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[ 絶対語感 ]
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というものがあるらしい。3歳までにきれいな日本語を身につけないと、大きくなっても正しい日本語が話せないんだそうだ。ひえ〜。 そしてさらに恐ろしいことに、その年頃の子供は、言語の獲得をやはり母親からするのだそうだ。どひぇ〜。 実家にあった外山滋比古の著書に書いてあって、ぱらぱらと読んだけど、つらくてやめた。
まあ、そうかなって思ってたけどね。(←開き直り)
実例1
息子が、おやつを食べ過ぎて夕飯を食べられなかったときに言った一言。
「ごはんとみそ汁は飲むから、あとはかんべんしてください」
4歳の子のボキャブラリーに「かんべんしてください」が入っているのは、あきらかに私のせいだ。子供と遊んでいて、疲れると「もう勘弁してよ〜」と言うからだ。ああ。
実例2
食卓の椅子に座っていたら、娘が私の食べているものを欲しがって私の左側にきたので、「あげるからこっちじゃなくて、反対のほうへおいで。ぐるっとまわって」 と言ったところ、ちゃんと椅子の後ろをまわって右側に来て、その場で3回ほどぐるぐる回った。
犬じゃないんだから。いや、そうじゃなくて、1歳半でもかなり正確に言葉が通じているのだ。娘が悪いわけではない。私の日本語が悪いのだ。ああ。
というように、すでにわが家の子は絶対語感が身についていないという証明がなされてしまった。 息子については、他にもドーナツショップへ行ったときに「たまには〈こちらでお召し上がり〉したいなぁ」とか、祖母が忙しくて遊んでくれなかったときに「ばぁばが忙しいから、ママがサービスしてよ」とか言う。なんて劣悪な環境で育っているのでしょう。もともと息子のボキャブラリーはちょっと変だなと思っていたけど、あらためて「絶対語感」とか言われると、とても反省する。どう考えても私のせいだ。
絵本とか読み聞かせしてるんだけどなぁ。バラエティ番組だってあんまり見せてないのになぁ。結局、身近にいる人からの影響が一番大きいってことなのだ。 美しい日本語教室とかに行ってみようかしらん。
でもよく考えると、私の父は、長い間書籍の校閲を仕事としてやってきた人で、私の母は言葉を推敲して推敲して一首を組み立てる短歌を長年詠ってきた人だ。その二人を親に持つ私でコレよ? 父に「お前のせいだ」とか言われたけど、私に期待しすぎでないの?無理だって。(←再び開き直り)
2004/02/24(かようび)
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[ 銀河鉄道の夜 ]
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まだ「風の又三郎」が読み終わらない。毎晩少しずつ読んでいるので、なかなか進まないのだ。 しかし、発見はあった。前にも書いたが、文中、台詞の部分は花巻弁になっている。これがとても読みづらいのだが、頑張って読んでいたところ、息子が「おもしろいねぇ」と言う。地の文は4歳児に読むにはちょっと難しいので、たぶん半分も理解できていないと思うのだけど、台詞の部分は敏感に聞き分けて、真似したりする。これは、下手をすると差別につながるかしらんと思いつつ、日本語の面白さをわかってもらえればいいなとも思ったりする。
「風の又三郎」が終わったら、続けて「銀河鉄道の夜」を読もうと思って、また本棚から文庫本を引っ張り出してきて、下読みをしている。いきなり読んでわからないコトバとかあると困ると思ったからだが、「風の又三郎」とちがって、標準語だったので助かった。 もう何度となく折に触れて読んできたけど、今回あらためて読み返したところ、すごくよかった。いいよ、宮沢賢治。オススメです。って誰に勧めているのか。 子供の頃は、童話的な部分、ストーリーにしか興味はなかったけど、大人になって、その時代背景とか成り立ちとかを知った上で読むとまた違った世界が見えてくる。 「銀河鉄道の夜」だけじゃなく、賢治ワールドというものの奥深さや魅力が際立ってくる。宮沢賢治だけを研究している研究者がいるのもうなづける話だ。 明治の、まだ飢饉やそれに付随する口減らしなどが当然のごとく行われていた時代に、それらが一番厳しかったであろう東北の農村にあって、これだけのファンタジーをその農村を題材として描ききるというのは、やはり天才なのだろう。 自分の余命を的確に把握し、しかもその諦観が決して悲観ではなかったということも賞賛に値する。一種独特な世界観を獲得したのだろうな。 新作の絵本もいいけど、語り継がれているお話というのもいいものだ。民話とかも含めて。残っていくお話というのは、話そのものに時代に左右されないだけの力があるのだ。
2004/02/22(にちようび)
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[ 書評 ]
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この歳になれば、好きな本の傾向は決まってしまうので、ふらっと本屋に行って、適当に選んでもそんなに失敗はしない。 それでも、新たな分野があるかもしれないので、新聞の書評欄などに目を通したりする。あんまり参考にならないけど。
NHK・BSの「週刊ブックレビュー」はなるべく見ないようにしている。見ると買いたくなるから。半年に一度くらい「あなたを眠らせないミステリー」という特集をやるのだが、これを運悪く見てしまうと、翌日本屋に走ってどどっと買ってしまうので、特に注意が必要だ。
最近カリスマ編集者としてあちこちに顔を出しているちくま書房の松田哲夫という人がいる。確かにすごい人なんだろうと思うけど、私はこの人と相性が悪い。いや、会ったことはないけどね。 いくつかこの人の勧めている本を読んだけど、どれもいまいちだった。というかひどかった。出版社か著者にいくらか貰ってんじゃないのかと思ったほどだ。逆に、私が買った本を、この人が勧めている書評を読んだこともあるが、「この本のいいたいところはそこじゃないだろう」という部分をほめていたので、やっぱり感性が違うのだと思った。 結局、つきつめていくと本というのは好き嫌いが評価の基準になっていると思うので、単純に好きな本が違うのだろう。 少なくとも私は、今後松田哲夫の勧める本は読まない。
2004/02/17(かようび)
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[ 春一番 ]
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春一番が吹いたそうだ。ちょうどそのときスキー場に行ってて、猛吹雪で娘号泣。外に出たとたん固まってたもんな。1歳児でも予期しない出来事には固まるんだと新しい発見。 息子は息子で、スキーを履いたとたん 「♪ツッパることはオトコの〜 たったひとつの勲章〜 たらら ららら〜 たらら ららら〜」 と歌いだす。おいおい。
それはおいといて。 春一番と聞くと毎年毎年もう20年以上も
「♪春一番がぁ 掃除したてのサッシの窓に〜 埃のうずを躍らせてまーすぅ」
と歌いだしてから、「それは〈微笑がえし〉やっちゅうねん」と一人ツッコミを入れているわたし。
〈微笑がえし〉はキャンディーズの名曲で、大好きな歌だ。歌いだしが「春一番」なので、春一番と聞くとつい口をついて出てしまうが、キャンディーズの「春一番」は別にある。「♪雪がとけて川になって流れていきます〜、つくしの子が恥ずかしげに顔を出します〜、もうすぐ春ですね〜恋をしてみませんか」というやつだ。 どうしてこういうめんどくさいことになったのか、責任者は出て来て説明欲しい。
歌詞がうろ覚えなので、自信がないのだけど、「微笑がえし」については、常々思っている疑問がある。 それは、「お引越しのお祝い返しも済まないうちに」また引っ越すのに「机、本棚運び出された荷物の後は 畳の色がそこだけ若い」というのはどういうことか。南向きでよっぽど日当たり良好なのか。そんなにいい部屋なのに出て行かなくてはならず、短期間なのに「ワナにかかったウサギみたい いやだわあなた煤だらけ」になるほど汚れているのかと。かなりすさんだ生活をしていたのではないかだろうか。
ああ気になって夜も眠れない。というのはうそ。
2004/02/15(にちようび)
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[ 母性本能 ]
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娘の母性本能がいきなり目覚めた。それは2月7日午後3時のこと。 女にはもともと母性本能が備わっているというが、それが最初から発揮されるわけではないのだ。 娘の場合、今まで見向きもしなかったくまのぬいぐるみの存在に急に気づいたようで、「あら、こんなところにわたしの大事なベビーちゃんが」という風情で、タオルを持ってきて私に巻けといい、おくるみ状態のくまをずっと小脇に抱えていた。かと思ったら次にはおんぶさせろと言い出し、しょうがないのでひもで背中にくくりつけてやったところ、しごく満足げであった。 名前も「くーちゃん」と命名(くまにくーちゃんとはあまりにベタなネーミングだが、1歳半なので許す)、かたときも離さずに連れて歩いている。もちろん寝るときも一緒。 わがままを言ってこっちの言うことをきかないので、「くーちゃん貰っちゃうよ」というと、「かえして〜」と泣き喚いた。私の娘に対する愛情よりも深いかもしれない。ま、お菓子とか見せるとすぐに渡してくれるけど。
面白いのは、娘に触発されたのか、息子まで「りょうはひつじさんにする」と言い出したことだ。なに競ってんだか。名前は「マロンちゃん」らしい。4歳児だけに、ややひねりがある。
2004/02/07(どようび)
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[ 歯医者 ]
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やっと息子の歯が完治した。 長かった。半年以上かかったんじゃないのか。
そもそも、3歳半の歯科検診で、虫歯がみつかった。あると思っていたが、本当にあった。息子は歯を磨くのがきらいで、最初は押さえつけて口をこじあけて磨こうとしたのだが、途中でばかばかしくなってやめてしまった。毎日そんなことをしていると親子関係がだめになる様な気がした。というのは言い訳ですが。はっきり言って疲れたのだ。働いて帰ってきて、夜寝る前にそんなバトルを繰り広げるのは、とても体力がいる。そんなに磨きたくないなら、勝手にすれば。後で痛くなって泣くのはお前だ。
しかし、歯医者に行って泣いたのは息子だけではなかった。私だって泣きたい気分だった。
まず、歯医者に慣れましょうということで、先生がいろいろ道具について説明をしてくれる。歯についても、分かりやすく丁寧に説明してくれて、息子も納得して、治すことになった。ここまでで1時間。 第2段階は、麻酔。ピストル型の注射器を見ただけでびびる。なるべく見せないように工夫してくれるのだが、口の中に入れるのに全部隠すわけにはいかず、大泣き。結局、麻酔をしたのにこの日は治療できず。
そんなことが何度か続き、なだめすかして麻酔をしても、ドリルが出てくると「やだー」。先生が説明してくれて、本人も治さなきゃと思うらしいのだが、ドリルの威力は大きい。 もう体をロープで固定して口をこじ開けてやっちゃってください。といいたくなった。本当に先生は根気強くやってくださる。感謝。なだめたり、ちょっとやらせたら褒めちぎったりしてくれるので、本人も歯医者が恐いところだという認識はないようで、いつも治す気満々で行くのだ。でもドリルは恐い。 一回にちょっとずつしか治療できず、しかも本人もつらいだろうからという先生のあたたかいお言葉により、間をあけて月に一度ずつの治療なので、はかどらないことこの上ない。半年で10回くらいか。
そして、最後の治療日に、なんとすばらしい出来事が。 待合室にいる間に娘がうんちをしてしまい、おむつの持ち合わせがなかったので、家に替えにいかなくてはならなくなった。次は息子の番なので、私は息子を置いてオムツを替えに行くことにした。 「いい。呼ばれたら、中に入って、先生にママは真央のオムツを替えに行ってるって言って、一人でやってもらってて。すぐに帰ってくるから」 と息子に言い聞かせて、ダッシュで家に帰り(すぐ近所なのだ)、オムツを取り合えて戻ってくると、やっぱりもう呼ばれていた。治療室に入っていこうかとも思ったけど、受付の人が「もう一人でやってますから、大丈夫ですよ」と言ってくれたので、待合室で待っていると、ちゃんと治療を終わらせて息子が戻ってきた。 「もう終わった?全部終わりだって?」 私が聞くと、 「うん」と息子は得意げ。半年の苦労が報われた瞬間である。長かったけど、無駄じゃなかったんだなぁ。治るまで禁止だったアイスも買ってあげよう。思わず涙ぐみそうになった。
と感慨にひたっていたのもつかの間、翌日には形成した歯が取れてしまった!最後に治療したのは、前歯だったので、虫歯の部分を削ったあとに元通りに形成してもらったのだが、子供の歯は小さく薄いため、ちょっとの衝撃で取れてしまうのだ。だから、固いものを前歯で噛んじゃだめだよとあれほどきつく言い聞かせたのに、息子は飴を前歯で噛んだのだ。しかも治療した翌日に! 私がぎゅうぎゅう怒ったのもお分かりいただけるだろう。やっと歯医者通いから解放されたと思った次の日に予約を入れなければならないこのつらさ。そりゃ本人も可哀想だけど、私だって可哀想だい。 永久歯が生えてくるまで、歯医者とは縁が切れそうもない。しかもそろそろ娘の歯科検診も受けなければならないのだ。恐怖!
2004/02/06(きんようび)
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[ 節分 ]
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節分である。 去年は出遅れて、豆を買いに行ったらどこにも売ってなくて、結局でん六豆をまいたという痛恨事だったので、今年は2週間も前に豆を購入。よしよし。私は気が利かないけれど、学習能力はあるのだ。
保育園で鬼のお面と豆を入れる升を作った息子は大張り切りで、「どこにまくの?」と聞いてくるので、家中の窓を開けてまいてもらった。「鬼は外!」のときは、たっぷり。「福は内!」のときはちょっぴり。もちろん後始末のことを考えてである。 しかし、誤算は、娘。「福は内」で部屋にまいた豆を拾って食べる。→でも固くてまずくて食べられない。→吐き出す。→それを繰り返す。 せっかく少ししかまかなかった豆が粉々べとべとになって、部屋中に散らばることになった。詰めが甘いのが私の悪いところだ。
2004/02/04(すいようび)
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[ 因果応報 ]
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子供のころ、給食のクリームシチューが大好きだった。 家でも母が作ってくれたのだが、どうも母が作るクリームシチューはおいしくなかった。当時はまだルゥが出回っていなかったのか(ハインツの缶詰とかならあったのかもしれない)、小麦粉とバターを練って牛乳で延ばす本格的なものだったが、とにかくとろみがない。シチューというよりスープに近く、薄い味だった。わが家は貧乏だったので、材料費をケチったのではないかと疑っている。その証拠に、グラタンを作るときはシチューと逆でマカロニとからまないくらい少ない量のホワイトソースしかなく、後年、レストランでグラタンを食べた時の衝撃はとても言葉では言い表せない。 私は母に「給食で出るようなクリームシチューが食べたい」とワガママを言い、ルゥで作ったクリームシチューを作ってもらったのだった。
さて先日、息子が「クリームシチューが食べたい」というので、作ったところ、「給食のはもっと固いんだよぅ」と言われてしまった。給食のは冷えてるから固まってるんだと説明したんだけど、聞き入れない。しょうがないのでルゥを足して、少し濃くして勘弁してもらった。
教訓:子を持って知る親の恩 あるいは 因果応報
2004/02/02(げつようび)
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