アクエリアンエイジ公認ジャッジに求められるもの

 ここでは、公認ジャッジ試験二次面接および公認ジャッジマニュアルを見て、 私が感じた公認ジャッジのあり方(ブロッコリが求める公認ジャッジ像)について書いてみたいと思います。
 ジャッジマニュアルについては、現状、ジャッジ以外には非公開とのことですので、その内容を示すことはできませんが、 その中から読み取れる本質について書いてみます。
 なお、これはあくまで私が感じただけのものであって、オフィシャルから示されたものでないことをお断りしておきます。 異論、反論などはどしどし、ジャッジBBSにお寄せください。


・公認ジャッジはイベンターである
 オフィシャルが求めるジャッジ像の1つは、公認大会をきちんと企画・運営できることのようです。 現状、どうしてもアクエリを始めとするTCGのプレイヤーは大都市近辺に集中し、 公式大会などのイベント開催場所も偏りがちです。本来ならばメーカの営業などが、手薄な地区を回って、 初心者講習会開催などの新規ユーザ開拓を行うべきなのでしょうが、それにも限りがあります。
 そこで、その隙間を埋める形で公認ジャッジが活動することは、非常に大きい意義があります。 このため、イベントの企画、会場の確保、宣伝、参加者(特に初心者)のフォロー、当日の運営などがきちんとできるかどうかは、 公認ジャッジの素養の重要なポイントです。このあたりがきちんとしていないと、例えば、 1度使用した会場を貸してもらえなくなったり、参加者が不快に感じたりして、続かなくなってしまうことにもなりかねません。 ましてや、大会を私物化してプロモをせしめようとか、内輪の馴れ合いで新規参加者を締め出すなどの行為は言語道断です。 そして、そのようなクレームがメーカに来たりした場合には、商品としてのアクエリの信用問題にもなりかねません。
 面接の際には、このような部分について、
 ・ジャッジになろうとした動機は何か
 ・ジャッジの資格を取ったらどのように活用したいか
 ・日頃、どこでどのくらいプレイをしているのか
 などの質問の答えによって、間接的に判断しようとするでしょう。 また、受け答えの際の態度や口調(TPOをきちんとわきまえているか。使うべき敬語はきちんと使えるかなど)でも、 その人の対外交渉能力や礼儀など、イベントを進めて行く上で必要となる能力を見ることができるはずです。
・公認ジャッジは司会者である
 公認ジャッジは、ある意味で司会者の素養が必要です。TCGの究極の目的は“楽しむこと”です。 例え試合に負けたとしても、楽しい時間を過ごすことができれば、TCG人生の上では“勝ち”なのではないでしょうか? 従って、公認大会を開いた場合には、「参加者が楽しむ」ことを念頭において行動しなければなりません。 あくまで、参加者が主役なのであって、ジャッジがその存在を主張しすぎてはいけません。
 ささいなプレイミスに目を光らせたり、対戦者同士が納得してプレイを進めているところに、横から口を挟むことは慎まなければなりません。 これは、“公平”の原則にも反する行為です。ジャッジングは、あくまで、プレイヤー間での意見の対立が発生した場合に、 それを調整して、スムーズに試合を進行させることのみに心をくだくべきです。他のTCGのジャッジはどうかは知りませんが、 ことアクエリアンエイジについては、オフィシャルはこのようなジャッジ像を求めています。私もこれに賛成です。
 そして、プレイとプレイの合間には、プレイヤーをリラックスさせ、コミュニケーションの仲介やそのきっかけになるような行動をとることによって、 参加者が「あぁ楽しかった。次もまた参加しよう」と思うようにさせることも重要です。特に初心者やひとりで初めて参加したような人に対しては、 プレイヤー間の話の輪にさりげなく誘導するなどの配慮も必要な場合もあるでしょう。 また、ジャッジが一部のプレイヤーとばかり馴れ合って話をしている状況は、他のプレイヤーに悪い印象を与える可能性がありますので避けるべきです。 あくまで、大会中は、「全員に対して公平」と感じられるように行動するべきです。
 ジャッジ面接においては、このような部分については、
 ・プレイミスに後から気がついた
 ・対戦者以外のプレイヤーがプレイミスや遅延行為を申告してきた
 ・スムーズにやれば勝てるところ、有利な方が長考に入って時間切れになりそうだ
 ・試合中にトイレに行きたいと言われた
など、ルール以外の部分について、具体的なシチュエーションを与えて、 それについての判断を問われるという形で確認されます。また、この場合、わざと不明確な形で状況が示されることも有り得ます。 その際には、状況を正確に把握するために、的確に質問しなおせるかという能力も測られます。これは、 対戦している両者からの言い分をきちんと公平に聞くことができるかということに関係します。
・公認ジャッジは“ジャッジ”である
 あたりまえのような話ですが、ジャッジにはある時には“厳格さ”が必要です。 裁定を下す時には、自信を持って、速やかに明確な裁定を下さなければなりません。 このためにはルールに精通しているだけでなく、それをきちんと他者に説明できる能力が求められます。 それを、
 ・「ジャッジの言うことは絶対だ」と高圧的に収める
 ・知り合いのプレイヤーに対して「まぁそういうことにしといてよ」と馴れ馴れしく接する
 ・一度下した判定を、脇からの口出しで覆す
というようなことをしていては、ジャッジとしての資質を疑われます。
 またもう一つの重要なポイントとして“反則行為”に対しての判断があります。 ジャッジマニュアルには反則行為に対する考え方と裁定の指針が示されています。 しかし、その運用はジャッジにまかされています。このためには、ジャッジ各自が明確な判断基準を、 日頃からきちんと考えておかなければなりません。ジャッジ試験面接では、 面接時点でのあなたの判断基準が確認される場合があるでしょう。しかし、その判断基準があまりにきつすぎて、 “楽しいゲーム”としての発展を損なうと考えられる場合には、かえってマイナスになるかもしれません。
 悪質な反則行為には、失格・退場を宣告しなければならない場合もあります。しかし、この場合でも、 あくまで冷静に宣告を行うべきであり、反則行為を行った人も“参加者”であることを忘れてはなりません。 反則行為に裁定を下す場合には、行為者のTCG生命を絶つのではなく、反省を促して、 次回のよりよいプレイマナーにつなげるようにするのが、心の広いジャッジと言えるでしょう。
 また、一方では、大会中に全ての反則行為に対して目を光らせていることは、非常に難しく、 殆ど不可能と言ってもいいでしょう。大会中には、ジャッジは時間管理をはじめとして、 いろいろとやることがあります。このため、すべてのプレイヤーの一挙手一投足を抑えるのではなく、 そもそも、反則行為などを行わないような倫理観の醸成にこそ心を砕くべきです。これは、試合開始前の、 簡単な諸注意で行うことができます。また、初心者プレイヤーが悪いマナーにそまらないように、 フェアなプレイの見本を示すという意識も大事なところです。
 “よきジャッジはよきプレイヤーたれ”というのが私の考えです

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