パンダのハンドリング



/////アンダー?

さて、”ハンドリング”といえば、自動車評論家の皆さんが箱根や筑波サーキットでタイヤを鳴らして走って語るもの、というイメージがあります。が、パンダはそのような状況ではほとんど見るべきところはありません。今やパワーやグリップに対して少々前足の剛性が不足気味で、飛ばすとフィールがかなり悪くなるんです。

具体的に言えば、旋回速度を上げていきGが高まってくるとフロントがよれてきて、ステアフィールが曖昧になってくるんです。実際には今のサイズのタイヤだとそこからもGは高まってくるので、余計にもどかしいんですね。

あえて言うならどんなに無理しても何とかなってしまうような安心感があるのですが、それは「軽いから滑ってもすぐ止まる」というだけの事ですね(^^;)本当に止まるかどうかは保証しかねますが(^^;;;

/////いつでも何処でも誰とでも?

では、どういう状況だといいのでしょうか。それは上記のようなドライ路面での限界(付近)走行以外のすべての状況です。無理をしない限り、裏路地の曲がり角、コンビニ前の交差点、海沿いの国道、高速道路のコーナー、曲がりくねった峠道、ありとあらゆる場面で最高に楽しいコーナリングが楽しめるクルマ、それがパンダなんですねぇ(誉め過ぎ(^^;)。

/////例えば高原のそよ風のように曲がる

パンダのコーナリングの楽しさは一言でいえば「爽やかさ」という表現がぴったりのものです。速度を問わず前輪に加重を乗せてステアリングを切れば「ひょいっ」と慣性マスを感じさせずに曲がるレスポンスの良さと軽やかさが身の上で、本当に「無理をしていない感じがする」曲がり方は普通のFF車(&FFベース4WD)ではまず感じられないものです。レスポンスがいい、といってもよくあるスポーティモデルのようにステアリングを異様にクイックにしたり、ハイグリップタイヤで無理に曲げているものと違い、CF(コーナリングフォース)の立ち上がりはとても穏やかで、これも「爽やか」に感じる一因でしょう。また、旋回中の姿勢もとても良く、非常になめらかで前後の一体感があります。スロットル操作に対する姿勢変化も敏感かつ素直でドライバーは「クルマを操っている実感」を常に意識しつつ、手軽に味わうことが出来ます。

/////実はライトウェイトスポーツ?

突然ですが、私が今最も信頼している自動車評論家である福野礼一郎氏は「物理的に正しいパッケージ」こそが気持ちいいスポーツカー作りに最も重要なものだと言っています(CarEX誌8月号P29〜30)。で、実はパンダは物理的に結構いい線いっているFFスポーツなのではないかなあ、と思うんです。

まず、なんといってもボディは軽量だし、前後の重量バランスもかなりいいし(ホンダFFミドシップ車と同等)、エンジンは見ると異様に低いところに収まっている上にヘッドは重心の低いOHVやSOHCだし、板ガラス故か窓が妙に軽く車高の割りにはボディの重心も低そうだし、エンジンの重量も特にFIREは軽く、バッテリーもオーバーハング内に収まっている為、Z軸周りの慣性モーメントもこの種のクルマとしては小さいし(テールゲートも異常に軽い)、ホイールベース/トレッド比もホイールベース短いから軽自動車よりは遥かに小さいし、駆動効率は前が軽いから低いけどパワー無いから問題になりにくい。うーん、完璧(かなり我田引水な気が(^^;)。

実際、パンダは福野氏の言うとおり「軽やかにのびのびと思い通りに」走ります。物理的な特性は45もΩアームFFも4X4もあまり変わらないのですから、新旧種類を問わず共通しているという「パンダの世界」とはこの走りのことでは無いかなぁと思うんです、最近。以前に私がパンダのコーナリングのインプレを書いたとき、45オーナーや4x4オーナーの方からも好評だったことを考えると信憑性あるんじゃないかなぁ、と(^^;

(注)オリジナル・パンダである45の重量配分とパワーウエイトレシオも合わせて掲載しておきます。 データを提供して下さったあるでんてさんに感謝いたしますm(_ _)m。


前後重量配分 

P/Wレシオ

45

62:38

15.1kg/ps

1100FIRE

61:39

15.4kg/ps



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ちなみに私がパンダのコーナリングで気を付けているのはとにかくタイヤに無理をさせない、ということで、ハンドルを切り過ぎたり、アクセルやハンドルの急な操作を避けるように心掛けています。

そして、たとえ限界よりはるか下の速度でも荷重移動を常に意識して走ることです。のんべんだらりと走るのではなく、きちんとスロットルを戻して、前輪に荷重をかけてやるとステアリングの反応が全く違います。私の経験ではパンダほどタウンスピードにおいて荷重変化に敏感なクルマは他にありません。時速30kmのファントゥドライブ。それなのに、高速コーナーでは安定したアンダーステアを保つ不思議。噂ではΩアームのリアサスはパッシブ4WS効果を持つらしいのですが・・・。

なんか、書いていて疲れました(^^;)クルマの挙動はドライバーの操作によっても変化するんで普遍性のある説明をするのが難しいですね。