社員旅行顛末記

社員旅行 前夜祭

社員旅行に行くことになった。
うちの社長は温泉好きで、仕事が暇になると(ならなくても)「温泉、温泉」とうるさい。普段は聞き流していればいいのだけど、高じてくると駅前まで行って温泉旅行のパンフレットを貰ってきたり、私にインターネットで検索させたりするのでうっとうしい。

「よし、ゼッタイに行くぞ」という号令がかかり、なんと一年で一番忙しい12月の20日頃に設定しようとするので、「それだけは・・・」と、はがいじめして止めさせた。
こうなると行かないわけにはいかないので、腹をくくって宿探しをする。有馬温泉がお気に入りなので、有馬に一泊、そして私に蟹を食べさせてやるということで日本海側の香住という知る人ぞ知る蟹の名所へ一泊、合計2泊3日の旅となった。12月は避けられたものの、「混んでいるのはいやだ」というので、平日に行くことになってしまった。大丈夫なのか、うちの会社!

行くことが決まればご機嫌なので、しばらくはおとなしかろうと思っていたが、その後も「下呂温泉もいいよなぁ。佐渡にも行ってみたいしなぁ」とかいろいろ言っていた。もうやめて〜。

そして旅行前日、平日に留守にすることになるので、朝からとてつもなく忙しく働いていると、昼頃にガラガラ声の社長から電話が入って「ぼく、今日休むね」。
な、な、なんだとぅ!
このクソ忙しい日に!明日からは旅行だっていうのに!
昨日、飲んだなぁ〜。

社長は、一滴でも酒が入ると、とことんというタチなのだ。一旦飲みはじめると、終電がなくなっても飲み続け、タクシーで帰るか、明け方に会社に戻ってきて寝てるかのどっちかになる。どちらの場合も翌日は使い物にならない。分っているのだから、旅行の前の日になんか飲まなけりゃいいと思うのだ。旅行に行けばいくらでも飲めるんだから。
危ないと思って、前日に新幹線の切符を渡しておいたのがアダになったか。

こんなんで、旅行大丈夫なんでしょうか。とっても不安。

さびしんぼう


不安は的中し、当日、東京駅から乗るはずのAさんが、新幹線が動き出しても現れない。あーあ、乗り遅れちゃったのかしら、と思っていると、品川駅に着くころにやっと現れる。出発直前に飛び乗って、座席のある車両まで歩いてきたらしい。私は新幹線に飛び乗ったことなどないので、ほっとするやら、感心するやら。
Aさんは座ったとたんに高いびき。旅行なれしてるなぁ。私は新幹線に乗ると平常心ではいられない。わくわくどきどきしてしまう。もう何度となく乗っているのだが、子供のころの旅行気分がいまだに抜けないのだ。本当は冷凍みかんとか買いたいくらいだ。冷凍みかんって今でも売ってるのかしら。

新横浜で社長も乗ってきて、なんとか無事に旅行は始まるかに見えた。今回はもう一人、宝塚に住んでいるデザイナーのKさんも合流することになっている。宝塚から有馬温泉までは目と鼻の先なので、現地集合にしましょうと言ったのに、「新幹線のホームまで迎えに行きますよ」とわざわざ宝塚から新大阪まで来てくれる。これはどういうことかというと、小田原に住んでて、箱根の温泉に行くのに、新宿まで迎えにきたというくらい意味のないことなのだった。
このKさんというのがくせもので、とってもいい人なんだけど、さびしがりやで、今回の旅行も彼が4度目の結婚に破れたのを慰めるという意味もあったのだ。新大阪に着くと、ホームで待っていて、嬉しそうに手を振っていた。こうしているといい人なのになぁ。なんで4回も離婚するかなぁ。
奥さんを怒らせてしまって、ゆでる前の生そばを投げつけられたり、部屋のドアを蹴破られたりしたらしい。よっぽどのことがなければ、ドアを蹴破ったりしないもんなぁ。(私だってやったことない。)かなりなことをやったんだろうなぁ。怒らせた理由は、何度聞いても教えてくれないけど。

そんなわけで、おっさん3人を連れたツアコンとなって、旅行は始まった。

ポキポキ姫


新大阪でお昼を食べて、有馬温泉直通の高速バスに乗って、現地に到着。さっそく旅館にチェックイン。
自費ではとっても泊まれないような宿なので、当然ウェルカムドリンクもあり、しかもそれが数種類のなかから選べるようになっている。喫茶店のようなウエイティングルームで、せっかくだからと普段飲まないお抹茶をいただき、お茶菓子も黒豆のタルトという凝りように、私は贅沢気分を満喫していたら、さっさと食べ終わったKさんは部屋を物色、オブジェとしておいてあるワインの瓶を(わかりもしないのに)手にとって仔細に眺めたり、これまた飾ってあるだけの蓄音機のぜんまいを巻いてみようとしたり、挙句の果てに暖炉(実際には使えない)を開けてみようとして、取っ手を引っこ抜いてしまった。
「取れちゃった・・・」
「お願いですから、おとなしくしてて下さい!」
気を失いそうになりながら、かろうじて抑えた声で頼む。間一髪、仲居さんがやってきて、部屋に案内してくれる。これから先がとっても思いやられる。

部屋もお風呂も別なので、一人でのびのびとくつろいでいたが、食事は一緒だ。当たり前だけど。しぶしぶ合流する。
仲居さんが、お飲み物はと聞いてくれるのに、
「とりあえずビールね。銘柄は何があるの?」
「いちおうアサヒですが、他にご要望があれば・・」
さすが老舗の旅館である。ビールも各社取り揃えてある。私はいまだかつて、旅館やレストランで出されるビールに銘柄を指定したことがないので、ひやひやするが、まあ、それも含んだ料金なんだろうと納得する。
「サッポロはある?」
「ございます」
「じゃあ、サッポロにして」
ビールなんてどれでも一緒じゃんというのが私の意見だが、まあとりあえず乾杯。
次々に運ばれてくる料理に目を奪われ、一心に食べていると、社長が
「仲居さんの膝が鳴る」
と言い出す。どうも料理を並べるためにしゃがむたびに、膝だかどこだかの関節が鳴るらしいのだ。いいじゃんそんなのどうでも。料理に集中しようよ。
しかし、そういう話が大好きなKさんはさっそく
「カルシウムが足りないのかなぁ。関節だからカルシウムじゃないか。ミネラル?」
知らないよ、そんなの。聞こえないふりをして料理を食べていると、料理を運んできた当の仲居さんに
「膝がポキポキ鳴りますねぇ」
と言うではないか!何を余計なことを!
「気にしないでください。酔っ払いの言うことですから」
すかさずフォローするが、仲居さんも
「どういうわけか、鳴るんですよねぇ」とニコニコと相づちを打つ。社員教育が行き届いていて、ホッとする。
Kさんはその夜、「どうしてポキポキなるんだろう」とずっと考えていた。やれやれ。

翌日、チェックアウトをしていると、担当だった仲居さんが玄関まで挨拶に出ていた。こういうところも行き届いているなぁ。
「お世話になりました」
と、私がお礼を言っていると、Kさんが
「今日は膝の調子はいかがですか?」
と余計なことを聞く。これ以上失礼なことを言い出す前に出発しなければと思うが、Kさんは「やっぱり何かがたりないんだと思うよ」と話している。私は、Kさんを引きずるようにして宿を後にした。そんな私の気苦労など全く関係なく
「さようならぁ。ぽきぽき姫〜」と最後にはあだ名までつけて手を振るKさん。いい加減してくれ〜。

とにかく酒や酒!


どうして朝からこんなテンションかといえば、もちろん前日に深酒をしているからなわけだが、私がさっさと先にやすんだ後、社長とKさんはまだ飲み続け、社長が酒の勢いにまかせて、Kさんのデザインについていろいろ注文をつけたらしい。それにいたく傷ついたKさんは最後は不貞寝し、朝から部屋の冷蔵庫をあけて、ビールを飲んだのだ。一人で飲むのは気が引けるから、「ま、一杯」と他の人にもすすめ、後はなし崩しに朝から宴会となった。おいぃ。

今日は日本海側まで行かなければならないので、忙しい。電車を乗り継ぎ、特急に飛び乗った。その名も「かにカニエクスプレス北近畿」そのまんまやがな!
慌てて乗ったもんだから、酒もつまみもない。当たり前だ、まだ朝の9時だよ。と思うが、すでに起き抜けにガソリンが入っているので、我慢できない。Kさんは車内販売がこないかとか途中の駅での停車時間にキヨスクで買おうかと思案していたが、車内販売はなく、停車時間も短いと判明、目的駅までは不貞寝することになった。

列車に揺られること2時間、日本海の海っぺりの町香住に到着。天気はいいが、雪が積もっている。おお、冬の日本海だ!どんな演歌を歌っても似合う感じがする。
しかし、おそろしく何もないところだ。冬はカニ、夏は海水浴しかないのだろうな。お昼なので食事をしようにも店がない。駅員さんに聞いて、海沿いの道を歩いていると、食堂発見。1階が海産物(主にカニ)の販売所で、2階が食堂になっている。入ると客はわれわれだけ。茶髪のイマドキの女の子が注文を取りにくる。こんな田舎でも若い子は東京にいる子と大差ないなぁ。来る途中の列車の中にいた高校生は普通に田舎っぽい感じだったが、どの時点で垢抜けるのかなぁ。雑誌とかみて勉強するのかなぁ。今の日本なんてどこへ行っても個性がなくなっていて都会も田舎もないのかもしれないなんておもっていたけど、ここはかなりド田舎だったので、不思議な気がしたのだった。食堂で流れているBGMも有線だと思うけど、最新ヒットメドレーみたいなやつだった。

カニは夜までお預けということで、ここでは寒いこともあって鍋焼きうどんを頼む。しかし、もちろんビールは忘れない。だから寒いんじゃないのかい!「ま、一杯」と進められ、とりあえず飲む。注がれれば断らない私も私だ。
ビールを飲みながら、社長達は「BGMがうるさい」と言い出す。ここ(日本海)なら演歌だろうという意見は正しいと思うが、ちょっとお昼ご飯を食べているだけの場所なのだから、我慢して欲しい。という私の心の叫びは届かず、
「ちょっと、この音楽、小さくできないかなぁ」と注文をつける。
こういう行動を見ていると、自分の小市民ぶりがはっきりわかる。私はけっしてこういうことはしない。たとえかなり不快に思うことがあっても、我慢する。めったに怒ったりしない。だから社長達のこういった言動を見ると、うらやましいなぁと思う。一歩間違えれば、傍若無人だよね。いや、今でも充分そうか。

応挙寺カラ振り


なぜこんな辺鄙なところに来ることになったかというと、ひとつには当然カニであるが、もうひとつは大乗寺というお寺。円山応挙が描いた有名な屏風絵があるんですと。

円山応挙というのは、江戸時代の高名な画家で、若い頃に大乗寺の住職に世話になったので、後年寺を建替えるときに、弟子を引き連れて襖絵を描きに来たという律義者である。とくに、孔雀の襖絵は圧巻という。海外(アメリカだったか)にある幽霊図も有名。

が。来て見れば、襖絵はどれも出張中でありました。全国で開催される応挙展に出品中だとか。次は江戸東京博物館でやるらしい。ありがちだよな。海外旅行に行って、美術館へいってみれば、今日本に行ってますとか言われることはよくある。ってそんなの私だけか?日本人は印象派の絵が好きで、私は一般的な日本人なのでやっぱり印象派の絵が割りと好きで(分かりやすいというのもあるが)、海外の美術館にはそれを目当てで行くのだが、日本人が好きだということは、日本企業が金にあかせて印象派の展覧会を日本で開催するということで、海外の有名どころの絵はしょっちゅう来日していることになるのだ。

外より冷え込むお寺の中で、応挙の息子とか弟子とかの作品を見ることになった。普段は見せない特別展示らしいが、常設を見ていないのに、特別を見てもしょうがない。
入り口に「酒気帯びの方お断り」の張り紙があって、みんなで息を止めて見た。あー、苦しかった。

後日、東京に戻ってきてから、江戸東京博物館へ(会社から2,3駅行ったところにある)、開催中に行ってみようかと思ったり、やっぱり襖絵は本来あるべき建物の中でみるのが一番なんだからと、負け惜しみを言いつつやせ我慢して見に行くのをやめようかと思ったり。それより、展覧会にかこつけて宝塚からKさんが来るんじゃないと気が気でない。一度上京するとなかなか帰らず、往生するのだ。

カニカニ


宿に着いてみると、そこは出来たばかりの建物ではあったが、どうみても民宿だった。もともと大した宿泊施設のない土地だけど、仲居さんがいるわけでもなく、お茶もまずい。昨日がよかっただけに、いやな空気が漂う。この宿は、最初に予約していた宿のご主人が脳梗塞かなんかで倒れて営業ができなくなってしまったので、観光協会で紹介してもらった宿なのだ。その連絡等を担当したのは社長だったので、そのヘコミぶりが気の毒であった。
「まいったなぁ。失敗だったかなぁ。どうしよう?」
どうしようと言われても、いまさらどうしようもない。お風呂場のシャンプーが入ったボトルに、宿の名前がテプラかなんかのシールで貼ってあったのだけど、「山水苑」という字の「苑」が「宛」になっていて、そのことを社長に指摘すると、
「そうなんだよ。気づいた?いよいよまずいなぁ」とますますへこむ。
結果的には、そう悪くなかった。いや、もちろんカニは最高だったさ!カニ目当てに来たんだから、他はどうでもいいという結論に達したわけだ。焼きガニ、カニしゃぶ、ゆでカニ、カニすき、かにみそ、天ぷら、〆はカニ雑炊。一人あたりカニは2杯くらいあったのではないか。もう当分カニはいらないと思ったくらいだ。

余談だが、子供たちを預けていたので、私の実家にも奮発して、カニしゃぶ用の生カニと茹でカニを送っておいたところ、子供らも食べたらしい。子供には、あまり高級なものを食べさせないというのが私の主義(単にケチともいう)なので、うちではゼッタイに食べさせないのだが、失敗した。
後日、自宅にも送っておいた茹でカニを解凍してダンナとビールでいただこうとおもっていたら、子供たちが「カニカニ」とうるさく、身をむしるたびに横から奪われ、ほとんど平らげられた。くそー。しかも「じぃじのところで食べたやつのほうが甘くておいしかった」とか抜かしやがる。そりゃ、あっちには高い方を送ったからなー、しかも生をしゃぶしゃぶにして食べてるもんなー。
しかし、1歳でカニの味、それも本場のを知ってしまっていいのか!いやよくない。断じてよくないぞー。私だって30歳を越えて初めて味わったかにしゃぶなんだぞー(泣)。泣くなって。
西原理恵子がやっぱりカニ好きで、子供が寝静まってから食べるという話をどこかに書いていたが、気持ちがすごく分かる。サイバラはマツタケとかトロも毒だと子供に教えているらしく、見習わねばと思っている。

その夜は、蟹に踏み潰される夢を見るでもなく、平和に熟睡。あー、満足。

ヨシミちゃん


最終日、まず城崎まで行った。京都までのちょうどいい列車がないので、各駅停車で城崎まで行き、そこでお昼を食べて特急を待つという手筈になった。
Kさんは朝からそわそわして、
「ヨシミちゃんまだいるかなぁ」
と話している。以前に社長達と城崎温泉に来た時に、駅前のお土産物やさんにいたおねえさんと仲良くなったらしい。そのおねえさんが、どうみても堅気に見えないというのが、Kさんの言い分で、「夜はスナックで働いているって感じなんだよ」という。だから何なの?

行ってみると、まだヨシミちゃんは店をやっていて、「どうもー」と入っていくと「あらご無沙汰」とかゆってくれる。が、これはどうみても社交辞令だろう。
ヨシミちゃんは、40過ぎのあねさん風で、確かに城崎温泉にいるには垢抜けている。お店も、手前には干物など地元の名産品を売っているのだが、奥ではアジア雑貨みたいのが幅をきかせていて、「うちはそのへんのみやげ物屋とはちょっと違うのよ」という空気を醸し出していた。
私の読みでは、大阪あたりで飲み屋をやっていたが、不景気でなかなか商売がうまくいかず、店を引き払って元バーテンのダンナの故郷に引っ込んで、土産物屋を始めたという感じだな。

しばらくヨシミちゃんをからかって、街をぶらぶらしてから、蕎麦屋でお昼。もちろんビール。メニューにあった「丹波黒豆の枝豆」というのは、冷凍物でぐにゃぐにゃびちゃびちゃでまずかった。
街を歩いていて、以前城崎温泉に来た時にふらっと入った甘味処「力餅」を発見。ここでマイベストオブかき氷と出会ったのだ!思わぬ再会に打ち震えるが、冬は当然かき氷などやってなく、場所だけしっかりチェックしておいた。いつか夏に城崎温泉に来たら、またかき氷食べるぞ!

そんなこんなで、やっと特急に乗り込む。前日の失敗を教訓に、酒を買い込んで準備万端である。ヨシミちゃんの店で買ったつまみもあるし。
しかし、陥穽は思わぬところに潜んでいるものである。
コップがないのだ。まさかビンに口をつけて回しのみというわけにもいかず(それくらいの理性は残っている)、途方に暮れる。
Kさんが、ヨシミちゃんの店で買った「小鯛の笹漬け」の入っている小さな器をコップ代わりにしたらどうだろうという意見を出したが、即座に却下。生臭くて飲めやしないだろう。
そうこうするうちに車内販売のワゴンが来たので、そこで何か買ってコップをもらおうという話になった。ところが、コップはコーヒー用で、コップの数で売れたコーヒーの数になるので、コップだけを渡すわけにはいかないという。しょうがないので、飲みたくもないコーヒー(私は飲みたかった)を4つ買って、コップをゲット。ついでにビールも買うKさん。だから、酒があるだろう!
私がコーヒーを飲んでいると、Kさんはさっさと洗面所でコーヒーを流してコップを洗い、お酒を注いでいる。あっという間にお酒はなくなり、ビールを飲み、それもなくなり、引き返してきた車内販売のワゴンを止める。
お酒はワンカップしかないと言われ、
「おいしいお酒を飲んだあとで、ワンカップかー」といいつつ、「いちおうちょうだい」。何がいちおうなのか。「ま、保険ってことでね」何が保険なのか。
しばらくワンカップを手でもてあそんでいたが、「あっ」と手が滑ったフリをして「あー、あいちゃった。もう飲むしかないよね。しょうがないなぁ。いいお酒の後だけど、あいちゃったからねぇ」。
ぶつぶつ言い訳をしながら、それも平らげる。

そんな調子でやっと京都についた。3時である。新幹線の乗り換え時間の5時までにまだ2時間ある。当然3人は飲みに行くというので、これ以上付き合ってられない私は、5時まで自由行動にしてもらった。わーい。

抹茶パフェ


自由行動になって、何をしたかったかというと、都路里である。抹茶パフェである。京都出身の友人に教えてもらったお店で、もともとはお茶屋さんなんだけど、甘味処をはじめたところ、とても繁盛しているのだそうだ。本店は祗園にあり、夏に京都に行ったときにトライしようとして予定に組み込めず断念(子供二人連れてたんだから当たり前か)。駅ビルの伊勢丹に支店が入っていると知り、ふたたびトライするも休日ということもありすごい行列で1時間待ちと言われこれまた断念。(この時は一人だったんだけど、友人の結婚式に出席する前の空き時間を利用するつもりだったので、まさか「抹茶パフェを食べてて遅れました」とは言えないので、諦めた。)
そうなると思いはつのるもので、どうでも食べたくなった。今回のこのチャンスを逃してはならずと、いさんで伊勢丹店へ。やっぱり行列が出来ていたけど、30分待ちなので、並ぶ。一人で来てる人もいて、なんとなく安心する。
そして待望の「特選都路里パフェ」1100円也。うまーい。ラーメンでいえば「全部入り」で、白玉(白と抹茶)、抹茶カステラ、アイス(バニラと抹茶)、抹茶シャーベット、抹茶ゼリーなどなど。抹茶好きにはたまらない逸品でした。通の友人は、玄米茶パフェもイイとゆっていた。うーん、次回はぜひ挑戦したい。っていつになることやら。
東京の汐留にも支店が出来たらしいが、いまだお台場にも丸ビルにも六本木ヒルズにも行ったことのない私には、京都より遠い場所である。

その後、バーゲン中の伊勢丹をウインドウショッピングしたり、お土産を買ったりして2時間はあっという間に過ぎた。

さびしんぼう2そしてフィナーレ

さて、新幹線のホームに来て見ると、社長達も間に合ったようだ。ゼッタイに無理だと思ったけど、そういうところはギリギリでクリアしている。それはすごいと思う。
2時間の間に、3人はさらに飲んで、もうさすがにべろんべろんだ。
さびしんぼうのKさんは、別れがつらくて社長に抱きついて離れない。感極まってほっぺにぶちゅーと吸い付いている。お互い、全くそのケはないのだろうけど、酔っぱらうとたがが外れるのだ。
私は他人のフリをしてさっさと新幹線に乗り込んだ。下手をするとKさんは乗ってくるかもしれないと思ったけど、これが全席指定ののぞみだったので、諦めたようだ。以前、旅行に行ったときに、本当に乗ってきちゃったことがあったらしい。「名古屋で降りるよ」と言っていたのに、東京までついてきて、そこから引き返したら寝ちゃって岡山まで行っちゃって、しょうがないのでまた乗り換えたらまた寝ちゃって、目が覚めたら岐阜羽島だったというツワモノだ。
ぎりぎりになって席にきた社長の手にはなんとワインが。
「まだ飲むんですか?!」
「だって最後だし。君、飲むだろ?」
「いただきますけども!」
そこで飲む私も私だが。
最後は反省会と称してワインを飲む。社長がはべろべろなのをいいことに、旅行前夜に深酒したことを聞いてみる。だって旅行に行けば朝から飲むわけだから、前日くらいがまんせえよ、と思うのだ。
「それはそうだけど、僕だって、大丈夫だと思っているわけだよ」
この期に及んで、まだ言い訳をする。大丈夫だったことが一度でもありましたかっつーの。飲んだ翌日は、家で寝てるか、会社の応接セットで寝てるかのどっちかじゃないですか。
「でも、休まなかったら、僕とっくに死んでると思うんだよ。」
ええ、私もそう思いますがね。
「だから、言うなれば、無理をしてやすんでいるというかね。休みたくないんだけど、会社のためを思ってね」
「・・・・・」
こういうのを、開いた口がふさがらないというのだ。上司ということを忘れて、ほっぺたをつねってやろうかと思った。「この口か、この口がいうのんか!」かろうじて理性で抑えたけれども、ものすごいフィナーレであった。

以上が、今年の1月に行った社員旅行の顛末の一部始終です。ご静聴(?)ありがとうごさいます。

おまけ

呼称


余談ですが。

社員旅行といっても、そんなわけでおっさん3人と中途半端な女一人という構成なので、宿の人が戸惑う、戸惑う。
馴染の店のホステスを連れてきたにしては色気がないし、娘というほど若くない、かといって奥さんかといえばそれも違う。一体あんたはなにものなんだ!という視線をビシバシと背中に感じた。
結局、私は旅行中に「奥さん、お嬢さん、お姐さん、女の方、女性、そちらの方」などあらゆる代名詞で呼ばれた。それはそれで面白かったけど。
姐さんというのは、祗園の芸妓さんかなんかと思ってくれたのかしらんとちょっとうれしい。私の顔は純和風の引き目鉤鼻なので、浴衣を着てるとそう見えるかも?・・・これは言いすぎでした。



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