第2話 中古カメラ・ラプソディ

2002/12/2

 僕が中古カメラに手を出してから、1年間が過ぎようとしている。その間、8台の中古カメラ(デッドストック品除く)を購入した。 それぞれ楽しんできたつもりだけど、改めて振り返ってみようかな、と思ったりした。各カメラの説明は"Favorite Cameras"のコーナーを参照してください。

 

FED-4

 最初に購入したのが、ロシアン・ライカのなれの果て、FED-4。FEDのバルナックライカ・コピーシリーズの最重量機種でセレン式露出計搭載。ある意味、究極。今は亡き福岡駅前のドイカメラで購入した委託品。
まだ何も知らない時だったから、値段だけを見て(8,000円くらい)買ってしまった。とりあえず写真は撮れたけど、シャッタースピードによっては、写真の隅に黒い影が出る。シャッター幕の速度の問題だということは、後に知った。

 そうこうしている内に、巻き上げにも問題が出始め、ちょっとこれは、、、ということに。
現在は、シャッター速度調整ネジをいじり壊して(初めからそのつもりで触ってた)、そのままどこかにしまい込んでる。

 距離計、露出計は正確だっただけに、ちょっと残念だけど、付属のindustar-61は今でも常用レンズで、新婚旅行に持っていった程の大当たり玉なので、充分元は取っているかな。

FED-2

 結局、FED-2は2台購入したけど、最初に買ったのは、やはりドイの委託品。ところが、これもしばらく使っている内にFED-4と同じ症状が出てきてしまった。精悍なブラックボディは、その後購入したグリーンのFED-2より格好いいと思うのだけれど、、、。

 結局、委託品というのはそういうものだろうと思う。中にはちゃんとしたものもあるのだろうけど、かなりギャンブル性が高くて、自分で直せない人が安いというだけで手を出すものではない、という結論に達した。
ロシカメだから、というより、国産でもそういうものだと思うな。

Zorki-4&2nd FED-2

 委託品は信頼できない、となったけど、とりあえずLマウントのレンズが溜まってきたので、何かしらボディが要る。ということで、調整済みの個体を売っているKing-2さん(通称渋谷の店)から、ネット通販で購入。標準レンズはもう要らなかったので、無理矢理135mmのJupiter-11を付けさせた。 それが良くなかったのか、このZorki-4、時々謎の光の帯をフィルムに焼き付けるという困った症状を持っている。
シャッター幕の破損やら内部反射やらボディの光漏れやら色々と疑って対策しているのだけど、いまだもって直っていない。しかもその他、アンダー・パーフォレーション(フィルムが下にずれる症状)の問題もあったりする。
 基本的な動作には何の問題もないのだけれど、そういう訳でお蔵入りとなってしまった。トラブルを除いても、手に馴染み使いやすいのはFED-2なので、結局King-2さんから2台目となるグリーンボディのFED-2を購入。これは今でも僕のメイン・カメラとして落ち着いて、新婚旅行のパリにも連れていき、完璧な働きをしてくれました。

 ロシカメの世界では有名なFED-2とZorki-4だけれど、僕は総合的に見てFED-2の方をお勧めします。まぁ、結局最初からベッサRでも買った方が安いのかもしれないけど、、、。

Konica IIA

 グリーンFED-2が来て、Lマウントのボディが落ち着いたら、今度は国産カメラに興味が出てきた。FEDやZorkiのいい加減さに嫌気がさしてきたというのもあるけど、国産のレンジファインダーがいいなぁと思ってきた。
 そんな時に近所のキタムラに岡谷光学のLOADという古いレンジファインダーのカメラが置いてあった。どういうカメラかは全然知らなかったけど、非常にお洒落(画家の方のデザインらしい)で、一目見て気に入ってしまった。思い切って買おうとしたのだけど、レンジファインダーがずれていて、これは売れない、となってしまった。で、ちょっと隣にあったKonica IIAを見ると、とても質感が高いし綺麗。年式も値段も性能もほぼ同じくらいだったから、つい購入してしまった。僕は一度購入意欲に火がつくと、何か買わないと気が済まない悪い癖があるみたい。

 さて、このコニカはとても質感は高いけど、シャッターユニットがすぐに壊れてしまった。しかも、2度も。最初の時は1ヶ月以上修理に掛かったし、、、。まぁ、本来保証無しのカメラなのに、無料で修理してくれたからいいけどね。
 このカメラは気に入ってるけど、重すぎてあまり出番がない、、、。うーん。

Hexer(Black)

 Konica IIAはとてもいいカメラだけど、あまりに重いしストラップも付けられないので、とても不便。
じゃあ、現代のヘキサノン(コニカのレンズブランド)はどうよ?ということで、クローズアップしてきたのが(自分の中で)、このヘキサー、しかも初代の黒いヤツ。
 なかなかネットで出物はないカメラだけど(後継機のシルバーやRFならいくらでも出てくるけど)、検索エンジンにもなかなか引っかからないマイナーなカメラさんのHPにポロっと出ているのを発見。小一時間考えて、注文をクリック。
 これが冨士越カメラさんとの運命の出会い。
 ヘキサー自体は、外見はちょっとだけくたびれ気味だけど、レンズはバリバリに綺麗で、大事に使い込まれていたんだろう、と思う。これは使いこなしが難しいけど、さすがに現代日本の工業製品、何の問題もなし。

Ricohflex VII

 35mmのカメラはある程度形式を揃えた(一眼レフ、レンジファインダー、MF、AF、目測等々)のだけれど、そうなると今度は中判が気になるのは世の常、人の常です(そうか?)。その中でも2眼レフなどのウェストファインダーカメラは、スナップ用としても使いやすく、人にも寄れるかな、と。
そんな時、冨士越カメラさんからDMが来た。いくつかのカメラ屋が合同で中古カメラ市を福岡で開くらしい。ノコノコと出かけ、そこで一目で気に入った綺麗なリコーフレックス。サクッと購入、レシートを見たら富士越カメラさんじゃない、、、あらら。
 これは、店員さんが「これはすぐ売れると思ってました」という程のモノで、今のところ特に問題なし。思惑通り、自然なスナップを撮れるけど、ピントが難しい、、、。
 ただ、撮影中にアイレットがいきなり外れて落下しかかったのには驚いた。直すために少しバラしたけど、笑ってしまうほどシンプルな構造。これでも立派なカメラ、素晴らしいね。

FF-1s

 国産レンジファインダーとしては、Konica IIAがあるけれど、前述の通り気軽に持ち歩く、というのは難しく、レンズの質がよくて使いやすいのがあるといいな、と調べていると、露出計が壊れたリコー・500GSが格安であるのをネットで発見。レンズはかなりいいと言われている、70年代のリコーカメラ。早速、問い合わせのメールを送ると、、、「すでに商談が決まってしまってます」、、、トホホ。しかし、この時点で完全に購買意欲に火が付いてしまった僕は、次なるターゲットを求めネットの海へ。

 次に見つかったのは、某有名ネット中古カメラショップで見つけたペトリ・コンピュータ35という、摩訶不思議なカメラ。名前は変わってるけど、内容はその当時の一般的なレンジファインダー・AEコンパクトカメラ。格安とは行かないけど、名前がいいじゃん(笑)。持っていて話題になるかというのも、カメラ選びの大事なポイント。
 ところが、これもすでに売れた後、、、この間、Range Finderさんを読破しまくって、すっかり一端の国産ファミリーカメラ通になったDai-chang、いくつか候補を絞って再びネットの中古カメラショップ巡り。そして引っかかったのが、リコー・FF-1・美品。レンジファインダーじゃないけど、コンパクトでレンズも良さそう。早速オーダー、3度目の正直、購入!購入店は、、、また富士越カメラさん。運命か?

 ところが、やってきたFF-1は、ネットで調べまくったFF-1とちょっと違っていた。その名も"FF-1s"、どうやらセルフタイマーが付いただけのようだけど、詳細は全く不明。しかもスローシャッターがないような気がする(暗くても1/125くらいで切れている)。もしやFF-1の廉価版?そしたらイヤだなぁ。

 釈然としないまま、でも気に入って使っていた。で、ある時、うっかりゴツッと車のドアにぶつけてしまったら、急にシャッター速度が変化するようになった!オマエは古いテレビか?

 

 、、、とまぁ、こうして書いてみると、思ったより色々とあったんだなぁ、と思う。普通の人から見たらバカみたいかもしれない。でも、それぞれに個性的で楽しくて、壊れてしまったものも含めて、出会えて良かったな、と感じてる。

 カメラは、あくまで写真を撮るための道具だけど、カメラに撮影者が影響されることもまた事実。『このカメラは僕にどんな風景を見せてくれるのだろうか?』ガラスケースの中で埃を被っていたり、ネットショップの小さな写真に収まった、古ぼけたカメラを眺めていると、そんな気持ちでワクワクしてくるのです。

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