牛肉の歴史
日本で牛肉を食用としたのは、牛が持ち込まれた縄文〜弥生時代とされている。
その後、「肉食禁止令」が発令された飛鳥時代以降、牛肉をはじめとする肉食が禁じられてしまう。
戦国〜江戸時代においては、外国人の影響などから、健康回復や病人の養生のためのクスリの一種として食べられることがあったようだが、本格的に牛肉が食べられ始めたのは、明治の文明開化以降であり、当時は牛なべ屋(すき焼き)が中心だった。
※地域的には、西日本の人が牛肉を好む傾向がある。
主なブランド牛
但馬牛(兵庫県北部)…但馬牛と多種とのかけ合わせによって、様々なブラント牛が育ったため、日本のブランド牛のルーツと言われる。
松阪牛…全国各地から優秀な血統の仔牛を選りすぐり手間ヒマかけて育てたもの。
近江牛…400年前から飼育されていた。今も宮内庁御用達。
神戸牛…正確には神戸ビーフと言う。ほかの和牛よりも低温で脂肪が溶けるのが特徴。
仙台牛…5等級のみ。(肉質等級は1〜5等級あり、5等級が最高)
そのほか 佐賀牛、前沢牛(山形)、若柳牛(宮城)、常陸牛(茨城)、阿波牛(徳島)、宮崎牛、米沢牛(山形)、飛騨牛(岐阜)、くまの牛(和歌山)、伊賀牛(三重)、三田牛(兵庫)、しまね牛、千屋牛(岡山)
がある。
豚肉の歴史
わが国では、古墳時代から豚は飼育されていたようだ。
戦国時代にはキリスト教イエズス会の宣教師たちが、肉を食べる慣習を日本に持ち込んだため、豚肉が食べられるようになったが、やがて日本のほとんどの地域では豚肉を食べる習慣は廃れる(薩摩藩と南西諸島では日常的に豚が食べられていた)。しかし、明治以降は日本全土で豚肉が一般に食べられるようになり、関東大震災後以後、豚肉の供給量が増え安価になったため、さらに身近な肉になった。
※地域的には、豚肉を好むのは東日本。 豚肉の効能 中国では古くから、豚肉は疲労回復や滋養強壮よく効くとして使われてきた。これは、豚肉にはビタミンB1が含まれているためだ。(牛肉の約10倍)
主な銘柄豚
主な銘柄豚肉
○高座豚…神奈川県の旧高座郡地方で生産されている豚。原種はイングランドの中ヨークシャー種だが、各養豚家で交配に工夫されていて美味しい豚肉として有名。低温で溶け出す脂質と赤身のバランスが良く、上品な味。
○鹿児島黒豚…黒豚は純粋なバークシャー種のみ黒豚と表示できる様になり、成長速度が遅く、生産コストはかかってしまうのが、肉質がきめ細かく、味が濃いという特徴を持っています。特に鹿児島で生産されている鹿児島黒豚が有名。わたしが餃子を作るときは、必ず鹿児島の黒豚を使っています。
○東京X…名前通り、東京で生産されている。東京Xは鹿児島の黒豚バークシャー種と中国の「北京黒豚」さらにデュロック種を掛け合わせて誕生した。通常豚の品種改良には10年の月日が必要と言われている。
その他に、 奥入瀬の大自然黒豚(青森)、岩中ポーク(岩手)、米澤豚一番育ち(山形)、赤城ポーク(上州銘柄豚)、はやしSPF豚肉(千葉)、やまゆりポーク
(神奈川)、ふじのくに(静岡)、京都ぽーく、愛媛甘とろ豚、阿波ポーク、あぐー豚(沖縄)などがある。
鶏肉の歴史
鶏の祖先は、現在でも東南アジアの熱帯圏に生息している赤色野鶏で、紀元前5,000年前後に中国やインドで家禽化され、東西へ広がっていったとされる。鶏が日本へ渡来したのは、弥生時代の前期頃。中国大陸から朝鮮半島を経て渡来し、紀元前数百年にはすでに飼われていたと言われている。その後、平安時代から江戸時代の初期にかけて中国大陸や東南アジアから新しい品種が入ってきて、現在では約120品種以上ある。
※関西や九州では鶏肉のことを「かしわ」と言う。地域的には鶏肉も最も好むのは九州。
主な銘柄鶏
鶏肉の種類 ブロイラー…食肉用の若鶏。大規模な鶏舎で育成される。
銘柄鶏…ブロイラーに、通常の飼育方法(飼料の内容や育成期間など)とは異なる工夫を加えたもの。
地鶏…伝統的な放し飼いで育った鶏
地鶏の三大地鶏…名古屋コーチン、比内地鶏、 薩摩地鶏
その他の地鶏
青森シャムロック、千葉水郷鶏、岐阜奥美濃古地鶏、岐阜恵那鶏、但馬地鶏、紀州うめどり、鳥取大山地鶏、岡山桃太郎地鶏、阿波地鶏、土佐はちきん地鶏、有田鶏、天草大王、日向地鶏などがある。
ホルモン
歴史 明治以降も牛の内臓類を食す習慣のなかった日本では正肉(赤身)以外は捨てられることが多かった。捨てるもの=関西弁の「放るもん」からホルモンになったと言われている。
名前
テッチャン/シマチョウ(大腸) ハラミ(横隔膜) コリコリ(大動脈) ハツ(心臓) コブクロ(子宮) ウルテ(気管の軟骨) ツラミ(頬の下) コメカミ(こめかみ) マメ(腎臓)
牛の胃は4つあり、1番目の胃がミノ、2番目がハチノス、3番目がセンマイ、4番目がギャラ(関西では「赤センマイ」)、そして二番目と三番目の間にタラコ状に付いているのがヤン。
地域性
北海道旭川市、北見市周辺では豚ホルモンが特に好まれる。(旭川は塩ホルモン発祥の地)。宮城県気仙沼市では、昭和30年頃から独特の豚ホルモン焼きが広まる。白モツ・赤モツをミックスした生のモツで、味噌ニンニクタレに漬け込み、千切りキャベツと共にウスターソースをかけて食べるのが特徴。
神奈川県厚木市では戦後、養豚業が盛んになって以降、豚ホルモン焼き店が多く開店。大腸(シロ)の内側に厚く脂身が残っており、網で焼くと丸みを帯びてコロコロになることから「厚木シロコロ・ホルモン」と呼ばれている。味噌ダレをつけて食べる。
石川県の能登や富山県では豚腸がよく食べられるが、同じ北陸の福井県では牛モツが人気だ。
九州地方では、小腸をそのまま焼肉として焼いて食べる「丸腸」が人気。沖縄では、豚のホルモンを短冊状に切って臭みがなくなるまで煮込み、吸い物にした「中身汁(中味汁)」がある。