クラッチ壊れました
1996年9月22日 晴れ
思えば今日の犬キャラ号は朝から妙に調子が良かった。エンジンは絶好調だし、ここの所ハーシュの遮断に問題のあった足回りも、元の調子に戻ったようでいたって滑らか。どういう訳か、一日しかない休日をだらだら買い物などして潰した帰り道、少し寄り道してドライブしようか、などと考えていた時・・・。
突然、クラッチのフィールがおかしくなり、シフトが入りにくくなった。とにかく走れるうちにディーラーに持ち込もうと、すぐ前の交差点でUターンしようとして止まって、シフトをニュートラルに。対向車線からのクルマが途切れるのを見て、1速に入れようとするが、全く入ろうとしない。無理に入れるとギャッ!とギアが鳴る。クラッチが全く切れていない、ジ・エンド。どうもクラッチワイヤーのようだが、他の部分は絶好調のまま、自力で1ミリも動けない。
トラブルが起こった、そのこと自体はあまり驚かなかったが、場所が場所だけにすぐに移動しなければならない。幸い何故かすぐそこにちょっとした空き地がある。先代BMW3シリーズをはじめ、数台の朽ち果てかけたクルマがおいてあったりする場所だが、気にしている暇はない。パッと飛び降りて、クルマを押す、パンダは軽いから簡単に動く。これまた幸い、全くクルマが来なくて、クラクションを鳴らされることはなかった。しかし、エンスー雑誌でよく聞くこの手の話、実際に自分がやるとは思わなかった・・・。
とにかく、ディーラーの人に来てもらったが、クラッチワイヤーが悪いのだろう(ワイヤー切れではない)、という以上の事は結局分からず、直せず、犬キャラ号はディーラーへと引き取られて行った。こんな事は滅多に無い、とは引き取りにきた若いディーラーの人。クラッチワイヤーか、リンケージのトラブルならそうお金も時間も掛からないだろう、と妙に楽観的な自分がいた。
1996年9月24日
夜、会社の寮の自分の部屋に入った瞬間、電話が鳴る。受話器を取ると犬キャラ号を預けているディーラーからだった。
「クラッチは要オーバーホール。約7万円掛かります。」
目が点になる。オーバーホールとは・・・。しかし、本当に7万円もするのか疑問だったので、犬キャラ号の購入店(アレーゼ広島。そのとき私は岡山に住んでいた)の馴染みのセールスマンに電話をして聞くが、何処でもそのくらいの値段だという答え。また、彼もそんなトラブルは聞いたことが無いという。
クラッチに負担を掛けた事を一つ一つ思い出しつつ、1時間ほど落ち込む。が、すぐ立ち直る。
1996年9月29日
思いの外早い退院だった。クルマを引き取りにいくというのに自転車(以下犬キャラ2号)で行き、ディーラーの人に白い目で見られる。請求書を見ると、¥76,014とあった。費用の内訳は以下の通り。
クラッチO.H.点検 技術料
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\32,000
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クラッチキット(部品代)
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\33,000
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ミッションオイル
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\3,800
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引き取りレッカー代
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\5,000
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消費税
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\2,214
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Total
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\76,014
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部品代は国産車と比較しても、高くはないと思う。しかし、工賃は高すぎないか?
何はともあれお金を支払い、乗ってきた犬キャラ2号を犬キャラ号に詰め込んでおもむろに走り出す。クラッチが軽い。犬キャラ号がいない間、犬キャラ2号で通勤をして筋力が付いたからか?いや、本当に軽くなっている。それに半クラ領域が広くなり、繋がりが前よりスムースだ。しかし、それが少し軽快感を削いでいるような気もするが、なに気にしない。なんと言っても、こいつはちゃんと動いているのだ。それ以上、何を望むことがあろうか・・・。
信号待ちで止まると、アイドリング時にどこからかカラカラ音がしていたのが無くなっている。そうか、あれはクラッチからの音だったのか・・・。あれは確か半年ほど前からしていたはずだが・・・。人里離れた山道とかで壊れなくて良かった。大丈夫、オレはついているぞ・・・、などと考えていたら信号が青に。ゴリッとしたシフトを1速に入れ、クラッチをリリースすると犬キャラ号はヒョイッと、何事もなかったように走り出した・・・。
THE END
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