高速道路のフィアット・パンダ


/////期待する方が間違っている(^^;)

パンダの高速道路での評価は、法定速度を少し超える程度の領域で若干、ステアリングの座りが悪いこともあり(これは個体差かも知れないけど)、まぁ決して良くはありません。たとえば、ルノーやオペルやVW等の最新コンパクトと比較してしまうと明確に劣るのは仕方のないことでしょう。しかし、パンダはそのデビューは15年前、リアサスの大改造を受けてから数えても10年を越える長寿車である上、直進性の要であるホイールベースは軽自動車以下、トレッドも狭い、空力面でも無骨なボディは風を上手くいなすことなど初めから考えられていないという、どう考えたって高速道路を上手くこなせる要素はないクルマなわけですから、期待する方が間違っているんです。そんなことは買う前から分かってなければいけませんよ(^^;)。

/////でも、そう悲観的になる必要もない(^^;)

しかし、そういう条件を考えれば、パンダの高速性能は十分、いや驚くほどの能力と言っても差し支えはないでしょう。法定速度程度なら全く問題ないのはもちろん、この辺りのスピード領域が一番乗り心地が良く、安楽に走り続けることが出来ます。音は100km辺りまでならエンジン音、風切り音ともに許容範囲でしょう。少なくとも会話は出来ます(^^;)。軽自動車や古めの国産リッターカーと比較するなら、ずっと安心感のある走りです。エンジンも1,100ccになってからのパンダはほとんどの状況で問題ない程度のパワー・トルクを有していて、走り屋でもない限り不満に思うことは少ないでしょう。
問題があるとすれば、ヒョコヒョコとしたピッチングが続いてしまうことで、長時間走っていると疲れが出てきますね。

/////老熊猫の底力

普通に走っている分には、無難にこなしている、という以上の印象はありませんが、条件が厳しくなってくると、おや?と思うような懐の深さを見せるのがサスペンション。スタビリティは最高速まで十分確保しており、150km/h程で強引なレーンチェンジをしても不安はない。きつめのコーナーを旋回中、大きなうねりに遭遇する、というような状況でストロークの大きなサスペンションが見事に路面を追随する様は、わずか800kgに満たない軽量車とは思えない感覚です。力技が得意なタイプ。
その高速道路のコーナーはパンダに乗っている幸せを感じるポイントの一つ。スロットルをちょっとだけ戻して、タイミングを合わせてステアリングを切る、滑るように曲がるその感覚はオン・ザ・レールというより、スケートやスキーに近い感覚。それでいて接地感は豊富なので、安心してヒラヒラと曲がりを楽しめるのがいいですね。

/////空も飛べるはず

でも、何がいいってやっぱり適度な速度で巡航する時の、なんだか「幸せ」な心地よさ。クーンというハミングのようなエンジン音、穏やかな風切り音、パタパタというサンルーフの音、スルスルと抵抗感の少ないタイヤの転がりとストローク感はあるけど同時にゴツゴツ感も残るサス、その独特の浮遊感。パンダのクルージングは、たとえば別の世界の飛行機械、といった趣だったりします。個人的には宮崎駿のアニメなんか思い出しちゃうんですけどね。ナウシカのメーヴェとか。
高速道路でも100km/h程度しか出さないのならサンルーフは開けて走りましょう。季節にもよりますが、風の巻き込みもそれ程ではなく、天気が良ければとても気持ちがいいですよ。後ろの席の人は辛かもしれませんが(^^;)。