パンダの乗り心地



/////他に換えられないライド

パンダの乗り心地って、私の場合、100m程走ったところでもう「これしかない」と感じたんですね。その試乗は全部で500m程、スピードも最高40km/hくらい、他の人から見れば「そんなもので、何がわかるの?」というものですが、私はその時、既にパンダが自分にとって最高の乗り心地を与えてくれるクルマだと確信していたのだと思います。それは、その後シトロエン(Xantia&ZX)、メルセデス(C200&S500)、ホンダ・オデッセイと現代の乗り心地に定評のある名車達に乗った後でも、些かも揺らいでいません。

/////普通に言えば×な乗り心地かも・・・

とはいっても、これらの名車達と一般的な評価軸で比較してパンダの乗り心地がいいとは間違っても言えません(当たり前)。足回りに対して少々オーバーサイズの標準サイズのタイヤは荒れた路面(特に舗装の継ぎ目)でバタバタと派手な音(この音のせいで実際より乗り心地が悪い印象を与えるみたいです。)を立ててボディを揺するし、一定周期のショックが続くとだんだんクルマが煽られていくのは確かに軽トラ的ですらあります(ずっと程度は軽いけど)。しかし、そんなこと大した問題ではないですよね。そんな荒れた路面がずっと続くわけではないですから。それより大事なことがあるんです。それはパンダに乗れば一瞬でわかる人にはわかるのですが、説明は難しいんです。何とかやってみますけど(^^;;

/////パンダの不思議な心地よさ

「生理的に気持ちいい」、パンダの乗り心地を一言で説明するとこうなるでしょうか。

パンダの乗員ははどんなときでも、ある種の心地よさを感じるんですよ。特にほとんど意識されないような微小な振動において乗員の生理的な違和感というものが皆無なのは不思議なほどで、そのため良路をスーッと走っているときの気持ちよさは自動車の範疇を越えているような気がします。私は以前、これは微小なショックの遮断が上手いためかと思っていましたが、よく観察してみるとそうでもないんです。生理的に揺れないんですね。

逆に、少し古いトヨタ車とかに特に多いですが「スーッと走るけどなんか気持ち悪い」クルマがありますよね。一般的にはこれらは「サスが柔らかくフワフワするから」と言われていますが、必ずしもそうとは限らない、というよりほとんど無関係だと思います。犬キャラ号はダンパーが抜け気味で、時にフワつくこともあるのですが、フワッときている時にも、全然生理的には気持ちいいんです。逆に商用バンの中にはサスが固いのに「生理的に気持ち悪い」クルマが少なくありません。もっと複雑に色々な要素が影響するようです。

/////体に優しい揺れの「質」

聞くところによると、どんな物にも「共振点」と呼ばれる、自然と大きく揺れてしまう周波数の揺れがあるそうです。無論、人間の骨格、内臓にも共振点があり、クルマの揺れがその共振点にあれば、内臓だけが大きく揺れることになります。私の勝手な想像ですが、乗り物酔いとは揺れが胃や三半規管の共振点にあり、他の感覚とずれた動きをするために吐き気や目眩が起こることなのではないでしょうか。

そういう観点でパンダに乗った自分の体を注意深く観察してみると、驚くほど体が一体になって揺れていることに気づきます。同じように他の車に乗って体を観察すると胃袋や頭の奥の辺りが体と別に動いているような感じが必ずあり、それが心地よさを削いでいるんです。

ちなみに私の末の妹は車に酔い易い体質なのですが、パンダでは全く酔わないそうです。おかげでえらくパンダを気に入ってしまい、「免許を取ったらパンダちょうだいね」、と恐ろしいことを言うようになってしまいましたが(^^;)。

/////

今まであまりこういう乗り心地の評価を聞いたことがないんですが、結構大事だと思うんですよ。揺れるけど気持ちいいクルマと、あまり揺れないけど気分の悪いクルマ、どちらがいいか誰でも分かりますよね? 残念ながら国産車はこの点でほとんど駄目なんですよね。オデッセイ(これ実家のクルマです(^^;)ももう一息、という所でした。その点、欧州車は概ねいいんですが、それらと比較してもパンダは図抜けて気持ちいいんです。パンダに乗るとなんか気持ちいい、のは明かるい内装とこの乗り心地の相乗効果なのではないでしょうか(もちろんドライバーには軽快な走りという要素が付け加えられるわけですね(^^))。