「羽生市岩瀬土地区画整理組合」視察研修


平成16年8月6日、羽生市岩瀬土地区画整理組合事務所を訪問し
岩瀬地区の区画整理事業について勉強してまいりました。
参加者は獅子の会河田議員、小野議員、そして私、永沼。さらに同期当選の中島議員。
お忙しいところ貴重なお時間を割いていただき、
羽生市岩瀬土地区画整理組合の皆様にはありがとうございました。
以下、概要は次のとおりです。

計画が最も進んでいる
中央工区
そしてここが
土地区画整理組合です
事務局長の片山氏

職員のみなさま羽生都市計画図
詳しい説明を受ける
真剣に聞き入る各議員

土地区画整理事業図面
広大な計画です
約2時間の研修の最後
河田会長のあいさつ
この後市役所へ
ロビーに七夕の飾り

感想等

羽生市の行っている事業の中で、以外に知られていないのが「羽生都市計画事業岩瀬土地区画整理事業」かとも思われます。ですが、この事業は、おそらく、現在計画実施中の各種事業のなかでもっとも「大きな」プロジェクトでしょう。
例えば、羽生駅舎の工事は、約33億円。汚泥再生センターは約20億円。比較して、この土地区画整理事業は、約180億円。計画面積は広大であり(北は秩父線の線路・剣道の小沢道場の裏から南は小松台工業団地の南部幹線の交差点まで)、巨額の事業費がかかっているのです。

区画整理事業は、簡単に言うと「優良住宅地を造成」する、ということです。これは、事業主体が、民間のデベロッパーであろうが、開発公社だろうが、市であろうが、同じであり、道路、上下水道、ガス等を整備して、市街地を新たに作り出す事業です。 この岩瀬地区の住宅地の造成の場合は、施行者(事業主体)が、「組合」となっています。

例えば、あなたがこの開発区域内に住んでいたり、土地を所有していたとします。
道も狭いし、下水も整備されてない現状で不便を感じていた場合、区画整理事業が完成すれば、立派な道路に面した土地になり、下水やガスも完備されます。当然、不動産の価値は上がりますから、是非やって欲しい!という考えになるかもしれません。
下の表にある「減歩率」というのは、このように不動産の価値が上がるから、元の土地の3割は削らさせていただきますよ、という意味です。
こうして元の持ち主から削った3割の土地は、道路や公園など公共用地になります。また、それ以外に保留地といって、一般に販売(処分)する土地を作り、その売上げをこれら造成工事の費用に当てることとしています。


羽生都市計画事業岩瀬土地区画整理事業(資料抜粋)

面積113.2ha(南羽生区画整理事業のおよそ倍)
施行者羽生市岩瀬土地区画整理組合(理事長:永橋利雄)
施行期間平成8年度から平成25年度まで
減歩率(%)30.58
(指定地域内に土地を持っている人は、約3割減らされるということ)
権利者数635人
計画人口10,000人(域内人口密度 88人/ha)
公園面積46,100u(公園箇所数6)
調整池面積15,280u(調整池箇所数2)
総事業費約180億円
基本事業費 28億9700万円
地方特定道路A 6億600万円
地方特定道路B 15億6800万円
保留地処分金 91億9920万円
公管金(公園) 10億3400万円
市助成金 27億380万円
その他(利子) 500万円
進捗状況
(平成16年3月31日現在)
6.0%
保留地処分単価6万3800円/u


さて、ここで疑問点・問題点を指摘させていただくと

1 人口はほんとに1万人増えるの?
南羽生の区画整理事業で、南羽生駅近辺を市街地にしました。この面積は約64haです。
岩瀬地区の区画整理事業では1万人の住民の居住を想定しています。南羽生はこの約1/2ですから、5千人の住民増を見込んでいたと思われます。
ですが、実際には南羽生の区画整理事業が完了しても羽生市全体の人口は、増えていません。人口の増加要因は、どうやら優良住宅地の面積的な増大ではなさそうです。

2 計画通り平成25年に完工するの?
平成16年度の工事進捗率は、6.0%。平成25年度まで9年ありますが、今のペースで進めても、 計画全体の6割程度しか進まないように思われます。
羽生市から巨額の事業費支援でもない限り、計画どおりに完工できないのではないでしょうか。

3 ほんとうに保留地は売れるの?
計画が立案(平成3年)され、実行(平成8年)された当時と現在では、価値観や景況がずいぶんと変わってきています。
都心部や一部の地域では地価上昇の気配もでてきていますが、地方の地価下落傾向には歯止めがかかりません。坪あたり21万円で保留地が売れるのか疑問です。

万一、施行期間が延長されることになれば、毎年組合へ支出している市の助成金(年2億〜3億円・市の職員6名が出向)も継続していかなければならない。開発規制がかかっている地権者さんにとっても、規制の長期継続には様々なデメリットがある。保留地が売れ残るか値下げして(あるいは民間に手数料を払って販売してもらうとか)実際に入る保留地処分金による収入が予定を下回れば、市としてその穴埋めの責任も発生する。いろいろと心配になってしまいます。

平成25年と期限を切って、その間にできる範囲に事業計画を縮小することってできないんでしょうか。区画整理事業でやるべきことと通常の土木費で市道整備することときちんと分けた方がいいのではないでしょうか。羽生市全体の市道の補修の予算が年6千万円。組合への助成金よりはるかに少ないのです。


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