17年7月6日〜8日)


7月8日(3日目)

3日目、天候はやや回復北上市役所を
訪問した
議会事務局長さま以下
担当者のみなさま

事前の通知内容により
研修を行う
議場など視察午後はえさし藤原の郷を
見学しました

当時の兜や刀・薙刀など
手に取り体験できる
本格的な復元により
リアリティは十分
宣伝ではありませんが
確かに一見の価値あり

感想等

北上市では、「協働」によるまちづくりについて、市町村合併について、そして行財政改革緊急プログラムについて、勉強してまいりました。
少し欲張りすぎて時間が足らず、ご説明いただいた担当者の方には大変お世話になりました。(かなり仕事できる人と見ました。フランス代表のジダンに雰囲気が似てた。)

さて、今度の9月議会の一般質問では、北上市で調査した結果を生かし、市民との協働事業について、そして「新羽生21世紀計画」をコンパクトシティの観点から見直すべき、という2点を質したいと考えております。
それは、先進地との比較から、やはり羽生市における市民との協働事業は羽生独自のものであり、本来の意味での市民との協働ではない、と思ったからです。言葉だけ「協働」といっても、中身が伴わなければ、かえって苦し紛れの施策ととられかねません。では、北上市の協働事業はどうだったのでしょうか。(しかし、羽生市の職員もほんとは気付いているんでしょ、真の協働について。)以下北上市の事例について概要を説明します。

◇   ◇   ◇

北上市の市民との協働事業の流れをざっくりと説明しますと、まず、平成11年度に「ボランティア活動支援拠点機能調査」が実施されます。この調査は、地元青年会議所(JC)が中心となったNPO法人これからの市民活動を考える会へ100万円の予算で調査委託されます。

平成12年度、さらに「北上市NPO及び市民活動団体の実態調査」が150万円の委託料で県レベルの団体である「いわてNPO−NETサポート」へ委託されます。

平成13年度、ようやく事業として形が見え始め、「岩手県地域活性化事業調整費事業」として283万円の予算が付き、市民と行政の協働推進事業、先進地視察、市民と行政の協働に関する公開研究会(事例研究)、市民と行政の協働事業公開討論会(これは年4回実施)モデル事業の案の検討や市民参加・協働のガイドライン(案)策定の検討などがなされました。

そして平成14年度「市民と行政のパートナーシップ研究会」が年4回開催され、モデル的に実施したい協働事業、そして協働のルールを提案、これら市民からの提案をうけて担当課とNPOが摺りあわせのための検討会議を開催し、最後に参加者全員が主役となるワークショップ講座を開講します。

平成15年度、協働事業評価講座を2回、協働事業評価研究会を3回実施し、市内のボランティア団体、NPO法人、元来からある自治会連合組織などへの協働への理解促進、組織育成、そしてなにより、行政の主導ではなく市民が自主的に参加する意識作りを行っています。

(羽生市のように、いきなり平成17年度の目玉事業は「市民との協働事業740万円−予算がないから道路や側溝を各自治会でやってください」です、と簡単に始めたわけでない、ここが重要なところです。)

そして平成16年度、協働推進検討委員会、パートナーシップ研究会、職員研修、指針策定という事業活動を実施し、平成17年度はまだ途中ですが自治会活動活性化セミナーなど活発な事業活動が行われているところです。結局、住民参加の土木工事自体が目的化している羽生市と違い(もちろん北上市も公園整備事業なども協働で展開しているが)市民参加型社会の育成に主眼をおいているところが羽生市との最大の差異であります。

たとえば平成15年度のモデル事業としては、「子供たちに芸術体験を」としてNPO法人芸術工房が80万円の委託費で市内の小学校に年間を通じて演劇、吹奏楽、合唱など質の高い芸術を体験させる事業を実施しています。
いずれにせよ、協働というキーワードを地域に根付かせ、地域を市民参加型システムに変革するには大変な時間と手間(そしてある程度の予算措置)がかかるのだ、ということは理解できるかと思います。

さらにボランティア活動を支援する場として「市民活動ルーム」−電話、FAX、印刷機、コピー機などを備えた自由に使える事務室−が設置されています。(ただし、使い方やボランティア団体間の調整など課題も多いようです。)

◇   ◇   ◇

一市議会議員の視察でも山のような資料をいただきました。限られた時間でのレクチャーでも「市民との協働」事業とは、これは大変なことだと理解できます。なぜこうした手順を省略したのか、羽生市の職員はこれらを理解しているのか、考えさせられる研修結果でありました。

手元の資料を見直しながら、原稿を書いてますけど、「北上市協働によるまちづくり推進指針 平成17年5月 北上市」という資料があります。ワープロ打ちのこの資料ができるまでの努力、そして協働の本質を愚直なまで追及した姿勢に敬意を払いたいと思います。

◇   ◇   ◇

その他(になってしまった・・・)市町村合併効果について、北上市は平成3年4月に合併し、すでに10年を経過したところで、その財政上の効果等について、資料をいただきました。
細かい説明は省略しますが、旧町村部住民についてはずいぶんとプラス、旧北上市市民としては、一時、やばい、というところから持ち直し、現在は合併時より財政状況はよい、まぁまぁ○という印象です。(起債制限比率など財政指標が上向いていることから)。

それでも「行財政改革緊急プログラム」を策定行政評価、ミッション管理を導入し、細かい項目の事務事業の見直し・チェックを実施しています。(羽生市のチェックシートの実物は見ていないが、北上市の評価シートは記入しやすく、分かりやすい、よく考えられたものです。)

◇   ◇   ◇

最後に、羽生市でも導入に向けて苦労している「指定管理者制度」ですが、北上市が実施している点で面白い事例があったので紹介します。
指定管理者制度とは、公共施設の管理運営等を民間にもできるよう定めたものです。これは、いわゆる「ハコモノ」の維持管理に公務員(または外郭団体職員)を張付けコスト高となりやすい現在の体制から民間の参入による競争原理を導入し、そのコストを下げることを目的としています。
ただし、実際には、様々な課題や問題があり(極端な話、毎年入札で管理者が変わって果たしてサービスのレベルを維持できるのか、利益優先によりメンテナンス等管理の質が低下しないか、など)、羽生市でも検討中の制度であります。
北上市では、各地区にある公民館の管理運営を各地区の自治会を指定管理者とし、委託料を各地区自治会に支払い、メンテナンスなど管理業務、そして、それ以外の各種講座やイベントなどソフト面も含め、任せています。(なお、この場合の指定管理者の選定方法は、随意契約としています)。
このことで、@公務員(準公務員)を貼り付けないで済み、その分の人件費が節約できる、A地域住民の公民館活動への意識の向上が図られる、など好結果が上がっているようです。
まずは、できそうなところから、羽生市も始めてみたらどうでしょうか。

◇   ◇   ◇

今回の視察研修で感じたことは、厳しいのは羽生市だけではない、ということ。それでもパブリックサーバントとして実直に一歩一歩前進していく、こうした姿勢が強い自治体は、三位一体改革の荒波にもまれながらも拡大する権限を上手に行使し発展してゆくであろう、と思います。
JC(青年会議所)が実際にまちづくりの核になっている、という事例をみられたことも大きな収穫だったですね。うれしかった。

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