太田市「太田市役所」「イオン太田」視察


平成16年6月28日。羽生市下川崎工業団地(産業団地)内に計画されている「イオンモール」について、
昨年12月5日OPENした先進地「太田市」へ、その実態を学ぶべく視察してまいりました。
参加者は石森議長を筆頭に議員17名、市職員側は、野口企画財政部長以下4名の総勢21名。
お忙しいところ貴重なお時間を割いていただき、太田市役所の皆様にはありがとうございました。
また、本音を語っていただいた太田中央商店街組合の栗原様には大変お世話になりました。
以下、概要は次のとおりです。

太田市役所の玄関とても立派なビル広々としたロビー

フロア案内図など4階の会議室ですここで説明を受けます

商店街理事長の栗原様会議終了。これは受付市役所の1階とは
思えませんね

ガラスと吹き抜けで
開放感があります
見えてきた太田イオン 直通バスとすれ違う

大きな建物です感心する小野議員これが概略図
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建物案内と飲食店一覧
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吹き抜けとオブジェ 広すぎて迷いそう

これが専門店街
明るくて広い通路
突き当りがセキチュー
ホームセンター
2階にあがると
映画館がありました

その隣は大きなゲーセン明るくて開放的な
モール(2階)
こちらは市の窓口
太田ハートプラザ

土日も住民票や
戸籍・印鑑証明など
手続きができます
太田NPOセンター
NPOが市の施設を管理
ボランティア募集など
掲示板も賑やか

健康増進法により
完全分煙を実施
2階のレストスペース ちょっと一息入れます

ジャスコ部分の
キッズスペース
羽生某所とおなじくカートも
子供向けあり
月曜日の午後4時ですが
いっぱいの駐車場

こんなすごいSCが
羽生にもできるとは
これはイオン直営の
ガソリンスタンド
隣には日帰り温泉と
回転寿司や飲食店が

視察結果レポート

群馬県太田市は人口152,067人。群馬県で3番目の都市である。現在、市町村合併が進行中で、平成17年3月末に、現在の太田市、尾島町、新田町、薮塚本町の1市3町が合併し、新しい「太田市(新市名決定)」になることが決定された。この場合の域内人口は21万6千人となる。
太田市の平成14年度の工業出荷額は約1兆2600億円。戦前(旧中島飛行機・亡くなった自分の叔母 は戦時中挺身隊で飛行機作っていたという)からの工業都市である。
この太田市に、昨年12月5日、イオン太田がOPENした。当初計画では、1ヶ月に100万人の来店で年間280億の売上を見込んでいたが、上方修正320億円とした。若い人たちがイオン太田に集まり新聞報道では「元気のある町」とある。


市役所の説明

概要

地元商店によると、4割の店では、影響は出ていない。地元からは、1店舗のみ専門店街に入っている(宝飾関係)。あとは農協のキャッシュコーナーなど。
建設用地は、20年前から耕作されていない「雑地」。環状道路と国道122号線が交わる利便性の高い場所である。当初のデベロッパーからイオンが引き継ぐ形で開発。イオン内にはイオンの協力で公共施設の提供を受ける(市の出先窓口・土日開庁、市民利用のスペース・ホール)。

建設計画について

@敷地外周に道路を建設→国道に渋滞を波及させない(これは市道認定)。
A外面に公園(3%以上)を設置。
B罰則規定のある市の地区計画(このエリアだけの特別の)条例を制定。これにより風営法に係わる出店の規制。
なお、隣接する「温浴施設」は、後から地元企業によって建設された。

交通対策について

出入口は3箇所。臨時駐車場の設置を義務付ける。従業員の駐車場は敷地外に設ける(敷地内に停めると罰金)。
誘導看板の設置。OPEN時には、館林方面と桐生方面それぞれ1.8kmの渋滞発生。
太田市南口から20分おきの路線バス。土日は非常に混む。OPEN1ヶ月間は大変だった。

質疑

○地元商店の入居について、一説には入居保証金3000万円などといわれているが、市として優遇措置を講じたかどうか→そのような措置は講じていない。

○800店の地元店舗のうちアンケートに応じた店は210店。70%以上が無回答なのはどうなのか。

○太田市の税収について→来年度課税となる(対象はリース会社)。課税額については承知していない。

○パブリックスペースは、イオンから進んで設置したのか→マスタープランで位置づけられていた。官民一体となった開発が義務付けられる。市民課(スマイル太田)、消費生活センター、NPO法人事務所など160u。さらにイオンホール350uは優先的に無料で貸出ししていただける。さらに公園が4箇所。

○イオン入居テナントは地元商工会に入会したか→イオン系列店舗、イオンモール内店舗の入会を確認している。

○渋滞対策、周辺住民の交通安全対策、深夜の騒音対策→周辺住宅街を抜けるルートはガードマンを配置(イオン負担)し、ご遠慮いただいている。OPEN時は100人の警備員。現在は80人くらい。
周回道路が暴走族のサーキットにならないかの懸念はあったが、そのようにはなっていない。県警への警備依頼、ガードマンで対応。24時間営業であるが、深夜には車両はほとんどない、よって騒音問題はない。朝夕のラッシュのほうが混雑。交通監視カメラを設置し信号待機の時間を制御している。

○市のイベントは一緒にやれるのか。市民の反応について→具体的な企画については承知していない。太田NPOセンターが管理している文化財の展示は実施。来客者のアンケートは行っていない。商工会議所が独自の調査を行った。太田市外の来店者が多い。

○従業員2160人のうち地元採用の人数は。市の働きかけは→分からない、承知していない。新聞報道によれば、1700人のパートが太田市と近隣から採用されているらしい。求人倍率は1倍以上となっている。

○コンセプトは「東京へいかなくとも東京のものを買える」ということ。食料品は22:00ごろが賑わう。太田は工業の町ですね、とイオンに言われた。

イオン太田とイオン羽生の規模比較

イオン太田イオン羽生
敷地面積120,008u260,000u(130,910u)
延床面積95,215u122,630u(90,930u)
商業面積62,046u108,990u(77,290u)
店舗面積51,000u74,675u(52,085u)
建物延長437m−−−−m(380m)
駐車場台数3,500台6,150台
従業員数2,160人2,500人
投資額118億円118億円
施設内容@ジャスコを中心とする
2核1モール型の建物
@ジャスコを中心とする
2核1モール型の建物

A複数の独立型の大型専門店や
ガソリンスタンドなど

専門店数137店舗約150店舗
※イオン羽生の( )内の数字は、@の2核1モール型建物部分のみの数字。

※商業面積とは、物販店舗に飲食・サービス・アミューズ等すべての店舗を含む。

※店舗面積とは、物販店舗のみ。


中央商店街振興会長 栗原氏のお話

イオンの看板が羽生市にもありました。そちらのほうまでが商圏なんですね。イオンのついては当初、危惧していました。新聞記者さんには「何で反対運動をしないのか、注文をつけないのか」といわれました。大店法も変わり、なりゆきにまかせるしかない、危機意識はもっていますけれど。

「影響はない」お店がアンケートでは多いようですが、統計というのは、うまくとるとどっちでもとれるようになるわけです。

中心商店街は、どこの町でも厳しい状態です。活性化策がありそうで、ない。商店街のなかで経営不振になって撤退する店をいざとなると応援のしようがない。空き店舗はふさがらない。今までも売上が少ない、これ以上売上が下がっても、下がった底辺の範囲内でやるしかない。客数とすると、月2~3回来てくれたお客が2〜3ヶ月に1回しか来ない。 店に来るお客の頻度が減っている。商売に関しては明るい話題はないです。新聞には「元気のある太田の町」とでていますが。

イオンには、土日はすごい来店があります。お年寄りには広すぎて困るようですが、若い人たちは集まっている。地元の専門店には影響が大きい。完全に競合する商売は厳しい。

地元商業者の入居については、優先的に取り扱うとの触れ込みでした。最終的には18店舗が申し込みましたが、5店舗しかはいらない。フランチャイズのチェーン店、洋服のお直しやさん、JTB旅行代理店とか。地元より系列で安全なお店を入れたいとのこと。

宝石店は確認できないんですね。ハナマルうどんとラーメン屋さんとレストラン、JTB。以前、成田のイオンを見学しました。イオンの感覚は、「地元」というと「群馬県全体」ということで、太田じゃない。テナント料が高いからでられないのでなく、相手(イオン)に切られてしまう。

(何か生き残る方策は?)正直言ってないですね。組合員の役に立つことを考えていますけど。おはずかしい話ですが、昔の商工会長のお店も潰れた。テナントに出ることに関して会議所などアドバイスしてくれましたが、思惑通りにいかない。イオンは金太郎飴。どこのお店も同じです。商店街として再認識いただきたいが、イベントをうつにしてもお金と労力がかかる。商店主は消極的です。

太田市としては、税収面でうんといいのでしょうが、地元の商店へお祭りなど最初に協力要請がきます。売上の割合からしたら、それなりの負担をしていますが、大型店は(売上の割合からしては)ほんとにつつましやかな支援しかしない。
時代の流れだから、行政としてはやむを得ないのだろうが、商人の気持ちとしては。イオンの客を呼び込め、といわれるが無理ですよ。

(組合でまとまって出るとかは?)ありません。協力なリーダーがいればですが。30年前のユニーとの合体ではうまくできた。よき時代もあった。現在は、小さい商店は疲弊しきっている。家賃、共益費に販促費、毎日夜11時まで、年中無休の条件で、経営者としては従業員確保の問題からなにから大変な労苦です。



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