産業建設常任委員会行政視察
(平成17年10月17日〜18日)


平成17年10月17日、18日の両日、
松本産業建設委員長をはじめ、吉田議員、石森委員、峯委員、高橋委員、渡辺委員、蜂須委員そして私、永沼副委員長の7名(+事務局員1名)で
静岡県富士市静岡県掛川市、へ
視察にいってきました。

富士市では、TMO活動としての「吉商本舗」を、
掛川市では、商店街活性化対策の株式会社、
「かけがわ街づくり株式会社」をそれぞれ視察研修してまいりました。

あいにく天気は2日間とも雨でして、富士山は拝めませんでしたが、貴重な行政事例を得ることができました。
以下、概要は次のとおりです。


新幹線こだまで
新富士駅に到着
駅前からも
煙突が何本か見える
駅は請願駅で
パブリックスペースがある

地元NPO?が作った
葦舟の実物
目的地の吉商本舗だが
開店は放課後
町の駅が
お店の反対側に

市役所に到着
かなり大きな建物
幹部職員の動向は
TV画面に表示
議会事務局に到着

やはり常任委員会の
視察は公の職務
松本委員長の
名刺交換
この向こうに
富士山が見えるという

担当職員の皆様と
NPO法人の幹部の方
早速資料に
目をとおす
松本委員長の挨拶

7/30に放送された
TV番組を見る
視察研修の後
宿泊地の旅館へ
玄関入ってすぐ
茶室で抹茶のサービス

翌朝、雨の中散歩
奥が泊まった旅館
宿のバスで掛川
市役所に送ってもらう
この建物は
大変特徴あるもの

革新的なデザイン
たくさんの賞をとった
開放的なエントランス
デザインは
段々茶畑を
イメージしている

最上階が議事堂
市役所の断面図
シースルーの
エレベーターで
最上階に上がる

上から見ると
ロビーが広い
研修がはじまるが
デジカメが・・・

感想等

地方都市は郊外に進出した大規模店による影響により、中心市街地の商店街がシャッター通りになるなど現在共通の悩みを抱えています。 そんななか、「中心市街地活性化法」が施行され、同法を活用し中心市街地を作り変える取組みが全国各地で展開しています。

平成19年度には、羽生市下川崎地区に国内でも最大規模のSCである「イオンモール羽生店」の出店が予定されています。そこで、今回の産業建設委員会の継続審査案件として、「吉商本舗」「かけがわ街づくり株式会社」を視察対象に選定しました。

富士市は、日本列島太平洋岸のほぼ中央にあって、北に富士山、南に駿河湾、東に浮島ヶ原、西に富士川が流れ、気候も温暖で豊富な水と緑と地下水に恵まれた立地にあります。
「田子の浦ゆ 打ち出でてみれば真白にぞ 富士の高嶺に雪はふりける」と万葉集でも有名です。 人口は23万人余り。写真にもありましたが、製紙工業が有名で全国一の「紙の都」と呼ばれています。
(自分らの年代だと小学生のとき「ゴジラ対ヘドラ」で記憶してます・・・あまり良いイメージじゃないか)
新幹線新富士駅が昭和63年に開業(地元請願駅として)しています。

富士市の吉原町は江戸時代の宿場町で大変繁栄していたのですが、駐車場がないと人が集まらない、という理由からシャッター通りと呼ばれるようになってしまいました。
そうした現状を変えようと 商店街のやる気のある商店主が中心となり、NPO法人を立上げ、行政に様々な提案を行ってきました。 (が、当初全然取り上げられなかったらしい(T_T))

そのような中、吉原商業高校の熱血先生が校内の部活動(商業ビジネス部)として常設の店舗を持ちたい、との計画を立案し、教頭・校長先生を動かし、市役所に要望しました。
すると、その日のうちに市長のGOサインが出、空き店舗を三箇所ピックアップ、どの場所が良いか学校に選ばせました。

予算は財政課が協議し補助金ではなく、生徒を支援してもらう委託料として200万円をやる気はあるが提案を採用してくれなくて腐っていた?前述のNPO法人に支払い事業化の運びとなりました。
「吉商本舗」のHPは大変よくできていて、経緯についてもHPに載っていますので参照してください。)

チャレンジショップ事業は羽生市でも市民プラザに藍染製品のお店が出店していますが、富士市の特色は、NPOが地元の女子高生のお店(という話題性)でプロデュースしている点にあります。 チャレンジショップが生き残るケースは少なく、これには、話題性がない、行政の支援も一時的であることが理由として上げられますが、吉商本舗の場合、教育の面から継続的な行政支援も期待できそうです。

お店の平均売上は、月50万円。お店は駄菓子屋+雑貨+小規模授産施設の製品販売、といった形式です。他に「置き菓子」(会社などに一定量のお菓子を置いてもらい、消費された分の代金回収・商品補充)、葉書・切手・印紙の販売(会社まで配達する)事業を行っています。
品揃えなどは高校生の視点でなされるため、支援団体にとっては、一種のアンテナショップ的な側面があるようです。

部活動ですから、放課後と学校が休みの日、土日祝日が営業日で(水曜が定休日)かなりハードだと思われます。部の生徒は15人で全部女子生徒。男子生徒はいません。

今年の夏休みには、新規商品として雑貨を中国義烏市の巨大卸売り市場まで、仕入れにいっています。

発生した効果としては、

  1. 子供たちやお年寄りが集まるようになった(高校生は逆に来店しない。子供、子供連れ、お年寄り、支援者の輪が集まるとのこと)
  2. マスコミなどにかなり取上げられ(露出効果)相当のPR(パブリシティ)になった
  3. 生きた教育の効果(生徒のやる気、就職にも好影響)
等が挙げられそうです。

年間200万円の行政の支援の効果について、自分としては、かなり良い税金の使われ方ではないかと感じました。
羽生市にも「羽生実業高校」がありますし、チャレンジショップ事業として、良いことは真似しても恥ずかしくないし、実際に始めてみてはいかがでしょうか。
羽生実業だと野菜や花卉類、昔だと焼却炉とか生徒さんが作ったものを訪問販売していたように記憶しています。色々なことができそうです。

お忙しいところ、ご丁寧な対応をいただきまして、富士市職員のみなさま、またNPO東海道吉原宿のみなさまには、誠にありがとうございました。

◇   ◇   ◇

2日目には、掛川市を訪問、「かけがわ街づくり株式会社」(TMO=タウンマネージメント機関)に関して調査してきました。
富士市のNPO法人がゲリラ的な部隊とすれば、掛川市の場合は、「正規軍」たるTMOが独立採算制の株式会社である点が注目されます。
株式会社ですから、当然、株主もおり、利益を上げ、且つ、設立目的である中心市街地・商店街の活性化事業を展開しなければなりません。
はたして構造的に可能なのか、大変興味深いところです。(以下いただいた資料抜粋・HPは来期開設予定とのこと)

TMOプロフィール

名称かけがわ街づくり株式会社
代表役職・氏名代表取締役社長 仁科雅夫
組織形態3セク特定会社
資本金(146,000)千円
出資構成
  1. 市       73,500千円
  2. 商工会議所 10,000千円
  3. 地元商業者 31,750千円
  4. その他    30,750千円
設立年月日平成14年8月2日
TMO構想認定日平成12年5月29日(掛川商工会議所)
平成14年9月9日(かけがわ街づくり(株))
設立の経緯H11.3  中心市街地活性化基本計画策定

H11.5〜 TMO構想策定事業開始 策定委員会、運営委員会、構想検討分科会開催

H12.5  TMO構想掛川市より認定、TMO=掛川商工会議所を設立
※当初、商工会議所がTMOになったということ

H14.8 TMO機関を掛川商工会議所から第3セクター特定会社へ移行
※「かけがわ街づくり株式会社」誕生

設立趣旨掛川市中心市街地は、JR掛川駅北口70haに約400軒が軒を連ねる商業集積地である。
かつては近隣市町村からも多くの来街者があったが、駅前の大型店2店の撤退(※羽生と同じ「ジャスコ」)、郊外型SCの相次ぐ出店等により、買い物客の減少、それに伴う空き店舗の増加が深刻な問題となった。
こうした現状を挽回し、市の顔としての中心市街地の再生を図るために、第3セクター方式によるTMOを設立した。
事業概要○歴史・文化・伝統ゾーン
・市外から掛川市へ
(掛川城天守閣、御殿、美術館、図書館、三の丸広場、他)
  各施設の保存、活用、整備、文化活動など

○商業ゾーン
・郊外から中心市街地へ
(シンボルロード、中心市街地、城下風街並み、他)
  個店のレベルアップ、空き店舗対策事業など

○駅前ゾーン
・郊外から中心市街地へ
(モニュメント、東・西街区商業施設、駅前商業、他)
  駅前再開発事業など

○共通ゾーン
・各ゾーンの3点を結びつける

  駐車場の整備運営、街並み、情報発信、イベントなど

行政・商店街(会)・
NPO等との連携状況
各事業において、商業者、市民活動団体、NPO法人等の参加を促し、市民からの声を反映するよう、また、行政との連携を円滑にするようにと努めている。空き店舗対策事業等においては、市民ボランティア協議会との協議を継続しながら、新たに市民活動団体やNPO法人との連携を図っている。
今後の取組みより多くの市民に中心市街地に関わりを持ってもらうためには、中長期的な取組みが必要となるので、引き続き、市民参加の場を創出していく。各事業における市民参加協議会の継続、新規設立、市民ワークショップ、商業講習等の開催を促進してゆく。

かけがわ街づくり株式会社の社長は民間人(商工会議所会頭)で、市長は平取です。ちなみに社員(専従)は、3人(正社員は1名)。
会社の主な収入源は、「駐車場収入」
どういうことかというと、駅前の一等地にあった大型店が撤退した跡地を更地にし、駐車場としています。その土地はもともとは市有地。そこで、その土地を安く株式会社に貸出し、借り受けた株式会社は、それを管理運営し、収入を上げ、その原資で街づくりの事業を展開するという図式です。

羽生で言うなら、旧ジャスコ撤退時に市民プラザにせず更地にして、そこを駐車場にし、その上がりで中心市街地活性化事業を行う組織を設立・運営するということです。
駐車場は平面でしたけど、なにしろ、在来線に新幹線もある掛川駅のまん前ですから、時間貸しの外、月極めもあるようで、相当の安定収入が見込めます。これは本当に旨く考えられたシステムです。

◇   ◇   ◇

掛川市の場合も、写真にあるようにずいぶんと立派な市役所を市の中心部から郊外に移転しています。当然、区画整理事業もあり、市街地の面積的拡大政策が行われています。ある面、矛盾する政策ですが、それだからこそ、力を入れて中心市街地の再活性化に取組んでいるのでしょう。

掛川市は城下町で、お城の復旧(市民の寄付で賄われた)、新幹線駅の誘致(これも市民広く寄付を募る)など行政にたよるだけでなく、痛みを分かち合い市民自らが街づくりを進めてきました。
また、平成の大合併では、1市2町が合併し、新しい「掛川市」になったばかり。この合併にも「新幹線の駅がある」点が有利に働いたとのことです。議会も合併特例を使わず、選挙で議員を相当数減らしています。

お忙しいなか、市役所の見学、研修、さらに中心市街地のご案内と掛川市議会事務局のみなさんには大変お世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。

◇   ◇   ◇

しかし・・・またまた視察が雨。ひょっとして私が雨男なのか。それと、愛用のデジカメが壊れてしまった。 修理に17000円かかるとのこと。モーター部だと思うが、PENTAXさん、ちょっと考えてください、世界に冠たるメイドインジャパンですから。2年で壊れるなんて(しかも毎日使う訳じゃないし)、問題ですぞ。

なお、今回の視察の自己負担額は私の場合で20000円でした。(旅費宿泊費の支出額との差額という意味)全額議会費からではありません。こんなところにも羽生市の財政悪化が見て取れます。


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