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♪- にっきちょう -♪

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[ 冷蔵庫 ]
その声が聞こえてきたのはある明け方のことだった。

最近は気候がいいので、窓を開けて寝ることがある。その日、朝6時過ぎに目が覚めた。6時半に起きればいいので、もうちょっと眠れるな、と布団を肩まで引き上げた。
そこへ、

「きゃ〜〜〜」

絹を引き裂くような女の人の声が外から聞こえた。何事か思って上体を起こしかけた時、

「冷蔵庫が開いてたあぁ〜〜」

どうやら朝起きたら、キッチンの冷蔵庫が開いていたらしい。なんだ、と思って体を横にすると追いかけるように、

「いやあぁ〜。全部溶けてるうぅ〜」

とにかく声が大きいし、大げさ。そりゃ、ショックだとは思うよ。でも、絞め殺されるような声を出さなくてもねぇ。
その後は、
「!*+:&?;#%$どうしてえぇ〜」

「なんでえぇ+@*!&%?$#¥」

ショックのあまり、日本語が話せなくなってしまったようで、何を言っているのか分からなかった。

私もお米をといで、炊飯器にセットまでしておいて、タイマーを忘れてしまうことがたまにある。ふたを開けて、水に沈むお米の姿を見たときは、そりゃあ、ショックだ。打ちのめされて、自分の馬鹿さ加減に嫌気がさすけど、でも、叫んだりしない。それが大人ってもんでしょう?叫んだって、急にお米がご飯になったりしないし。

その人は、たぶんだけど、いつもものすごい剣幕で子供をしかっているお母さんと同一人物だと、私はにらんでいる。休日にベランダで洗濯を干していると、「ヒステリー」としか言いようがない声が隣のマンションから降ってくる。その時も、最後は何を言っているのかわからなくなるのだ。それを聞いているだけで、小心者の私など縮み上がってしまう。叱られている子供は、最初は「ごめんなさい」とか言ってるんだけど、最後の方になると、お母さんが一方的にまくし立てていて、子供の声は一切しなくなる。泣き声は聞こえないので、手を上げていることはないみたいだけど、あの剣幕で怒られたら、ぶたれるよりつらいかもしれないなぁと思ったりもする。

反面教師として、肝に銘じている今日このごろだ。

それはともかく、溶けた冷凍食品はどれくらいで消費できたのか気になるところだ。
2003/06/29(にちようび) はれ


[ たまねぎ ]
たまねぎのスライスを枕元において寝ると、よく眠れるという話をきいた。
試しにやってみたところ、娘はマッハの速さで眠りに落ちた。しかし、もともと寝つきのいい子なので、あまり参考にならない。ちょうど眠かったのかもしれないし。
息子はどうかというと、20分くらい。ふだんは短くても30分はかかるので、早いといえば早い。でもそんなにすごく早いわけでもない。やっぱり眠かったのかもしれないし。
しかも、一緒に横になっている私まで眠くなってしまい、気がつくと寝ちゃってるので、せっかく子供たちが早く寝てくれても、意味がない。両刃の剣なのである。
子供たちには効いているのかわからないし、私には暗示も加わってか、効きすぎるし、部屋はたまねぎ臭くなるし、いまいちの裏わざだった。
今度は子供がもっとコーフンして眠らないときに試してみようっと。それまでは封印。
2003/06/23(げつようび) くもり


[ にほんごであそぼ ]
4月からNHK教育で鳴り物入りではじまった子供向け新番組「にほんごであそぼ」は、やはりとても気合が入っている。良い日本語をまだ頭の柔らかい幼児に刷り込もうというコンセプトで、KONISHIKI、野村萬斎、神田山陽がそれぞれいろいろな日本語を繰り返す。たとえばKONISHIKIは「知らざあ言ってきかせやしょう」と白波五人男の見得を切る台詞。野村萬斎は狂言風のいいまわしで「ややこしやあ、ややこしやあ」と繰り返す。神田山陽は今や絶滅の危機にある講談で「うさぎとかめ」などの昔ばなしをやってくれる。それはそれで、まあ頑張ってちょうだいという感じなのだが、ところどころで挿入される「今日の名文」というのがひっかかる。

1「今は昔、竹取の翁というものありけり」
2「メロスは激怒した」
3「我輩は猫である」
4「さみだれを集めてはやし最上川」
5「汚れちまったかなしみに」

などである。誰が名文と決めたのか。果たして名文か。

1の「竹取物語」は確かにすばらしい物語だとは思うが、その冒頭が名文かといえば、違う気がする。冒頭だけを切り取るなら「春はあけぼの やうやう白くなりゆく」(「枕草子」清少納言)だろう。
2の「走れメロス」もどうなんでしょう?確かに激怒したわけだけど、「走れメロス」の主題はそこじゃないと思う。
3の「我輩は猫である」はいいけど、どうせなら「名前はまだない」まで入れるべきでは?
4の芭蕉も同じ川なら「荒海や佐渡に横たふ天の川」がいいと思う。個人的には「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」が好きだけれども。
5の中也は、息子が覚えて「汚れちまったかなしみに」というのに「お前に〈汚れちまったかなしみ〉がわかるのかー!」とツッコミを入れたくなるのでやめて欲しい。

とまあ実はけっこう隙だらけの番組だと思う。谷川俊太郎の「ことばあそびうた」とかやると面白いと思うんだけどな。

2003/06/16(げつようび) くもり


[ しりとり ]
最近、息子としりとりをしている。
まだルールがよく分かっていないようで、勝手に「次は〈り〉ね」とか決めて「りんご!」などと言ったりしている。言葉を増やすことを目的としてやっているので、それは別にかまわない。
しかし、

私 「すいか」
息子「かかと!」

とか

私 「パンダ」
息子「だし!」

とか言われると、ボキャブラリーが豊富なのか、変に偏っているのかわからなくなる。私から生まれて、まだ3年しか生きていないのに、もう私とは全く違う思考回路でものを考えているんだなぁと思うと、ちょっぴり淋しい気分だ。
2003/06/15(にちようび) あめ


[ 寝坊って ]
昨日、寝坊という言葉を使って、あらためて「寝坊」という言葉が引っかかった。語源は何か。
ねぼすけという言葉があるが、寝坊助と書くのか。(広辞苑をひいたら正解だった。ピース)

昔、目覚し時計などない時代、人はどうやって朝、起きていたかというと、それはたぶん寺の鐘の音だ。
じゃあ、その寺の鐘を鳴らすお坊さんは一体どうやって起きていたのだろう。考えると夜も眠れない。(by春日三球)
きっと朝の鐘の係になると神経が張って自然に目が覚めるんだろうけど、中には私のような小僧さんがいて、寝過ごしたりする。若いときはいくらでも寝られるからね。すると和尚さんや先輩の小僧さんに起こされて「この寝坊(ず)!」とか言われたのではないだろうか。
うんうん、きっとそうだ。そうに違いない。

その様子を想像するとなんだか愉快だ。
2003/06/13(きんようび) くもり


[ 寝坊! ]
今日、目が覚めたら7時半過ぎだった。
家族中で寝坊した。いつも誰かしら目が覚めるのに、今日は皆で寝飛ばした。
っていうか子供が目覚めるのを期待してる親が悪い。

家を出るのは8時10分。あと30分しかない!
私は普段ぼけーっと生きているが、ここ一番には強い。かつては本番に強い女優と言われていたもんだ。運動神経はないが、こういう時の瞬発力には自信がある。
まあ、よく寝坊するために培われた能力なので、自慢できることではないが。

飛び起きる。自分達の食事はこの際無視。まず娘のミルクを作る。それをダンナに渡して、息子の朝食のジャムサンドを作る。野菜ジュースとヨーグルトも用意し、それを食べさせておいて、息子のお弁当のおにぎりを作る。それを息子のカバンに入れて玄関へ。
娘のミルクを終えたダンナにオムツ替えも命じる。その間に子供の着替えを出してきて、ダンナに娘の着替えも頼む。娘の保育園ノートを記入してカバンに入れ、玄関へ。
ここで自分の準備。顔を洗って化粧、着替え。食事の終った息子の着替えも手伝う。
朝ごはんを自分で食べてくれるようになったし、着替えもトイレも自分でできるようになって、ホント息子は手がかからなくなった。ダメな親に育てられているのも自立が早くてけっこういいかも?

さて、ここまでで8時10分ジャスト!
ぎゃー、雨降ってる!こんな日に限って!
しょうがないので急遽車を出すことに。荷物も子供も車に突っ込んで発進!
ダンナと子供たちを保育園で降ろすと、急いで家に戻り、車を駐車場にしまう。それから徒歩(今日は早足)で駅へ行く。いつもは各駅停車で座って行くのだけど、今日は快速だ。来た電車に飛び乗る。
会社へはなんとか5分の遅刻で済んだ。ホッ。

あー、お腹すいた。
2003/06/12(もくようび) あめ


[ 街の灯 ]
北村薫の新シリーズ「街の灯」を読んだ。なかなか面白かった。
舞台となる時代は明治初期。主人公は学習院に通う上流階級のお嬢様とその専属運転手。運転手といっても若い女性で、この人がキーパーソンになっている。謎の多い女性で、一巻ではまだその素性が明らかにされない。どうも実は身分を隠しているふうなのが気になるところだ。英語も出来るらしいとほのめかされている。
この二人が日常の謎を解いてゆく。というか、運転手(愛称ベッキーさん)がお嬢様にヒントを与え、お嬢様が謎解きをするという展開だ。設定の時代が時代なので、あくまでも使用人であるベッキーさん本人には謎解きをさせないのがもどかしい。

読みながら、私はこういう設定の話が好きだったなぁと改めて思った。「世を偲ぶ仮の姿」みたいなやつね。アガサ・クリスティの「チムニーズ館の秘密」とかバロネス・オルツィの「紅はこべ」とか、これらは男性が主人公だけれど。子供のときに見たアニメ「ラ・セーヌの星」も女版怪傑ゾロみたいで毎週楽しみにしていた。
それとおてんばなお嬢様も好きだ。「あしながおじさん」や大和和紀の「はいからさんが通る」や「NY小町」とか。

北村薫で言えば、円紫師匠ものは好きだが、覆面作家シリーズは甘すぎ。「時間」三部作(スキップ・ターン・リセット)もわたし的にはイマイチだった。しかし、総じて安心して読める作家ではある。作家によっては出来不出来の差が激しく、一冊読んで面白かったからと続けて読んで失敗ということもありうるからだ。

その伝でいけば、宮部みゆきは決してはずさないので、安心して読める。それだけに、いつ読もうかと機会をうかがって「ブレイブ・ストーリー」は買っただけでまだ読んでいない。読み始めると止まらなくなるのが自分でもわかっているので、ここぞというときに読もうととってあるのだが、なかなかここぞという時がない。本なので賞味期限が切れることはないが、文庫化されちゃうと悔しいので、そろそろ読むか。
2003/06/03(かようび) くもり

My Diary Version 1.21
[ 管理者:くくみ 著作:じゃわ 画像:牛飼い ]