パンダの開放感



/////カタログの嘘(^^;

通常、「解放感のある室内」と言われるのは、スカットル・ウエストライン共に低く、グラスエリアの広いクルマを指します。パンダもカタログに「ガラス面積も広いので、明かるく解放感に満ちあふれています」とある様に・・・って嘘書いてるよ、これ(^^;

実はパンダはそういう意味では決して解放感のある方ではありません。現代の水準からするとパンダはスカットルが高く、フロントウィンドウの天地が薄いし、サイドウインドウも高いウエストラインの影響で広く、サンルーフを閉めた室内はそんなに明かるくありません。実際、国産車(特にホンダ)から乗り換えた人の中には閉塞感を訴える人もいます。実は私もそうでした。

/////美点?欠点?

しかし、乗り慣れていくにつれ、このクルマ独特の「解放感」というものが分かるようになり、他のクルマの「解放感」が実は「ただ外がよく見えるだけ」のものではないのか、と思うようになりました。パンダに乗っていると、不思議と鉄とガラスの箱の中にいる、という感覚が薄いのです。外の世界とダイレクトに繋がっている、というより、外と中の境界が存在しないかのような、明け透けな解放感。これもパンダの良さの一つです(欠点かもしれない(^^;)。

/////いつも見ている自然さで

さて、その開放感はどこから来るのか?その鍵は前述の平面ガラスにあると思います。普通のクルマはほぼ必ず、曲面のガラスが用いられるわけですが、これはレンズ越しに外を見ているような「歪み」を避けられず、これが視界に非現実感を与え、外界からの疎外感、またはカプセル感(クルマに篭もる感覚)を生むのです。平面ガラスのパンダは当然これが少なく、世界はいつも見ている自然さで我々の目の前に展開するわけです。

そして、パンダのグラスエリアが狭いと行ってもそれは上下方向の事で、フロントウィンドウの横の広さは細いAピラーとも相まってかなり広く、その縦横比はむしろ人間にとって自然なものなのではないでしょうか。普通のテレビとハイヴィジョンや映画のスクリーンとの比較と考え合わせてみてください。

視界が自然ならば、それだけ「何かの中から外を覗いている」感覚が減り、外界との一体感が強まる。それがパンダの「解放感」なのではないでしょうか。

また、平面ガラスである事により、フロント・サイドウィンドウが乗員に「向かって来ない」事もポイントですね。普通のクルマの窓は上に向かって絞り込むようにガラスが湾曲しているわけですが、これにより乗員は心理的な圧迫感を感じ、解放感をスポイルされるのです。自分からの距離が同じでも、自分の方に向かって来ている物の方が、圧迫感を感じるのは当然でしょう。