音圧分布
音が発生するとその音源から空気を介して大気圧を変化させながら耳に届きます。そんな訳なので、音は伝わるものがなければ音が聞こえないということになるわけです。つまり真空ならば音が伝わるものがないので、音が聞こえないと言うのもその様なわけによるのです。
音圧とはこの大気圧の変化を表すものです。そういうと難しく聞こえるので、例えば池に小石を投げると、波紋になって広がります。音圧はこの波に相当します。小石の投げられた地点は、波の大きさも大きいですが、だんだん離れれば波の大きさも小さくなりもっともっと端では波も届かなくなるというのを想像してくだされば理解しやすいかと思います。そして、石を投げて波立った池もしばらくすると静かになります。簡単に言えば波が目に見える音圧分布です。
小石と水で例えてみましたが、建築音響では建物で音を鳴らすわけですから、波紋の広がりのように単純ではないということは分かっていただけると思います。池に小石を投げて、その池に岩が出ていたりするとその波紋は岩にぶつかり反射します。その反射した波は、石を投げて出来た波と重なり合って、複雑な波紋になります。それが、室内における音の広がり方と思っていただいて結構です。
さて、この音圧分布はコンサートホールなどでは均一が理想なのですが、舞台からの音が前の人と後ろの人では違ってくるの仕方ないことでもあります。例えば、学校の朝礼などでも前にいる場合と後ろにいる場合では音の大きさが違うと感じることがあると思いますが、このことは音圧が違うということでもあるのです。すなわち、大きなホールになるとそれが更に顕著になります。つまり、同じ音楽を聴いていても後ろにいる人と前にいる人では違う音楽を聴いていることになりかねなくなるのです。そこで、大きなホールでは電気音響によってそれをカバーしています。つまり、後ろの方や天井にスピーカーを設置することによってなるべく一定な音圧にすることで聞く音に差が出ないようにするのです。