FIREエンジンのフィーリング


/////通説の嘘??

さて、FIREは当然の事ながらイタリア製のエンジンです。イタリア製のエンジンと言えば当然のように「良く回る、熱血エンジン」と、なんとかの一つ覚えのように言われ、FIREもやはり雑誌や本を読むとそう書かれていることがほとんどです。しかし、実際には1.1LFIREの吹け上がりはそれほど鋭いものでなく、特に高回転でこの程度の「熱さ」を持つエンジンは他にいくらでもあります。私が乗っていたフェスティバGTーXのBJユニットはかつてNAVI誌でも絶賛されていたエンジンでその硬質な回転感覚は回せば回す程鋭くなり、さらにその末広がりのトルク感と豪快なサウンドは正に「熱い」エンジンでした。それと比較してFIREはフラットなトルク特性で、高回転もきっちり回りきる、という以上の物ではありません。ましてや、最近のホンダ車なんかとの比較だと・・・(^^;;

/////「熱血」の解釈

私はこのエンジンの「熱さ」は全域で感じるレスポンスのよさと、それに見事にシンクロするサウンドから来るものではないかと思います。特に中速域での細かなアクセルワークに対する反応とトルクの追随の良さは、このエンジンの最大の魅力と言えるもので、交差点からの立ち上がりでドライバーをF1パイロットの気分にさせてしまうのです。ただ、F1パイロットと言っても私の場合、ジャン・アレジというよりミハエル・シューマッハな気分なんですが。自分の操作に対する反応の正確さがそういう気分にさせるんですね。とにかく、このエンジンを味わおうと思ったら、ラフなアクセルワークは厳禁です。アクセルワークに間髪入れず、しかもしなやかに反応する、爆発の一つ一つが分かるようなトルク感を感じながら加速していくときの官能性は、それ故にラフな操作からは得難いものなのです。要するにラフな操作をするとそれ相応の対応しかしてくれないんですよ。

/////意外に上質

見方を変えて回転の質感という観点からするとFIREは意外にも滑らかで国産の同クラスと比べても上質と言えるのではないかと思います。何と言うか、ブロックが分厚い感じです。実際にはこんな(重量の)軽いエンジンも珍しいのですが…。振動もゴムブッシュではなくブロックの重みによって適度に抑制されたという感じの心地良い緻密なバイブレーションで軽薄さはありません。ところで、雑誌のインプレ等を読んでいるとFIREエンジンがこの滑らかさを得たのはわりに最近のようで、日本仕様の標準モデルがCLXになった辺りのようです。実際、私が体験した1Lモデルではサウンドも回転フィールも少し軽薄な感じがしました(この方がパンダのイメージにあっているような気がしますが(^^;)。

/////サウンドというよりミュージック(ただしポップス)

で、次はサウンドです。FIREの場合、この点の評判はあまり聞かないのですが、実は結構いけるんですね。回転がトルクバンドに入ると適度な厚みと軽快感を持った快音系の音が室内に響き、かなり気持ちが良いです。シンプルなSOHCヘッドと部品点数の少なさ故か、音の濁りの少なさも高ポイントです。とは言ってもこの音を聞くためにお気に入りのテープを止める、という程の物ではなく、むしろ音楽と一緒に楽しむくらいが気分ではないかと思います。あと、サンルーフや窓を開けるとより音抜けが良くなり爽やかで気持ちいいです(^_^)

(注)高回転域では単なるノイズと化します。そこまで望むなら無理してでもアルファを買うべきです。

/////実用性こそ命

実用性はそもそもFIREの主たるテーマであるのですから、当然のように高レベルです。まず、燃費が良い。いつも正確に計っているわけではありませんが、常に12km/L程度はキープしているし、場合によっては15〜18km/Lくらいは伸びます。オイルの消費量も3000km位で交換する私にはまったく問題はありません。フラットなトルク特性も街中での扱いやすさに大きく貢献しています。ただ、低回転域でのスナッチの出やすさが気になります。これは燃料噴射のプログラムの問題でしょうが、フライホイールが軽過ぎるのかもしれませんね(粘りがないし)。

/////ハイオク?レギュラー?

Niftyで一時期、パンダのガソリンの事が話題になり、あまり差がないとのことでレギュラーを試してみました(それまではずっとハイオク)。が、結果はあまりよくありませんでした。走りだしてすぐに中速域の素晴らしいレスポンスとトルク感が落ちていることに気がつきましたし、ノッキングも明確に起こりやすくなり、ストップ・アンド・ゴーの多い通勤時はかなり気になりました。特に問題なのは止まりそうな速度から再び加速する時。パンダのギアボックスは動いているととても一速に入りづらいので、仕方なく2速で加速すると「カリカリカリカリ」という音を立て、エンジンに悪そうです。で、私の結論は・・・

「レギュラーとハイオク、FIREの場合は小さいが確実に差が存在する。故に私はハイオクを選択する。」

というものです。しばらくすると体が慣れて気にならなくなってはいますけど、ハイオクに戻すとやはりその差に愕然とします。