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  汝、ースを侮る事なかれ

 


 突然ですが、もし貴方のパンダの調子があまりよくない場合(トラブルなどではなく)、一体どこを見て、どこを直そうと考えますか?吸排気系?プラグ(コード)?オイル?はたまたケミカル投入?
 もし、貴方のパンダが生産から5年以上経っているのなら、絶対に見て、そして直して欲しい部分があります。それはボディアースです。

 クルマはガソリンで走ります。が、もちろんガソリンだけでは動きません。必要なもの、それは空気と電気です。しかし、各種社外品の揃っている空気(エアクリーナー・マフラー)に比べて、電気はないがしろにされがちでした。せいぜい、プラグやプラグコードを交換するくらいです。しかし、電気が流れるのはプラグコードだけではありません。点火系の各部品、インジェクション、コンピュータ、セレクタならCVTも電磁クラッチを作動させるためにかなりの電気を使用するでしょう。もちろん、クーラー、オーディオなどの快適装備も電気を必要とします。クルマにとって、電気はガソリンやオイルと並んで非常に重要な要素なのです。

 バッテリーで作られた電気は各電装品を作動させるために配線されています。しかし、クルマのそれは理科の実験で見るような、プラスとマイナスをコードで直接繋ぐようにはなっていません(電気に強い人にとっては、かなり初歩的・くどい説明になることをご了承下さい)。配線の簡略化等の理由により、各部品のマイナス側は、一旦ボディに接続されています。電気の流れは、ボディを通り、まとめてバッテリーのマイナスからボディに接続された部分を通っています。このボディと接続されている部分をアースと呼びます(パンダの場合、メインのアースがエンジンルームと室内の隔壁に、ライト類のアースがスペアタイヤ付近にあります。ボディに六角ボルトが止められて、そこからコードが伸びているので、見ればすぐ分かると思います)。

 つまり、ここでの電気の流れが悪くなれば、すべての電機系の電圧がドロップしてしまうのです。そうなれば、どんな優秀なプラグコードも宝の持ち腐れ、火花の飛びが悪くなり、トルクもパワーも出ないばかりか、各部を迷走した電気が部品を腐らせてしまうことすらあるらしいのです。もちろん、アースコードが切れたり、接触不良を起こしたりすれば、クルマは動かないどころか、すべての機能を停止させてしまいます。クルマは電気で動いているのです。そして、パンダは一般的にアースが弱いと言われています。

 最近ではクルマ全体の電気の流れを良くする、「アーシング」と呼ばれるチューニングが脚光を浴びたりするなど、徐々に注目されてきているようです(各部にアース線を引き回し、流れを良くする手法です)。

 と、前置きが長くなりましたが、私の犬キャラ号も、ある日、アース不良とおぼしき電気系のダウンを経験したのを契機にアースの見直しを頼みました。当初、私はボディアースの増設をお願いしたのですが、ショップの判断で、とりあえずアースコードの交換に止めました(この辺り、初めは説明を受けていなかったので、しきりに「増設した」と触れ回ってました(恥))。

 元のアース線はこのようになっていました。これが5年半(1年間だけ車庫保管で、それ以外はずっと青空駐車)経ったアース線の状態です。

 ショップのメカニック氏曰く、「そんなに悪い状態じゃない」とのことですが、ボディ側の端子はやはり少しサビが進行していますね。写真がありませんが、交換したコードはこれに比べて若干径が太く、電気抵抗が少なそうです。左の写真を見ると、途中にマイナスを繋ぐ接点が付いていますが、交換したコードには付いておらず、すべてボディアースにまとめられていました。以下はその費用ですが、わずか6千円たらずなのです。

作業内容・使用部品名 数量 部品単価 部品代 技術料
B/Tアースコード製作・取付       3,000
AV30コード取付 0.7m 1,000 700  
バッテリーターミナル(大)取付 1個   450  
平端子取付 4個 100 400  
各カシメ       1,000
小計
    1,550 4,000

 交換後ですが、これがまた単に交換しただけとは思えないほど、クルマが激変しました。始動はかなり軽くなり、冷え込む朝にもアイドリングは始動直後からピシッと安定、低速トルクは太く出だしが軽くなり、中速域の滑らかさ力強さは排気量をアップさせたよう。アクセルの僅かな動きに生き生きと反応する上、トルクの谷間が無くなって非常に運転しやすい、高回転ではあまり変化はありませんが、とにかくエンジンが「生き返った」という感じです。これほど安く、体感的に効果のある整備というのは、他にないのではないでしょうか?

 このことを前述のメカニック氏に告げると、「見た目以上に内部の劣化が進んでいたのかな?」というようなことをおっしゃっていました。そして「調子の悪いパンダを見ていて、アースを確認したら、ちぎれかけていたりする」と恐ろしい事を言っていました。高温多湿の日本では、電気系の劣化が激しいといいます。国産車は非常に入念に対策をしていますが、パンダを初めとする欧州車では「何もしていない」というのが本当のところのようです。アースに限らず、電気系をキチッと直すことが、いつまでも調子を維持するコツなのだと、この件で思い知らされました。

 繰り返します。クルマは電気ですよ。


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