ダブル・サンルーフ〜屋根が開くってそれだけで幸せ



/////とりあえず基礎知識

パンダのサンルーフは実質的にはキャンバストップといえるもので、基本的には開口部の中心に支点を持ったコの字型のパイプから開口部の端にキャンバス(パイプが入っていますが)を渡しただけの簡便な作り。これは初代チンクエチェントや後期型2CV(前半部)のキャンバストップとほとんど同じです。それらと違うのは開く方向でチンクや2CVが前から後ろに開くのに対して、パンダのそれは後ろから前に開きます。ロック機構も簡単なものでプラスチックのレバーが車体についている金具に引っ掛かっているだけ。ダブルサンルーフという事で当然前後に同じ構造のもの(後ろが若干大きく、補強のパイプが2本入っている)が付いています。ということは当然、屋根が真ん中に残っているわけです。

そうそう、このダブル・サンルーフ、現在5万7千円のオプションです。昔は9万円もしたそうですが・・・こんなもんに(おいおい)。だって、笑っちゃうくらい簡単な作りですからね(^^;) 意外や頑丈ではありますが。 因みにサンルーフを交換しようとすると、フロントで6万円弱、リアで6万円5千円強で工賃は1万円程度かかるらしいです。妙に高いですね。

/////電光石火

このサンルーフ、何がいいって、開閉が簡単で素早い事に関しては他に並ぶものはありません。前側ならロックを外してから真ん中のパイプを上に突き上げるように持ち上げれば「パタン」と開いて終わりです。慣れれば、この間約1秒(未確認)。閉じるときも真ん中に付いているレバーを掴んで引っ張ればやっぱり「パタン」と閉じます。ロックを掛けるまでを入れても慣れれば、この間約2秒(未確認)。片手で簡単、右手を上げたところにそのままレバーがあるので、スピードが出ていなければ走りながらでも余裕で出来ます。 これだけ素早く出来れば、雨が止んだ瞬間にパッと開けて、また降ってきたらすぐにパッと閉める、なんてこともストレスなく出来ます。実際、私はやっています(^^;)そんなことをしているから、後述するように縫い目が完全にほつれて無くなったりするのですが、それでも私は懲りずに開け閉めを繰り返してます。はっきり言ってオープンエア・ジャンキーですから(^^;

「あれ?ティーポの記事では開けるのに何分もかかっていたんじゃなかったっけ?」と思った記憶力のいいあなたの疑問にお答えすると、あれはゴムのバンドで固定する時間まで入っているんです(固くて指が痛くなるんです(;_;))。もちろんキャンバスに引っ掛かっている(本当に引っかけているだけ。目障りだったらすぐ取れます(^^;)あのゴムバンドは開けたキャンバスを束ねておくものなんですけど、前側に限れば、その役割は単に見栄えをよくするためだけです。バンドで固定しなくても高速道路を人に言えないような速度で走れますよ(^^;

/////青空のむこうから

サンルーフ、といえば気になるのは解放感。ライバル・トゥインゴのキャンバストップに比べると前席では開口部の横幅の広いパンダの圧勝。タンブルレス・ボディは偉大なり。逆に後席では屋根が残っているパンダよりも全面バーッと開くトゥインゴの勝利。どちらにしてもこの手の屋根開き車としてはとても優秀なんで、どちらがどうとは言えないでしょう。パンダの後席も凄く気持ちがいいですよ。快晴の日にサンルーフ全開のパンダのリアシートに乗った時の気持ちよさといったら・・・。その時、道全体が木に覆われている山道を走ったんですが、木々の間から日光がキラキラしているのをパンダの心地よい揺れを感じながら見ているときは本当に幸せだったなぁ・・・(^-^)

(注)タンブルとは自動車用語ではボディ上部の絞り込みのこと。タンブルレス・ボディのメリットは乗員の肩から上の空間が広くなり圧迫感の無い心地良い空間が作れる。が、見た目重心が高くなり、カッコ悪くなりやすいのが欠点。しかし逆手に取ってお洒落なイメージ作りに成功した車もあり、その代表が一部のミニバン、ボルボ、そしてパンダですね。

/////快楽の代償

イタリア物のサンルーフ、とくれば気になるのは雨漏りでしょう。パンダのサンルーフはその構造上、雨漏りしにくいのですが、犬キャラ号のサンルーフはキャンバスの縫い目がほつれてそこから雨漏りしました。ただ、縫い目がほつれたから必ず雨漏りするというわけではなく、犬キャラ号の場合も左右同じようにほつれているにもかかわらず、雨漏りしたのは運転席側だけです。現在はテント用の補修テープを貼って対処しています。なんだかんだ言っても所詮相手は布っ切れなんでどうとでもなるんですよ(^^;

キャンバストップのネガといえば、あと騒音があるでしょう。これはノーマルルーフを経験したことのない私にはよく分かりません。でも、元々風切り音の小さい車ではないはずですし、問題ないと思います。むしろ、音抜けのよさでアドバンテージがあるくらいではないでしょうか。ただし、パタパタという音はします。私はなんか長閑で好きなんですけどね。パタパタパタ・・・いいな(^^)

/////いつか見上げた空に

私はなんといっても屋根の開いた車が好きです。頭の上に何もない、という状態が凄く好きなんですよね。ただ、「すっきりして気持ちがいい」というのもありますが、なんか「大きな世界とつながっている感じ」があるじゃないですか。気持ちがおおらかになる、というか。渋滞のイライラがピークに来たとき、ふと見上げた空の深さにほっと一息つく、なんてこともよくあります。

フルオープンの車もいいのですが、私にとっては手軽さに欠けるのと(最低10秒で乗ったまま開閉できなきゃ駄目)、目立ち過ぎるのが難なんですよ。それにサンルーフの四角く切り取られた空、というのも趣があっていいものですしね。